プロ野球選手を引退後は、「東映」社長で、「東映フライヤーズ」オーナーの、大川博さんに声をかけられ、俳優に転身するも、当初は、大部屋俳優のさらに下に配属された、八名信夫(やな のぶお)さんですが、自らを悪役で売り込むと、鶴田浩二さん、若山富三郎さん、高倉健さんなどのトップスターから、次々と指名されるようになります。
「悪役」俳優としての地位を確立
小柄な俳優よりも、体格の良い自分が派手に倒れた方が迫力があっていいだろうと、自ら監督に直談判し、悪役を演じるようになった八名さんは、
プロ野球選手になるほどの運動神経を持っていたことから、主役にケガをさせなかったことも高く評価されたそうで、
八名は俺にケガをさせんぞ
安心して立ち回りができる
と、鶴田浩二さん、若山富三郎さん、高倉健さんなどのスター俳優達から次々指名されるようになり、
「網走番外地」シリーズ(1965)、「仁義なき戦い」シリーズ(1973)、「いつかギラギラする日」(1992)など、数多くの映画やテレビドラマで悪役を演じられているのですが、
次第に、主役を引き立てるには悪役が重要だと、悪役を大切にしてくれるようになったそうで、
八名さんは、後に、
ドラマというのは悪役によって、おもしろくなるかが大きく左右されるんです。悪役が下手なら、そのドラマはつまらなくなる。「高倉健さんがかっこいいのは、俺がちゃんとした芝居をしているからだ」と自分に言っていたね(笑)
と、語っておられました。
(ちなみに、立ち回りで切り合いをする時、殺陣の手を間違えるのは、だいたい主役の方だったため、主役が殺陣の手を間違えても、うまく受けることが、悪役には求められたそうで、八名さんはそれができたため、重宝されたのでした。)
「青汁」のCMで有名に
そして、1983年には、悪役ばかりのグループ「悪役商会」を結成されると、そのリーダーとして活躍。
そんな中、1986年には、キューサイの「青汁」のCMに出演されているのですが、
「青汁」のCMより。
なんと、この「青汁」のCMで、八名さんは、
まずい!もう一杯!
と、言われているのです。
八名さんによると、
最初は「こいつは悪役にもいいな」ってセリフだったんだけど、実際に飲んだら本当にまずかった(笑)
立ち会ってた社長に「まずい」とCMで言えないかお尋ねしたら、「それだけだとマイナスイメージにしかならないから、もう一杯!と加えよう」と。
それがウケて、3カ月契約のCMが去年(2018年)まで続いたんだから面白いもんだよ
と、明かされており、ここでも、自ら提案したことが大当たりとなったのでした。
善人役のオファーも
以来、八名さんのもとには、悪役だけではなく、善人役のオファーも舞い込むようになったそうで、
悪役だけをやっていても良かったものの、ほかのことにチャレンジしてみるのもいいかもと思い、犯人を追いかける警官や、人の良いおじいさんなど、善人役のオファーも受けることになったそうです。
ただ、これまでは、いつも警官に追いかけられ、手錠をかけられる役ばかりだったことから、
正直、なんかムズムズするというのか落ち着かない感じはある
と、言われているのですが、
それでも、
いろいろ演じることで、悪役・八名信夫の幹がさらに太くなればいいことだと思っています。
と、おっしゃっており、やはり、八名さんにとっては、悪役あっての善人役という信念は持ち続けておられるようです♪