親友・クタクタの遺志を継ぎ、役者業を続けていく決意を新たにするも、その後も、なかなか芽の出ない日々が続いたという、愛川欽也(あいかわ きんや)さんですが、ついに、洋画の吹き替えで注目を集めるようになります。
「愛川欽也は旧友の遺志を継いで俳優を続けていた!」からの続き
アメリカの俳優ジャック・レモンの吹き替えで評判に
なかなか、俳優として芽が出なかった愛川さんですが、1960年頃からは、「お熱いのがお好き」「海の荒くれ」「あなただけ今晩は」「アパートの鍵貸します」などのアメリカ映画で、コメディ俳優のジャック・レモンさんの吹き替えを担当すると、たちまち洋画ファンの間で評判となり、
「アパートの鍵貸します」より。シャーリー・マクレーンさん(左)とジャック・レモンさん(右)。
1962年には、アメリカのテレビドラマ「ルート66」で、主人公のマーティン・ミルナーさんの吹き替えを担当すると、この番組は大ヒットを記録。
愛川さんも、(決して美声ではないものの)味わい深く、耳に心地よく響く声で、一躍、声優として人気を博したのでした。
「ルート66」より。ジョージ・マハリスさん(左)とマーティン・ミルナーさん(右)。
アニメの吹き替えでも人気を博す
そして、その後は、
1967年「マッハGoGoGo」(覆面レーサー役)
1968年「妖怪人間ベム」(カール役)
1969年「ハクション大魔王」(石川二ヱ門半、それからおじさん役)
「ハクション大魔王」それからおじさん
1970年「アタックNo.1」(浜紀中コーチ、梶岡役)
「いなかっぺ大将」(ニャンコ先生役)
1971年「新オバケのQ太郎」(ヒョーロク役)
「いなかっぺ大将」ニャンコ先生
と、立て続けに、人気アニメの声でも出演するようになり、人気を博したのでした。
(ちなみに、愛川さんは、1996年の映画「ドラゴンボール 最強への道」では、他界した宮内幸平さんの後任として亀仙人の声を担当しているのですが、孫悟空の声を担当する野沢雅子さんとは、「いなかっぺ大将」以来の共演ということで、大きな話題となりました)
子供向け番組「おはよう!こどもショー」のロバくん役では着ぐるみも
また、愛川さんは、子供向け番組「おはよう!こどもショー」(1965)の番組マスコット・ロバくん(兄)役の声も担当しているのですが、ロバくんは子供たちのアイドルという設定のため、基本的には、優等生キャラだったそうですが、時々、愛川さんのアドリブで逸脱することもあったほか、
愛川さんは、声だけではなく、着ぐるみの中にも入って、汗だくになりながら必死に演じていたそうで、放送開始当初は、愛川さんの名前すら公開されていなかったことから、表舞台に立てなかった愛川さんの忸怩(じくじ)たる思いの表れでもあったようです。
(当時はまだ、「声優」という言葉はなく、俳優が吹き替えをしており、主に劇団に所属している俳優(舞台俳優)がアルバイトとしてやっていたそうですが、映画やテレビの俳優からは見下されたうえに、待遇やギャラは極端に安かったそうで、愛川さんも経済的に厳しい生活を強いられていたそうです)
「愛川欽也は昔クイズ番組「なるほどザワールド」でブレイクしていた!」に続く
「おはよう!こどもショー」より。石川進さん(左)とロバくん(愛川さん)(右)。