落語家の立川談志さんとは大学時代からの親友だったという、毒蝮三太夫(どくまむし さんだゆう)さんですが、落語でブラックユーモアを持ち味としていた立川談志さんは、落語以外でもなかなかの皮肉屋だったそうで、毒蝮三太夫さんは、腹が立って、少なくとも3回は立川談志さんを殺そうと思ったことがあったといいます(笑)
「毒蝮三太夫の「笑点」出演は立川談志の猛プッシュからだった!」からの続き
立川談志は強烈な皮肉屋だった
まずは、立川談志さんが、どれだけ腹の立つことを言うのかというと、
ある宴会場でのこと、座ろうと席を探していた人が、立川談志さんに、
すいません。私の座るところはどこでしょうか?
と、聞くと、
立川談志さんは、
こっちへどうぞ
と、上座に招いたそうで、
その人が、
いや、そこは上座だから。下座はどこでしょうね?
と、遠慮して言うと、
立川談志さんはというと、
あんたが座ったとこだよ(「あんたが座ったところが下座なんだよ」という意味で、つまり、「あんたが座ったところ以外全部上座なんだよ」という意味)
と、答えたのだとか。
立川談志を駅のホームから突き落とそうとしていた
さておき、毒蝮三太夫さんも立川談志さんに、相当腹を立てたことがあったといいます。
それは、昔、毒蝮三太夫さんが「劇団山王」をしていた頃、第一生命ホールで芝居をしていたそうで、その受付嬢が美人で、劇団員たちはみんな、その子がエレベーターに乗るときに一緒に乗ろうとしていたそうですが、立川談志さんも、その子に肩入れして口説いていたのだそうです。
ただ、その子には許嫁(いいなずけ)がいて、立川談志さんは断られたそうですが、そんな中、山手線の品川駅のホームで、立川談志さんと電車を待っていた時のこと、
立川談志さんが、
絶対結婚したいんだ
ノン君(受付嬢)を絶対に口説き落とす
と、言ったそうで、
毒蝮三太夫さんは、
ノン君には許嫁がいるんだから、彼女がいやだと言ったらできない相談じゃねえか
と、言ったそうですが、
立川談志さんが、
いや、手籠めにしてもいいからものにする
と、言ったことから、
毒蝮三太夫さんは、これを聞いて腹が立ち、
おまえみたいなやつとは付き合えない!
と、言って、なんと、電車が入ってきた時に、立川談志さんの背中をバーンと突き飛ばしたというのです。
ただ、立川談志さんは、ちょうどその時、ポールに腕を回していたため、電車が来る寸前、クルッと回って元に戻ってきて事なきを得たそうですが、
立川談志さんに、
あぶねーじゃねーか!バカ野郎!落ちるじゃねーか!落ちたらどうする!?
と、言われると、
毒蝮三太夫さんも、負けずに、
死ぬだけだよ。シャレがわからねーな
と、返したのだそうです(笑)
(ちなみに、その後、立川談志さんは、その子(受付嬢)の実家に行き、「則子君(受付嬢)のおなかには僕の子供がいます」と嘘を言ったそうで、最終的には、許嫁に身を引かせ、その子と結婚したのだそうです)
立川談志が麻雀を途中でやめると言い出した際には猟銃で?
また、ある時、麻雀をやっていた時のこと、立川談志さんが、途中で、「やめよう」と言い出したことから、
毒蝮三太夫さんが腹を立て、
ここに猟銃あったら、お前を撃っちゃう
と、言ったことがあったそうですが、
立川談志さん:お前は殺人罪だ
毒蝮三太夫さん:だって猟銃がねえじゃねえか
立川談志さん:あったら撃つだろ?
毒蝮三太夫さん:撃ったよ
立川談志さん:それはお前、刑法で引っかかる
などの、やり取りもあったそうです(笑)
立川談志の長女(松岡ゆみこ)の結婚式では花嫁の父親役を頼まれていた
そんな感じで、毒蝮三太夫さんは、皮肉屋の立川談志さんには、度々、腹が立ち、少なくとも3回は殺したいと思ったことがあったそうですが、
それでも、立川談志さんは、自身の長女(松岡ゆみこさん)の結婚式の時には、当日、バージンロードを歩くのを急に拒否して、毒蝮三太夫さんに頼んできて、毒蝮三太夫さんは、花嫁のお父さん役で花嫁と腕を組んでバージンロードを歩いたそうで、
(毒蝮三太夫さんは、とても嬉しかったそうです)
立川談志さんは、バージンロードの横の最前列で、紋付き袴を着て、
よっ! ゆみこ、いい女!
って言って、手を叩いていたそうですが、
実は、立川談志さんは、子供のいない毒蝮三太夫さんに親の役をやらせてあげようとしていたのだそうです。
また、毒蝮三太夫さんが、名前を芸名の「毒蝮」に変える時にも、
(毒蝮三太夫さんが当時出演していた)「ウルトラマン」のギャラ分(15万円)だったら俺が保証するよ
と、言ってくれたそうで、本名の「石井伊吉」のままだったら、今でも仕事が続けられたか分からないと、立川談志さんには、感謝しているとのことでした。