榎本健一さんに舞台女優を勧められた矢先、ちょうど事務所から渡米の話が舞い込み、アメリカで舞台修行に勤しんだ、木の実ナナ(きのみ なな)さん。帰国後は、「劇団四季」ミュージカル「アプローズ」で、一躍脚光を浴びます。

「木の実ナナは昔人気低迷しアメリカで舞台修行していた!」からの続き

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劇団四季のミュージカル「アプローズ」のオーディションでは勘違い

帰国後、いくつかの舞台に出演した木の実さんは、1972年には、新聞広告で見つけた、越路吹雪さん主演の「劇団四季」ミュージカル「アプローズ」のオーディションを受験するも、残念ながら落選。

木の実さんは、

ああ、どうしよう……

と、絶望し、帰りかけたそうですが、

その時、

ちょっとお戻りいただけますか

と、声をかけられたそうで、

ここぞと、

お願いします! どんな役でもいいからやらせてください!

と、審査員の先生方に食い下がると、

あなたは応募した役には向いていなくて落ちたけれど、あなたにピッタリの役があるんです

と、写真を見せられたそうで、その写真を見ると、木の実さんがやりたかった役。

実は、木の実さんは、勘違いして、本来やりたかった役ではなく、別の役で応募していたそうで(笑)、

え? この役をやりたかったんです!

と、見事合格したのでした♪

「アプローズ」で一躍脚光を浴びる

こうして、晴れて「アプローズ」に出演することになった木の実さんは、

アメリカでの修行もあり、

歌も踊りもできる

と、自負していたそうですが、これが大間違い。

全部一からやり直しさせられ、一流の先生方のもと、「あいうえお」の発声練習からさせられたそうですが、その甲斐あって、1973年、「アプローズ」に出演すると、ミュージカルは大ヒット。

このことにより、木の実さんは、一躍、脚光を浴び、以降、数々のミュージカルに出演することとなったのでした。


「アプローズ」より。

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越路吹雪から大きな影響を受ける

ちなみに、木の実さんは、「アプローズ」で主演を務められた越路吹雪さんと、この共演をきっかけに、プライベートでも親しく付き合うようになり、とてもかわいがってもらったそうで、越路さんから多大な影響を受けたそうですが、

木の実さんは、そんな越路さんについて、

この舞台(「アプローズ」)で、私がものすごく大きな拍手をもらうと、舞台裏で越路さんが「おいなんだお前、すごい拍手だな」って喜んでくれて。

「奥様がお呼びです」と、ときどきご自宅にも呼ばれました。ご自分は結婚したくせに、私には結婚しちゃだめだぞ、って(笑)。思いやりのある、厳しくて優しい方で、憧れの人でした。

この人のためだったらなんでもやるって思っていました。偉大なスターすぎて他の人たちが近寄れなかったけれど、自分は垣根なしでどんどん飛び込んでいっちゃった。

私たちのような仕事には師匠がいるわけじゃない。だから、素晴らしい才能を持った方に出会って、それを吸収していくことが、唯一の芸が上達する方法。越路さんに出会えたことは幸運でした。

越路さんは舞台袖ではいつもガタガタ震えて緊張してらした。私は越路さんのことを「お姫さま」の意で「おひい」って呼んでいたんですが、「舞台に出てください、おひい」って無理やり引っ張り出して。

けれど、いざ舞台に出たら、別人のように堂々と演じてらした。私も舞台前の緊張は越路さんとまるきり同じ。今でもまだまだ怖い、緊張します。ひばりさんと越路さんの写真はいつも持ち歩いていて、守ってくださいって舞台前はお祈りします。

と、語っておられました。

「木の実ナナの若い頃は五木ひろしとの「居酒屋」が大ヒット!」に続く

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