「劇団四季」の主宰者・浅利慶太さんに、当たり役だった「オペラ座の怪人」のファントム役を降ろされたことをきっかけに、「劇団四季」を退団した、市村正親(いちむら まさちか)さんですが、その後、日本初上陸となる「ミス・サイゴン」で、再び大役を勝ち取ります。

「市村正親が「劇団四季」を退団した理由とは?」からの続き

Sponsored Link

「ミス・サイゴン」でメインキャストのエンジニア役に抜擢される

1990年、骨を埋めるつもりでやってきた「劇団四季」を退団した市村さんですが、これまで、「劇団四季」の団員でいる間は、ほかの舞台のオーディションは受けられなかったことから、日本初公演だった「ミス・サイゴン」のオーディションを受けると、メインキャストである、ベトナム戦争を逃れたヒロインが働くことになる売春宿の経営者・エンジニア役に見事合格。

実は、「オペラ座の怪人」で知り合った世界的プロデューサーで、オーディションの審査員として来日していたマッキントッシュ氏に、「君は入ってきた時からエンジニア役だった」と、気に入られての抜擢だったそうです。

「ミス・サイゴン」のエンジニア役が当たり役に

こうして、市村さんは、1992年、「ミス・サイゴン」でエンジニア役に起用されると、この「ミス・サイゴン」は1年半のロングランヒットを記録。

(そのうち8割は市村さんがエンジニア役だったそうです)

市村さんも、たちまち、「世界一のエンジニア」「ミス・サイゴンの市村」などと世間から称賛を受け、「文化庁芸術祭賞」を受賞するなど、このエンジニア役は、「オペラ座の怪人」のファントム役同様、市村さんの当たり役となったのでした。

(その後、市村さんは、「キャバレー」「ラ・カージュ・オ・フォール」「蜘蛛女のキス」「モーツァルト!」「リチャード三世」など、数多くのミュージカル作品や舞台に出演するほか、ナレーション、一人芝居など、幅広い分野で活躍しています)

Sponsored Link

「ミス・サイゴン」のエンジニア役は初演からずっと出演

ちなみに、市村さんは、2014年7月、初期の「胃ガン」発覚で、出演中だった「ミス・サイゴン」を降板した以外は(2016~2017年公演には復帰)、ずっと、「ミス・サイゴン」の公演にエンジニア役で出演しているのですが、

(2016年、一度、「ミス・サイゴン」からの卒業を宣言をしていますが、その後、撤回)

市村さんは、そのことについて、

オーディションでエンジニア役に合格。次の仕事が決まる前に四季を退団し、もしこの役を勝ち取れなければ今後の舞台生活がどうなるかも分からなかった。

そんな中でつかんだ大役だけに、本当にうれしかったですね。

こうして決まった「ミス・サイゴン」のエンジニア役は、僕の「当たり役」と言われ、初演からずっと、僕は舞台でエンジニアを生きることができる。役者としてこれ以上の幸せはありません。

と同時に、起こることには何もかも意味があって、人生に無駄なことなんて一つもないんじゃないかとも思えてきます。

と、語っています。

(2020年の公演は、新型コロナウィルスの影響のため中止)

「市村正親は鹿賀丈史とは「劇団四季」の同期でライバル視していた!」に続く

Sponsored Link