1985年シーズン、打率3割5分、54本塁打、134打点という驚異的な成績で三冠王に輝き、阪神タイガースの21年ぶりのリーグ優勝および初の日本一に大きく貢献し、MVPも獲得した、ランディ・バース(Randy Bass)さんは、実は、当時のシーズン本塁打記録だった、王貞治さんの55本にあと1本と迫まる中、最終戦2試合の巨人戦で、エース・江川卓投手だけ真っ向勝負してきたことに尊敬の念を抱いたといいます。

「ランディ・バースが三冠王に輝いた秘訣とは?」からの続き

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王貞治のホームラン記録55本にあと1本と迫るも勝負してもらえなかった

バースさんは、1985年10月16日のヤクルト戦で52号、翌日17日のヤクルト戦で53号、20日の中日戦で54号と本塁打を放ち、当時のシーズン本塁打記録だった王貞治さんの55本にあと1本と迫っていたのですが、

最終戦(10月24日)とその前の試合(10月22日)が王貞治監督率いる巨人戦だったことから、巨人バッテリーが王監督を忖度し、バースさんは6四球と勝負してもらえませんでした。

巨人・江川卓投手だけは真っ向勝負してきた

これに対し、バースさんは、

信じられない。こんなことを、もし米国でやったらそのチームは終わる。誰も試合を見に来なくなる。もし選手が王さんの記録を抜かれたくないと思うなら、勝負するのが普通だろ

と、周囲に不満を漏らしていたそうですが、

そんな中、10月22日に先発した江川卓投手だけは、カーブもなしで全部直球で勝負しており、バースさんは、結果は、2打数1安打1四球と、本塁打は打てなかったものの、江川投手のことを讃えています。

(バースさんの江川投手との通算対戦成績は、打率2割2分9厘、3本塁打)

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いつも勝負してくる江川卓投手を「最高のピッチャー」と讃えていた

ちなみに、バースさんは、

巨人の江川(卓)は本当にファンタスティックだった。あの年ではないけど翌年(1986年)に7試合連続本塁打を記録した最後の試合が、日本での最高の思い出なんだ。

あの日は1日、雨が降っていて野球日和ではなかったんだけどね。巨人の王(貞治)監督は江川を投げさせる予定だったから、試合をやりたかったんだと思うよ(笑)。その中で江川と対戦して4打席目まで打てなかった。

そして第5打席でフルカウントから彼が投げたのはストレートだったんだ!それを私が場外にホームランしたんだけど、最高の思い出となったのは記録や飛距離だけではないんだよ。江川が勝負してくれたことが忘れられない最高の思い出を作ってくれたんだ。

江川は素晴らしいピッチャーだったし、いつも勝負してきた。敬意を表するし、尊敬もしている。いい勝負だったし、その勝負に私は勝ったんだ

と、語っています。

(バースさんは、1986年7試合連続本塁打の日本タイ記録(6月26日)を放っているのですが、真ん中まっすぐで勝負してきた江川投手の球は、リリース寸前まで真っ直ぐかカーブか見分けがつかなかったそうです)

「ランディ・バースは吉田義男監督と確執があった?」に続く


巨人のエース・江川卓投手と対戦するバースさん。

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