日本映画黄金期に活躍された、女優の京マチ子(きょう まちこ)さん。黒澤明監督や、溝口健二監督など、名だたる巨匠の作品で、セクシー系美人女優として、人気を博されました。
年齢は?出身は?本名は?
京さんは、1924年3月25日生まれ、
大阪府大阪市のご出身、
本名は、矢野元子(やの もとこ)で、
1987年に「紫綬褒章」
1994年に「勲四等宝冠章」
を受賞されています。
ちなみに、上の写真は、「勲四等宝冠章」受賞の時のもので、この時すでに、80歳!
とても80歳には見えませんね~
生い立ち
京さんは、3歳の時、お父さんが家族をおいてブラジルに渡ると、5歳の時には音信が途絶えてしまい、お母さんとおばあさんに育てられたそうです。
なぜ京さんが、女優を目指されたのかは分かりませんでしたが、京さんは、1936年、12歳の時に、「大阪松竹少女歌劇団」に入団されると、
舞台女優として活躍する一方で、1944年、20歳の時には、「団十郎三代」「天狗倒し」など、いづれも松竹の映画に出演されています。
羅生門で三船敏郎と共演しブレイク
その後、京さんは、1949年、25歳の時に大映にスカウトされて入社されると、同年、「最後に笑う男」「痴人の愛」などの映画に出演され、翌年の1950年には、黒澤明監督の「羅生門」で、ヒロイン真砂役に抜擢。
「羅生門」での京さんと三船敏郎さん。
この映画は、芥川龍之介の短編小説、「藪の中」と「羅生門」を、黒澤監督がミックスして脚色したそうで、京さんは、劇中、少女のような可憐さ、妖艶さ、そして、激しい情念といった、女性が持つ性(さが)を見事に演じられたのでした。
ちなみに、この映画は、「ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞」「アカデミー賞名誉賞」を受賞するという、日本映画初の快挙を成し遂げており、これをきっかけに、黒澤監督や日本映画が、世界で評価されるようになったのだそうです。
グランプリ女優
そして、1953年には、京さんがヒロインを演じられた、溝口健二監督の「雨月物語」が、「ヴェネツィア国際映画祭」サン・マルコ銀獅子賞受賞、
「雨月物語」より。
衣笠貞之助監督の「地獄門」が、「カンヌ国際映画祭」でグランプリ獲得と、
「地獄門」より。
と、京さんが主演を務められた映画が、国際映画祭で次々と賞に輝いたことから、京さんは、「グランプリ女優」と呼ばれたのでした。
出演作品(映画、テレビドラマ)
その後も、京さんは、数多くの映画に出演されているのですが、1971年に「大映」が倒産すると、活動の場を、映画からテレビや舞台へと移されています。
それでは、ここで、京さんの主な出演作品をご紹介しましょう。
映画では、
1944年「団十郎三代」
1949年「最後に笑う男」
1950年「火の鳥」
1951年「源氏物語」
1952年「長崎の歌は忘れじ」
1953年「地獄門」
「最後に笑う男」より。
1954年「千姫」
1955年「楊貴妃」
1956年「八月十五夜の茶屋」
1957年「夜の蝶」
1958年「有楽町で逢いましょう」
1959年「鍵」
「千姫」より。市川雷蔵さんと京さん。
1960年「流転の王妃」
1961年「濡れ髪牡丹」
1962年「黒蜥蜴」
1963年「女系家族」
1964年「現代インチキ物語 ど狸」
1966年「沈丁花」
「沈丁花」より。(左から)京さん、司葉子さん、団令子さん、星由里子さん。
1969年「千羽鶴」
1970年「玄海遊侠伝 破れかぶれ」
1974年「華麗なる一族」
1975年「金環蝕」
1976年「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」
1984年「化粧」
「化粧」より。(左から)和由布子さん、池上季実子さん、松坂慶子さん、京さん。
テレビドラマでは、
1964年「あぶら照り」
1968年「土曜劇場・春一番」
1969年「赤ん坊夫人」
1970年「蘭の殺人」
1972年「嫁ふたり」
1973年 NHK銀河テレビ小説「天気晴朗なれど」
「蘭の殺人」より。
1977年「横溝正史シリーズ・犬神家の一族」
1979年「家路PART2」
1981~1984年「必殺シリーズ」
1982年「ああ離婚」
1983年「女たちの課外授業」
1986年「花王名人劇場・姥ざかり」
「横溝正史シリーズ・犬神家の一族」より。京さんと古谷一行さん。
「必殺仕舞人」より、坂東京山役の京さん。
1987年 NHK銀河テレビ小説「金婚式」
1988年「水曜グランドロマン・女たちの百万石」
1990年「凪の光景」
1994年 NHK大河ドラマ「花の乱」
1999年 NHK大河ドラマ「元禄繚乱」
2000年「晴れ着ここ一番」
「元禄繚乱」より。萩原健一さんと京さん。
ほか、数多くの作品に出演されています。
結婚は?
そんな京さんのプライベートですが、
京さんは、一度も結婚されておらず、独身を貫かれています。
女優一筋でこられた、ということなのでしょうね。
現在は?
80歳を過ぎても、舞台などで活躍されていた京さんですが、最近は、活動はされておらず、地元大阪で暮らしておられるようです。
2014年に、ピーターさんのブログに、京さんが登場していますので、ご紹介しましょう。
ピーターさんは、
何と、大好きな、京 マチ子さん、
お隣に座れて、
映画のお話や、
ゆっくり話せました~(o^-‘)b !
かなり興奮しました。
と綴られていました。
京マチ子さん(左)とピーターさん(右)。
上品なおばあ様といった感じで、とてもお元気そうですね。
そして、2015年11月には、早稲田大学演劇博物館で、「映画女優 京マチ子展」が開催されているのですが、京さんご本人が、映画際で受賞した、トロフィーや出演作の写真、ポスター等を寄贈されたことで実現したのだとか。
同博物館の木原圭翔さんは、最近の京さんについて、
ご高齢だけど本当にお元気に見えた。記憶も明晰で、出演された映画について、思い出話をいろいろされた。モノに執着されないようで(寄贈物の扱いなどは)「全部お任せします」という形だった。
と、明かされていました。
確かに、写真でも、とても90歳を回っているとは思えない肌つやですし、シャキッとされているご様子が伺えます。
ちなみに、この展示会は、200人収容の講堂が、連日満員だったそうで、現代においても、京さんの人気ぶりが分かる結果となったのでした。
死因は?
しかし、そんな京さんも、寄る年波には勝てず、2019年5月14日、「心不全」のため都内の病院で他界。(享年は95歳)
「東宝」は、京さんの訃報を、
かねてより療養中のところ、5月12日の昼12時18分に、心不全のため都内の病院にて亡くなられました。生前のご遺志により、石井ふく子さんら数名の友人の立会いのもと、本日14日、密葬を済ませました。
石井ふく子さんによりますと、数年前、京さんがお元気な頃に大好きなハワイへ赴き、自ら手配なさったお墓に入るとのことです。
と、書面で報告しています。
さて、いかがでしたでしょうか。
- 年齢は?出身は?本名は?
- 生い立ち
- 羅生門で三船敏郎と共演しブレイク
- グランプリ女優
- 出演作品(映画、テレビドラマ)
- 結婚は?
- 現在は?
- 死因は?
もし、まだ京さんをご覧になったことがない方は、是非この機会に、かつて世界を虜にされた演技、御覧ください。
心より、京さんのご冥福をお祈り致します。