1993年、蜷川幸雄さん演出の舞台「血の婚礼」に出演して以降、徐々に舞台のオファーが増えていったという、寺島しのぶ(てらじま しのぶ)さんは、1996年には文学座を退所し、舞台を中心に活動すると、2003年には、映画「赤目四十八瀧心中未遂」で、「第27回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞」ほか、数々の栄えある賞を受賞します。
「寺島しのぶは本番中に頭を打ち気を失って倒れていた!」からの続き
寺島しのぶが文学座退所を杉村春子に伝えると快く送り出してもらっていた
1993年に蜷川幸雄さん演出の舞台「血の婚礼」に出演して以降、徐々に舞台のオファーが増えていったという寺島さんですが、文学座の本公演に出演したのは、準座員の時の一度きりで、それ以外はずっと外部の舞台に出演していたそうですが、その方が自分に合っていると思っていたそうで、
1996年には、文学座を退所するべく、杉村春子さんの家に伺い、
文学座を辞めようと思っているんですが・・・
と、言うと、
杉村さんは、
あなたは辞めてもいいわよ。わたしも前からあなたは外でやったほうがいいと思ってたの。だから文学座を背負う必要はないわ
と、言ってくれたそうです。
(寺島さんは、これを聞き、本当にありがたく思ったそうです)
寺島しのぶは初主演映画「赤目四十八瀧心中未遂」で「第27回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞」を受賞
以降、寺島さんは、蜷川幸雄さん、江守徹さん、久世光彦さん、といった演劇界の大御所に度々起用されて、着実に演技の幅を広げ、2001年には、「シベリア超特急2」で映画デビューも果たすと、
2003年には、この世に居場所を見いだせない青年と謎めいた女性の死出の旅路を描いた、車谷長吉さんの同名小説を原作とする、映画「赤目四十八瀧心中未遂」のヒロイン・綾役で、「第27回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞」「第46回ブルーリボン賞 作品賞、主演女優賞」「第28回報知映画賞 主演女優賞」など、数々の映画賞を受賞しています。
「赤目四十八瀧心中未遂」より。寺島さんと大西滝次郎(現・大西信満)さん。
寺島しのぶは小説「赤目四十八瀧心中未遂」を読んでヒロインに魅せられ、原作者の車谷長吉に読者カードで手紙を書いていた
実は、寺島さんは、1998年、車谷長吉さんの直木賞を受賞した小説「赤目四十八瀧心中未遂」を読み、ヒロインの綾に魅せられて、居ても立っても居られなくなり、本に入っていた「読者カード」で車谷さんに手紙を書いていたのだそうです。
すると、その後、この小説が映画化されることになった際、
荒戸源次郎監督が、
綾役で映画に出てみないか
と、声をかけてくれたそうですが、
荒戸監督によると、「綾」役を選ぶため、いろいろな女性に会うも、なかなか決まらずにいたところ、たまたま、車谷さんから、寺島さんから手紙が来たということを聞き、出演のオファーをしてくれたのだそうです。
(車谷さんは5年間も寺島さんからの手紙をとっておいてくれたのだそうです)
寺島しのぶは映画「赤目四十八瀧心中未遂」のオファーがとても嬉しかった
ちなみに、寺島さんは、かねてより、映画女優だった母・富司純子さんから、
映画ってほんとうにすばらしいものよ
と、口癖のように言われていたことから、昔から映画に憧れ、一度挑戦したいと思っていたそうですが、
特に、このオファーを受けた時には、これまで舞台を中心に活動してきていたことから、(お母さんがそれほど言う)映画の素晴らしさを知りたいと思うようになり、役者としてどんなことができるのかも興味が出てきていたそうで、このタイミングでのオファーは本当に嬉しかったそうです。
(しかも、題材は寺島さんが引き込まれた小説だったため、なおさら運命を感じたのだそうです)
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