父親が時代劇の大スターだったことから、幼少期から数多くの時代劇に子役で出演していた、北大路欣也(きたおおじ きんや)さんですが、早稲田大学入学後は、演劇の楽しさを知り、自ら進んで、舞台、テレビドラマ、映画と幅広く活動。ただ、御曹司ならではの、仰天エピソードがありました。

「北大路欣也の昔は時代劇の子役ほか15歳で主演!早稲田大学時代は?」からの続き

Sponsored Link

舞台、テレビドラマに出演

早稲田大学で舞台「リア王」に出演したことをきっかけに、自分の意思で俳優として生きていく決意をした北大路さんは、

大学卒業後の1964年には、「シラノ・ド・ベルジュラック」で舞台デビューし、その後も「劇団四季」の舞台にたびたび客員として参加するなど、精力的に舞台で活動。

また、その一方で、1968年、25歳の時には、NHK大河ドラマ「竜馬がゆく」で主演の坂本龍馬役を演じられます。


「竜馬がゆく」より。

「仁義なき戦い 広島死闘篇」で千葉真一との主演交代を直訴

そして、1973年には、深作欣二監督作品「仁義なき戦い」をたまたま仕事先で観て共鳴し、シリーズ化されることを知るや、東映へ直訴して、第2部「仁義なき戦い 広島死闘篇」の出演が決定。

北大路さんは、凶暴な大友勝利役を演じることになっていたのですが・・・

なんと、北大路さんは、

千葉真一さんが演じる主人公の)山中(正治)の方が自分のキャラクターに合っているのでは? それにセリフがどぎつすぎる大友はできない。

大友は粗暴で下品すぎて、どうしても自分では演じられない。山中のほうをやらせてくれないか。

と、東映のプロデューサー・日下部五朗さんに、千葉さんとの配役(主演)の交代を希望したというのです。

そのため、日下部さんと宣伝担当者らは、千葉さんを訪ね、

山中と大友を交代してもらえないか

と、依頼されると、

千葉さんは、

深作組の映画ならどんな役でも二つ返事だけど、これだけは1週間、悩みに悩んだね

と、悩みつつも、

監督がどう考えているのか‥‥あれこれ張り巡らせていったら、これは俺に大友勝利をやらせたがっているんじゃないかと思ってね。

と、最終的には了承したのでした。


「仁義なき戦い 広島死闘篇」より。山中正治役を演じられている北大路さん

(北大路さんは、その後、「仁義なき戦いシリーズ」の最終話「仁義なき戦い 完結篇」(1974)にも出演されています)

千葉真一とは2度目の主演交代だった

ちなみに、深作監督によると、北大路さんが千葉さんとの配役の変更を求めたのは、なんと、これが2度目だったそうで、

1度目は、北大路さんが、戦前からの大スター・市川右太衛門さんの御曹司ということで、「海軍」(1963)で要望を聞き入れたそうですが(北大路さんの現代劇主演第1作目となっています)、2度目となる今回は、さすがに、千葉さんの心境を慮ったそうです。

ただ、千葉さんが大友役を演じると、シリーズ屈指の破天荒キャラとして絶大な人気を獲得。その後のアウトロー映画でも、「千葉真一の大友のような」と形容されるほどの人気となったことで、事なきを得たようで、


大友に扮する千葉真一さん。

千葉さんも、

まあ“御曹司”には悔しい思いをさせられたけど、結果的に俺が大友を演じておもしろくなったと思う。

と、コメントされていました。

Sponsored Link

出演作品(映画、テレビドラマ)

それでは、ここで、北大路さんの主な出演作品をご紹介しましょう。

映画では、

1959年「旗本退屈男 謎の南蛮太鼓」
1960年「旗本退屈男 謎の幽霊島」
1961年「花笠ふたり若衆」
1962年「天下の御意見番」
1963年「勢揃い東海道」

1964年「狼と豚と人間」
1965年「虹をつかむ恋人たち」
1967年「千曲川絶唱」
1968年「北穂高絶唱」
1969年「津軽絶唱」


「狼と豚と人間」より。(左から)高倉健さん、北大路欣也さん、三國連太郎さん。

1970年「商魂一代 天下の暴れん坊」
1971年「戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河」
1973年「仁義なき戦い 広島死闘篇」
1974年「華麗なる一族」
1975年「日本任侠道 激突篇」


「仁義なき戦い 広島死闘篇」より

1976年「スリランカの愛と別れ」
1977年「アラスカ物語」
     「八甲田山」
1978年「犬笛」
1981年「漂流」
1982年「南十字星」


「八甲田山」より

1984年「空海」
1985年「火まつり」
1989年「せんせい」
1991年「動天」
1993年「新極道の妻たち 覚悟しいや」


「空海」より

1997年「北京原人 Who are you?」
2008年「銀幕版 スシ王子! 〜ニューヨークへ行く〜」
2010年「恋するナポリタン 〜世界で一番おいしい愛され方〜」
2013年「劇場版 SPEC〜結〜 漸ノ篇 / 爻ノ篇」
2018年「三屋清左衛門残日録 完結篇」
2019年「七つの会議」


「七つの会議」より

テレビドラマ

1960年「笛吹童子」
1964年「徳川家康」
1965年「宮本武蔵」
1966年「わが心のかもめ」
1968年 NHK大河ドラマ「竜馬がゆく」


「宮本武蔵」より。

1970年 NHK大河ドラマ「樅ノ木は残った」
1972年 NHK大河ドラマ「新・平家物語」
1974年「氷紋」
1975年「新宿警察」
1976年「喜びも悲しみも幾歳月」


「樅ノ木は残った」より。

1977年「おおヒバリ!」
1979年「銭形平次シリーズ」
1980年「若き日の北條早雲」
1981年「男子の本懐」
1982年「はらぺこ同志」


「銭形平次」より。

1985年「風雲 柳生武芸帳」
1986年「徳川風雲録 御三家の野望」
1987年「風雲江戸城 怒涛の将軍徳川家光」
1988年「花の生涯 井伊大老と桜田門」
1989年「風雲!真田幸村」


「風雲 柳生武芸帳」より。

1990年「メイクアップ」
1991年「忠臣蔵 風の巻・雲の巻」
1992年「徳川家康 戦国最後の勝利者」
1993年「事件 シリーズ」
1994~1999年「火曜サスペンス劇場『検事 霧島三郎シリーズ』」

2001年「旗本退屈男」
2002年「生存 愛する娘のために」
2003年「さすらい署長 風間昭平」
2004年「最後の忠臣蔵」
2006年「風林火山」


「さすらい署長 風間昭平」より。北大路さん(左)と石倉三郎さん(右)。

2007年「華麗なる一族」
2008年「天と地と」
2009年「落日燃ゆ」
2010年「絶対零度〜未解決事件特命捜査〜(Season1)」
2011年「卒業ホームラン」


「華麗なる一族」より。(左から)鈴木京香さん、北大路さん、木村拓哉さん。

2012~2018年年「もう誘拐なんてしない」
     「剣客商売シリーズ 」
2013年「リーガル・ハイスペシャル」
     「半沢直樹」
2014年「三匹のおっさん〜正義の味方、見参!!〜」


「半沢直樹」より

2015年「三匹のおっさん2〜正義の味方、ふたたび!!〜」
2017年「三匹のおっさん3〜正義の味方、みたび!!〜」
2018年「新春ドラマ特別企画〜正義の味方、史上最大、最後の戦い!…かも?〜 三匹のおっさん スペシャル」
2019年「三匹のおっさんリターンズ!~平成ラストの大暴れ&悪党まとめて大成敗SP!~」


「三匹のおっさん」より。(左から)志賀廣太郎さん、北大路さん、泉谷しげるさん。

ほか、非常に数多くの作品に出演。

ちなみに、1977年、映画「八甲田山」では、高倉健さんとダブル主演を務められると、

劇中、北大路さん演じる神田大尉の、

天は我々を見放した

というセリフが、当時の流行語となるなど、この作品はこの年の日本映画観客動員数第1位を記録。北大路さんも「第1回日本アカデミー賞主演男優賞」を受賞されています。

(共演者の高倉健さんは、「最優秀主演男優賞」を受賞されています)

「北大路欣也はソフトバンクCMで自分だけ犬とは知らなかった!」に続く

Sponsored Link