1992年、監督・製作・主演を務めた西部劇映画「許されざる者」が公開されると、世界的な大ヒットを記録し、「作品賞」「監督賞」「助演男優賞」「編集賞」の4部門で「アカデミー賞」を受賞した、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)さん。今回は、「最後の西部劇」であり、二人の師匠、セルジオ・レオーネ監督とドン・シーゲル監督に捧げられた、この作品のあらすじをご紹介します。
「クリント・イーストウッドは「許されざる者」で監督でもアカデミー賞受賞!」からの続き
主人公は悪党から足を洗ったウィリアム・マニー(イーストウッド)
舞台は、1880年のアメリカ・ワイオミング。イーストウッドさん演じるウィリアム・マニーは、かつて、列車強盗や保安官殺しで名を馳せた悪党だったのですが、11年前に善良な妻と出会ってからは改心して農夫となり、2人の子どもにも恵まれ、平和な毎日を送っていました。
しかし、3年前に妻が天然痘で亡くなると、農業もうまくいかなくなり、老齢期に差し掛かったマニーには、経済的に厳しい日々が続きます。
「許されざる者」より。
生活苦から11年ぶりに賞金稼ぎの誘いに乗る
そんなある日のこと、スコフィールド・キッドと名乗る若いガンマンがマニーを訪ねてきて、ワイオミングで娼婦の顔をナイフでメッタ切りにした2人のカウボーイに、仲間の娼婦たちが1000ドルの賞金を懸けるという騒動が起きたため、賞金を稼ぎにワイオミングへそのカウボーイ2人を殺しに行かないかと持ちかけられます。
(スコフィールド・キッドは、かつてのマニーの極悪非道な凄腕ぶりを人づてに聞き、協力を求めてやってきたのでした)
すると、一旦は断ったマニーでしたが、生活の苦しさや、子どもたちの将来のためにお金が必要だと考え直し、11年ぶりに銃を手に取る決断をします。
かつての相棒ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)も参加
そんなマニーは、スコフィールド・キッドを追いかけ、馬を走らせている途中、かつての相棒で、同じく足を洗って農夫をしているネッド・ローガン(モーガン・フリーマンさん)のところに、留守中、子どもたちの世話を頼もうと立ち寄るのですが、
賞金を3等分するという条件で、ネッドローガンもこの話に乗り、二人でスコフィールド・キッドの後を追います。
「許されざる者」より。モーガン・フリーマンさん(左)とイーストウッドさん(右)。
保安官リトル・ビル(ジーン・ハックマン)が立ちふさがる
こうして、二人が街に到着すると、そこには、賞金目当てに、伝説の殺し屋であるイングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリスさん)なども現れるのですが、
そんなマニーたち賞金稼ぎの前に、街を守るという正義のためなら暴力もいとわない、腕利きの保安官リトル・ビル(ジーン・ハックマンさん)が立ちふさがり、
風紀を乱す賞金稼ぎを厳しく取り締まろうという正義のもと、見せしめに、イングリッシュ・ボブに凄惨なリンチを加えます。
相棒のネッド・ローガンがリトル・ビルに責め殺される
そんな中、ローガン(モーガン・フリーマンさん)は、マニー(イーストウッドさん)が過去の自分とは違うと何度も強調しながらも、いざとなれば躊躇なく人を撃ち殺すことのできるところを目の当たりにし、
マニーが根っからの殺し屋であることを理解するとともに、自身が昔のように人を撃つことができなくなってしまったことを悟ると、いち早くその場を立ち去ろうとするのですが・・・
その途中で、保安官リトル・ビルに捕まり、拷問され、責め殺されてしまします。
相棒ネッド・ローガンのかたきを討つためリトル・ビルに復讐
一方、マニーとキッドは、賞金首を挙げ、娼婦のケートから約束の賞金を受け取るのですが、ローガンが責め殺されたことを伝え聞いたマニーはリトル・ビルに復讐するため、街に戻って酒場を訪れます。
すると、そこには、ローガンの死体を店に飾り、酒を煽りながら部下に翌日の指示を出す、リトル・ビルの姿が。
「相棒のかたきを討つ」という正義のため暴力で復讐を果たそうとするマニーと、「町を守る」という正義のため暴力で娼婦たちの尊厳を踏みにじり、ローガンの命まで奪った保安官リトル・ビル。
果たして、どちらの正義が勝つのか。
「クリント・イーストウッドは「ミリオンダラー・ベイビー」で2度目のアカデミー賞!」に続く
「許されざる者」より。