1957年、22歳の時、劇団「民藝」の舞台「アンネの日記」で女優デビューして以来、60年以上も女優を続け、80代半ばの現在も、現役で活躍されている、吉行和子(よしゆき かずこ)さん。今回は、そんな吉行さんのデビューからの出演作品を画像を交えてご紹介します。
「吉行和子の若い頃は?唐十郎の舞台で芝居に目覚めていた!」からの続き
出演作品(映画)
それでは、ここで、吉行さんのデビューからの主な出演作品をご紹介しましょう。
映画では、
1959年「にあんちゃん」
「才女気質」
1960年「地図のない町」
1961年「この若さある限り」
「あいつと私」
1962年「キューポラのある街」
1964年「黒い海峡」
「キューポラのある街」より。吉行さんと吉永小百合さん。
1966年「こころの山脈」
1967年「旅路」
1970年「現代任侠道 兄弟分」
1971年「暴力団再武装」
「父ちゃんのポーが聞える」
1973年「修羅雪姫」
1976年「遺書 白い少女」
1978年「愛の亡霊」
「密約―外務省機密漏洩事件」
1979年「黄金のパートナー」
「神様のくれた赤ん坊」
1980年「父よ母よ!」
1981年「獣たちの熱い眠り」
1982年「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」
「愛の亡霊」より。吉行さんと藤竜也さん。
1983年「天城越え」
「十階のモスキート」
「ダブルベッド」
1984年「彩り河」
1985年「愛・旅立ち」
1986年「犬死にせしもの」
「ブラックボード」
「野ゆき山ゆき海べゆき」
「犬死にせしもの」より。(左から)吉行さん、蟹江敬三さん、木之元亮さん。
1987年「瀬戸内少年野球団・青春篇 最後の楽園」
「メイク・アップ」
「永遠の1/2」
1988年「優駿 ORACION」
1991年「ふたり」
1992年「私を抱いてそしてキスして」
1995年「ひめゆりの塔」
1996年「お日柄もよくご愁傷さま」
1997年「不機嫌な果実」
「流れ板七人」
1999年「菊次郎の夏」
「御法度」
2001年「百合祭」
「お日柄もよくご愁傷さま」より。橋爪功さんと吉行さん。
2002年「折り梅」
「雪国」」
「ナースのお仕事」
2004年「透光の樹」
「帰郷」
「釣りバカ日誌15 ハマちゃんに明日はない!?」
「予言」
「この胸いっぱいの愛を」
2005年「OO」
2006年「佐賀のがばいばあちゃん」
「地下鉄に乗って」
2007年「舞妓Haaaan!!!」
「監督・ばんざい!」
2008年「おくりびと」
「僕の彼女はサイボーグ」
「20世紀少年」
「おくりびと」より。吉行さんと広末涼子さん。
2009年「いけちゃんとぼく」
「BABY BABY BABY! -ベイビィ ベイビィ ベイビィ-」
2010年「レオニー」
2011年「恋谷橋 La Vallee de l’amour」
「百合子、ダスヴィダーニヤ」
「シェアハウス」
「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」
2012年「人生、いろどり」
2013年「東京家族」
「ひまわりと子犬の7日間」
「燦燦 さんさん」
2014年「御手洗薫の愛と死」
「小さいおうち」
「三里塚に生きる」
「東京家族」より。吉行さんと橋爪功さん。
「燦燦 さんさん」より。
2016年「家族はつらいよ」
「夏美のホタル」
「海すずめ」
2017年「家族はつらいよ2」
「春なれや」
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
「亜人」
「DESTINY 鎌倉ものがたり」
2018年「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」
「羊と鋼の森」
2019年「雪子さんの足音」
「雪子さんの足音」より。寛一郎さんと吉行さん。
出演作品(テレビドラマ)
テレビドラマでは、
1957年「彗星現る」
1958年「旗岡巡査」
1959年「雑草の歌」第73話
1960年「スリラー劇場『埋葬』」
1961年「文芸アワー『尾行』」
1962年「松本清張シリーズ・黒の組曲『白い闇』」
1963年「堂々たる人生」
1964年「別れる」
1965年「ザ・ガードマン」第19話
1966年「灯は消えず」
1967年「黄色い雨傘」
1968年「春あらし」
1969年「右門捕物帖」第18話
1970年「鬼平犯科帳」第1シリーズ 第32話
「鬼平犯科帳」より。
「ザ・ガードマン」より。
1971年「銀の海」
1972年「喜びも悲しみも幾歳月」
1973年「太陽にほえろ!」第33話
1974年「白い滑走路」
1975年「松本清張シリーズ・遠い接近」
1976年 NHK大河ドラマ「風と雲と虹と」
1977年「松本清張シリーズ・最後の自画像」
「松本清張シリーズ・遠い接近」より。吉行さんと小林桂樹さん。
「太陽にほえろ!」より。吉行さんと小野寺昭さん。
1978年「大追跡」
1979年「水中花」
1979~2011年「3年B組金八先生シリーズ」
1980年「赤い魂」
1981年「野々村病院物語」
1982年「ちょっと神様」
1983年「松本清張の熱い空気 家政婦は見た! 夫婦の秘密『焦げた』」
「松本清張の熱い空気 家政婦は見た! 夫婦の秘密『焦げた』」より。(左から)柳生博さん、吉行さん、市原悦子さん。
1984年「青い瞳の聖ライフ」
1985年「ヤヌスの鏡」
1986年「女ふたり捜査官」
1987年「黒い仮面の美女 江戸川乱歩の「凶器」」
1988年「女検事・霞夕子5」
1989年「キツイ奴ら」
1990年「クリスマス・イブ」
「ヤヌスの鏡」より。
1991年「検事・若浦葉子」
1992年「天使のように生きてみたい」
1993年「同窓会」
1994年「お兄ちゃんの選択」
1995年「愛していると言ってくれ」
1996年「ナースのお仕事」
1997年「名探偵保健室のオバさん」
1998年「仮面の女」
1999年「早乙女千春の添乗報告書8」
2000年「世にも奇妙な物語『バーゲンハンター』」
2001年「ダイエット三姉妹の旅情事件簿」
2002年「はいからさんが通る」
2003年「女三人乱れ咲き! 氷川きよし追っかけツアー殺人事件」
2004年「奥さまは魔女」
2005年「Mの悲劇」
2006年「佐賀のがばいばあちゃん」
2007年「特急田中3号」
2008年「東京大空襲」
2009年「警視庁三ツ星刑事 佐々木丈太郎」
2010年「再捜査刑事・片岡悠介」
2011年「四十九日のレシピ」
「佐賀のがばいばあちゃん」より。
2012年「最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜」
2013年「二十四の瞳」
2014年「珈琲屋の人々」
2015年「黒い看護婦」
2016年「ゴールドウーマン」
2017年「科捜研の女」
2019年「深層捜査3」
「珈琲屋の人々」より。木村多江さんと吉行さん。
「科捜研の女」より。沢口靖子さんと吉行さん。
ほか、数多くの作品に出演されています。
本当の女優デビューは映画「由紀子」での端役
ところで、吉行さんの実質的な女優デビューは、1957年、劇団「民藝」の舞台「アンネの日記」ですが、実は、1955年、映画「由紀子」での端役出演が最初だったそうです。
そんな吉行さんは、1959年、「日活」と契約すると、同年には、今村昌平監督作品「にあんちゃん」、中平康監督作品「才女気質」での演技で、いきなり、「毎日映画コンクール助演女優賞」を受賞。
その後も、「キューポラのある街」(1962)での清潔感あふれる演技や、「証人の椅子」(1965)では、検察と闘う実直な男の妻をみずみずしく演じて重い題材にさわやかさを与える演技が高く評価されています。
「にあんちゃん」より。吉行さんと長門裕之さん。
「愛の亡霊」で女の情念を演じて「日本アカデミー賞優秀主演女優賞」を受賞
そして、1970年代は、舞台を中心に活動されていたのですが、1978年、大島渚監督の「愛の亡霊」のオファーが舞い込みます。
ただ、当時、大島監督といえば、1976年、激しい濡れ場のある作品「愛のコリーダ」での猥褻(わいせつ)論議でセンセーションを巻き起こしたばかり。
この「愛の亡霊」にも激しい性愛の描写があり、すでに40歳を超えていた吉行さんには、難しい選択かと思われたのですが、
吉行さんは、台本を読み、
ここに女がいる
と、迷うことなく出演を即決。
年齢がある程度重なると、ヒロインの役が来にくくなる当時の映画界に不満を抱いていたことも、出演を決めた理由のうちの一つだったそうですが、
吉行さんは、不倫相手との情事でしか感情を表せなくなってしまった女の情念を見事に演じ切り、「日本アカデミー賞優秀主演女優賞」を受賞されています。
「愛の亡霊」より。藤竜也さんと吉行さん。
ちなみに、この映画、明治中期の北関東の農村を舞台に、吉行さん演じるせきが、人力車夫の儀三郎(田村高廣さん)という夫がありながら、兵隊帰りの豊次(藤竜也さん)と不倫関係を結んでしまうと、
その後、豊次の逞しい肉体が忘れらず、不倫の関係を続け、やがては、豊次と共謀して、儀三郎を殺害。すると、儀三郎が亡霊となって二人の前に姿を現し、夜な夜な二人を苦しめるという、濃いストーリーで、
吉行さんは、この映画に出演されてから、長い間、NHKからは干されてしまったそうです。
「吉行和子は結婚してた?子供は?包丁を持ったことがない?」に続く