1947年、新東宝に助監督として入社し、1952年、「恋の応援団長」で映画監督デビューした、井上梅次（いのうえ うめつぐ）さん。
そんな井上梅次さんは、その後、1957年には、「嵐を呼ぶ男」で、デビュー間もない石原裕次郎さんをスターダムへと押し上げると、以降、娯楽映画を中心に、数多くの映画やテレビドラマで監督を務めています。
今回は、井上梅次さんの、若い頃からの経歴と、妻や娘、死因についてご紹介します。
井上梅次のプロフィール
井上梅次さんは、1923年5月31日生まれ、
京都府京都市下京区の出身、
学歴は、
京都市立第一商業学校
⇒慶應義塾大学経済学部卒業
だそうです。
井上梅次は「恋の応援団長」で映画監督デビュー
井上梅次さんは、大学在学中の1943年に応召され、関東軍経理学校生（陸軍の軍学校）となるも、終戦後の1945年には復学すると、1946年には、東宝争議（東宝で発生した労働争議）により、東宝から発足した新東宝組合製作の映画、「緑は異なもの」にアルバイトの助監督として参加したそうで、
翌年の1947年には、新東宝（東宝争議により東宝から新しく設立）に助監督として入社すると、佐伯清、千葉泰樹、阿部豊監督に師事し、1952年には、「恋の応援団長」で監督デビューを果たしています。
「恋の応援団長」の映画制作現場より。（左から）小林桂樹さん、井上監督、関千恵子さん。
井上梅次は「嵐を呼ぶ男」で石原裕次郎をスターにしていた
井上梅次さんは、以降、1954年まで、新東宝で主にコメディや歌謡映画の監督をしているのですが、
1955年に日活から引き抜かれ、1957年、売り出し中だった石原裕次郎さんを主人公とした、映画「勝利者」「鷲と鷹」「嵐を呼ぶ男」などで監督を務めると、映画は大ヒットを記録。
井上梅次さんは、石原裕次郎さんをスターダムに押し上げると同時に、「日活アクション」の人気に大きく貢献したのでした。
井上梅次は香港でも活躍していた
その後、井上梅次さんは、1960年にフリーとなると、宝塚（配給は東宝）、大映、松竹、東映の4社で活躍するほか、1963年～1968年には、「香港ショーブラザー社」で映画を制作すると、
「香港ノクターン(1966)」のティーチ・イン風景。左から2人目が井上梅次監督。
1977年からは、コマ劇場「金色夜叉」、帝国劇場「パノラマ島綺譚」など、舞台の脚本や演出を担当し、
さらに、テレビでも、
- 1976年（53歳）「白い秘密」
- 1977年（54歳）「江戸川乱歩の美女」シリーズ
- 1978年（55歳）「大空港」
- 1980年（57歳）「ハングマン」
- 1984年（61歳）「京都マル秘指令 ザ新選組」
ほか、数多くの単発、連続ドラマで、監督を務めています。
井上梅次の死因は？
ただ、そんな井上梅次さんも、1987年、64歳の時、映画「暗号名 黒猫を追え!」で、監督・脚本を務めた後は記録がなく、どうされていたのか不明で、
2010年、「脳出血」のため、86歳で他界されています。
ちなみに、告別式には、三國連太郎さん、宍戸錠さん、浅丘ルリ子さん、近藤真彦さんら、約600名が出席し、
近藤真彦さんは、1983年に、「嵐を呼ぶ男」のリメイクで、主演を務めていたことから、
息子というより、孫をいたわるように教えていただきました。
監督に細かく教わったことを、忘れないで伝えたいと思います。
と、コメントしています。
井上梅次の妻は月丘夢路
ところで、井上梅次さんの気になるプライベートですが、
井上梅次さんは、1958年10月、元宝塚歌劇団娘役で女優の、月丘夢路（つきおか ゆめじ）さんと結婚しています。
披露宴での月丘夢路さんと井上梅次さん。
お二人の馴れ初めなど、詳しいことは分かりませんでしたが、月丘夢路さんは、ジャニーズ事務所の社長（当時）、ジャニー喜多川さんと親交があり、舞台などでジャニーズ事務所のタレントとよく共演していたそうで、
その縁からか、井上梅次さんも、1980年代、近藤真彦さん主演の「嵐を呼ぶ男」のリメイクをはじめ、ジャニーズタレント主演の映画で監督を務めています。
また、井上梅次さんは、「ルナ」という喫茶店も経営していたそうですが、「ルナ」はスペイン語で「月」という意味なので、もしかしたら、奥さんの名前から取ったのかもしれません。
（ちなみに、月丘夢路さんも、2017年5月3日、肺炎により94歳で他界されています）
娘は井上絵美
そんな井上梅次さんと月丘夢路さんの間には、井上絵美さんという娘さんがいます。
井上絵美さんは、料理研究家をしており、フランスで、フランス料理、フランス菓子を学ぶと、帰国後は東京・青山に、料理教室「エミーズ」を設立。
そのほか、食器やエプロンなどのキッチン雑貨や調味料をプロデュースするなど、お料理関係を中心に幅広く活動していましたが、2021年、62歳の時には、オープンから30年続いた「エミーズ」を閉店しており、現在は、悠々自適な生活を送っているようです。
井上絵美さん。
さて、いかがでしたでしょうか？
その生涯で、110本を超える映画と150本を超えるテレビドラマを監督し、ピンク映画系を除けば、最も多くの映画を監督した井上梅次さん。
お客さんが日頃の憂（う）さを忘れて楽しめる、”娯楽映画”を追求していたとのことで、その徹底したサービス精神は、「江戸川乱歩の美女」シリーズなど、テレビドラマでも発揮されています。
ちょっと疲れた夜は、井上梅次さんの映画やドラマを観てみられてはいかがでしょう。
