1951年、第5期ニューフェイスとして「大映」に入社すると、翌年の1952年には、「死の街を脱れて」で女優デビューされた、若尾文子(わかお あやこ)さん。今回は、そんな若尾さんの、生い立ちからブレイクまでの経緯について、調べてみました。

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年齢は?出身は?本名は?

若尾さんは、1933年11月8日生まれ、
東京府東京市荒川区(現・東京都荒川区)のご出身、
(東京府東京市豊島区生まれ)

本名は、黒川文子、

学歴は、
宮城県第二女子高等学校中退、

趣味は、
読書、美術品観賞、映画観賞、茶道、ドライブ、

特技は、英会話だそうです。

幼少期に兄と母親が他界

若尾さんは、兄が1人、姉が3人の5人兄姉の末っ子として誕生すると、小学生の時には、戦争が始まり、一家で宮城県仙台市に疎開。

すると、若尾さんが15歳の時、疎開先でお兄さんが他界、その半年後にはお母さんも他界してしまい、

その後は、お姉さんが母親代わりとなって、育ててもらったそうです。

アメリカ映画に魅了される

そんな若尾さんは、子どもの頃、身体が弱く、読書ばかりしていて、反応が薄かったことから、あだ名は「石仏(せきぶつ)」だったそうですが、

終戦後、アメリカ映画が日本に輸入されると、スクリーンに映る、まるで夢のような世界にすっかり魅了されてしまったそうで、

学校では、「絶対に観てはいけない」と言われていたにもかかわらず、お父さんについて行って映画館に行き、映画を観ていたそうで、

若尾さんは、後に、

まさか自分が映画にでるなんて思いもしませんでした

と、語っておられます。

長谷川一夫との出会い

ところで、若尾さんは、疎開中の仙台で(終戦後もしばらくは仙台に残っていたそうです)、学校の帰りに、友達と大通りを歩いている際、「仙台座」という劇場の楽屋口に置いてある檻(おり)に、子熊がいるのを見つけ、可愛いと、駆け寄ったところ、

劇場から三味線の音がして、俳優の長谷川一夫さんと山田五十鈴さんが舞台から降りて、楽屋口から裏に出てこられたそうで、

長谷川さんが親しげに話しかけてくれたことから、

思わず、若尾さんは、

女優になりたいんです

と、言ってしまったのだとか。

ちなみに、長谷川さんは、

学校を卒業してからいらっしゃいね

と、言われたそうですが、この話はそれっきりだったそうです(笑)

「大映」の第5期ニューフェイスとして

その後、いつ頃かは分かりませんが、若尾さんが東京に戻られると、お姉さんのご主人が「大映のニューフェイス」の募集を見て、若尾さんの写真を勝手に送って応募されたそうで、若尾さんは見事合格し、1951年、「大映」「第5期ニューフェイス」として、「大映」に入社。

1952年には、急病で倒れられた久我美子さんの代役として、「死の街を脱れて」で、女優デビューを果たすと、

以降、

「長崎の歌は忘れじ」
「猛獣使いの少女」
「母子鶴」
「花嫁花婿チャンバラ節」
「明日は日曜日」
「秘密」
「街の小天狗」
「総理大臣と女カメラマン 彼女の特ダネ」

と、続け様に、一年間に何本もの映画に出演されたのでした。


「死の街を脱れて」より。

「十代の性典」がヒットするも性典女優の汚名

そして、翌年の1953年、映画「十代の性典」に出演されると、映画は大ヒットを記録し、若尾さんは、たちまち人気を博します。

ただ、「十代の性典」は、当時の時代背景から、教育関係者や新聞・雑誌から激しいバッシングを受け、若尾さんも、「性典女優」と酷評されてしまいます。

そのことがトラウマとなったのか、以降、長きにわたり、若尾さんの前では、「性典」の2文字はNGワードとなり、インタビューなどでもタブー扱いされたそうで、

そのためか、「十代の性典」は、ビデオ化もVTR化もされないうえ、「名画座」などでも上映されることがなく、若尾さんが他界しない限り、スクリーンで見ることはできないのでは、とまで噂されたのでした。

(ただ、2010年には、ミニシアターで上映されたそうで、若尾さんも、長い年月を経て、ようやく受け入れられるようになったのかもしれませんね。)

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「祇園囃子」で大映の看板女優に

それでも、若尾さんは、同年、祇園で生きる芸姑たちの生活と彼女たちをとりまく人間模様を描いた、溝口健二監督の映画「祇園囃子」で、ヒロインの栄子役に起用され、みずみずしい演技を披露されると、入社2年目にして、たちまち「大映」の看板女優に。(「性典女優」の汚名も見事払拭)

以降、若尾さんは、可憐でありながらも、熱烈な情念を内に秘めた、激しい気性を表現する演技を得意とし、数多くの映画に出演されたのでした。

「若尾文子の昔は刺青で妖艶な悪女!テディベアの着物も刺青デザイン?」に続く

「祇園囃子」より。若尾さん(左)と小暮美千代さん(右)。

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