映画「蒲田行進曲」で、メインキャストの村岡安次(ヤス)役を演じ、一躍、脚光を浴びた、平田満(ひらた みつる)さんですが、映画に不慣れな部分を、深作欣二監督や共演の松坂慶子さんに気遣ってもらっていたそうで、撮影現場は終始和やかで楽かったそうです。

「平田満は若い頃「蒲田行進曲」のヤス役でブレイクしていた!」からの続き

Sponsored Link

深作欣二監督に気を遣ってもらっていた

つかこうへいさんの同名小説を原作とする映画「蒲田行進曲」(1982)で、大部屋俳優・村岡安次(ヤス)役を熱演し、たちまち脚光を浴びた平田さんですが、

監督の深作欣二さんには、意見を求められ答えると、基本的には同意してもらったり、カメラの回っていないところでも役名の「ヤスさん」と呼ばれたり、

最初の段階から、

いいんだ、いいんだ、舞台そのままで

変に映画用の芝居とかじゃなくて、舞台でやってるように芝居してくれればいいから

とも、言ってもらい、平田さんがより良い演技ができるように、気遣ってもらったそうで、

(舞台の「蒲田行進曲」でヤス役を演じていた柄本明さんを見ていた平田さんはとてもやりやすかったそうです。ただ、ほかの役者には、「いつもこんなテンションでやってるの?」と、異様がられていたそうです)

平田さんは、

優しかったですよ。僕を見てすぐに「コイツはこういうのは初めてなんだな」と分かってくれたんでしょう。怒ることは全くなくて、何度もリハーサルしてくれたり、「ここにフレームがあって、こう顔が映るんだよ」と教えてくれたり。

監督がそうしてくださると、スタッフも「あのできない奴が──」とはならないんですよ。監督がそうなら、それについていこうということだったんじゃないですかね。

と、語っています。

大スターだった松坂慶子からも気を遣ってもらっていた

また、ヒロインで、ヤスの妻となる小夏を演じた松坂慶子さんも、

すでに大スターでありながら(平田さんにとっては雲の上の人だったそうです)、腰が低く、平田さんの方がつかさんの舞台を知っているということで、「こんな芝居でいいですか?」と聞いてくれたり、撮影が終わった後も、無視することなく、普通に話をしてくれたそうで、

(松坂さんの気遣いがとても嬉しかったそうです)

平田さんは、

良い人たちに出会えましたね。おかげで、どうしたらいいかと悩むことなくやれました

芝居自体は知っているし、深作欣二監督からも舞台と同じようにやればいいということだったので、これはダメ、あれはダメと言われたことはなかったですが、その代わりリテークは多かった。

体力だけはありましたから、10回でも20回でもやりました。最初で最後の映画くらいの気持ちだったので、深作監督や松坂慶子さん、仲間と一緒に撮れただけで幸せだと思っていました

と、語っています。

Sponsored Link

つかこうへいと「蒲田行進曲」は運命の出会いだった

こうして、ヤス役が当たり役となった平田さんは、その後、映画にテレビドラマにと出演オファーが殺到し、たちまち人気俳優の仲間入りを果たすのですが、

平田さんによると、それは、「次は、こんなのがあるんだ」と、まるでディズニーランドの次から次へ世界が移っていく乗り物みたいな感覚だったそうで、

台本に名前があるような役で出られるようになって、今までやっていられるのもそのお陰だと思います。つかさんが常に先頭で引っ張ってくださったので、その後を付いていったのが正確なところ。

自分がこうしたいというよりは、いきなり運命がやってくるような感じです

と、語っています。

「平田満のデビューからの出演ドラマ映画を画像で!」に続く

Sponsored Link