1992年、テレビドラマ「ずっとあなたが好きだった」の冬彦さん役で大ブレイクして以来、一見、真面目ながら、いつキレるか分からない狂気をはらんだ役を演じたら右に出るものはいない、佐野史郎(さの しろう)さんですが、近年は、小泉八雲作品の朗読がライフワークとなっているようです。
「佐野史郎のデビューからの出演ドラマ映画を画像で!」からの続き
小泉八雲の「怪談」を朗読
佐野さんは、2007年より、島根県松江市で、高校の同級生でギタリストの山本恭司さんとともに、作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品を素材とした朗読パフォーマンスを毎年継続的に行われているのですが、
毎年テーマを決め、佐野さんが小泉八雲の作品からそのテーマに合うものを選んで脚本を書き、山本さんがギターで伴奏するというスタイルの朗読で、2014年にはギリシャ、2015年にはアイルランドと、小泉八雲の2つの祖国での公演も果たされており、海外でも高い評価を得ているそうです。
小泉八雲の朗読。佐野さん(左)と山本恭司さん(右)。
少年時代から妖怪が好きだった
実は、佐野さんは、小学校1年生の3学期に、お父さんが実家の医院を継ぐことになったことから、東京から島根県松江市に引っ越しをされているのですが、
その家はというと、重苦しい山かげの中にある100年以上も続く古い家だったそうで、引っ越してきた最初の晩に見た夢は、魑魅魍魎(ちみもうりょう)に追いかけ回される、というものだったそうです(笑)
それでも、佐野さんは、こうした雰囲気が好きで、子供の頃から、江戸川乱歩の「江戸川乱歩・少年探偵シリーズ」や、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」など、幻想怪奇の世界に夢中だったのだそうです。
少年時代は小泉八雲に関心がなかった
また、松江市は、小泉八雲ゆかりの土地だったことから、小泉八雲のことを、ヘルンさんと親しみを込めて呼び、「八雲」「ヘルン」という名のお店や商品もたくさんあったそうですが、
(日本人は、当初、小泉八雲の名前・ラフカディオ・ハーンの「ハーン」を「ヘルン」と間違って呼んでおり、小泉八雲自身も、それに合わせ、当初は日本語で「ヘルン」とサインしていたそうです)
それでも、当初、佐野さんは、松江市がこの怪談好きの異邦人(小泉八雲)を大切にしていることを、
なんだろう?この町は?
と、思う程度で、さほど関心はなく、
大きくなってからも、小泉八雲の作品は、「怪談」や、教科書に載っていた「日本人の微笑」「究極の問題」くらいしか読んだことはなかったそうですが・・・
小泉八雲
エレキギターの伴奏で「耳なし芳一」を朗読
その後、大人になり、小泉八雲に関するテレビ番組などに出演するうちに、少しずつ小泉八雲の作品を読むようになり、いつしかのめり込んでいったそうで、
小泉八雲の百回忌の法要として、島根県安来市の清水寺で、八雲作品である「耳なし芳一」などの朗読を行ったところ、松江市から八雲の朗読公演の依頼を受けたそうで、
佐野さんによると、
どうせやるならばと自分でシナリオを書き、音楽も生演奏でやりたいと思ったんです。最初は自分でギターを弾きながら朗読して、文字通り弾き語りだったんですが、(山本)恭司もいるから使わない手はないなって(笑)
と、高校の同級生で、ロックギタリストの山本恭司さんを誘い、
義太夫のような伝統的な三味線と語り、琵琶と語りもいいけれど、エレクトリックギターで『耳なし芳一』をやるのも面白いんじゃないかって。
と、これまでにない斬新なスタイルでの朗読パフォーマンスを作り出されたのだそうです。
ちなみに、佐野さんは、
共鳴・・・共振かもしれませんね。八雲を何度も何度も読んでいるうちに、歴史観、死生観、彼の考え方が自分の体の中に勝手に入ってくるという感覚に襲われるようになってきました。
とも、語っており、
小泉八雲の朗読は、今や佐野さんのライフワークとなっているとのことでした。