1985年、妻の夏目雅子さんが他界すると、自分の不甲斐なさを責め、自暴自棄な生活を送られていた、伊集院静(いじゅういん しずか)さんですが、友人たちの助けもあり、次第に生きる意欲を取り戻し、作家への道を歩み始めます。

「伊集院静の元嫁は夏目雅子!不倫で結婚!桃井かおりとも?子供は?」からの続き

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自暴自棄な生活から作家へ復帰

夏目さんが闘病中、アメリカの病院に行けば日本よりも治る可能性が高い、
と耳にするも、当時はその何千万円という大金が工面できず、

自分の力不足を情けなく思い、また、お金に対する憤りから、

二度と金で揺さぶられる人生はしない、
どれだけ金を積んできてもビクとも動かない生き方をしていこう

と、決意された伊集院さんですが、

夏目さんの死後は、生きることも死ぬこともどうでもよくなり、
とてつもない借金を繰り返しては、喧嘩、ギャンブル、酒浸りと、
荒れた日々を送ります。

すると、ついにアルコール中毒になり、入院を余儀なくされるのですが、
そんな伊集院さんを救ってくれたのが、先輩や友人たちだったそうで、
先輩プロデューサーが、気晴らしのために宮古島へ連れていってくれたほか、

漫画家の黒鉄ヒロシさんからは、何度も「小説を書いたら」と勧められ、
田舎でくすぶっていた伊集院さんに「上京してきなさい」と、
絵入りの心のこもった手紙をくれたそうで、ついに上京。

その時、作家の色川武大さんを紹介されると、そこから、色川さんとの交流が始まり、
色川さんと過ごす温かな時間の中で、伊集院さんは次第に癒やされていきます。


色川さんと過ごした日々を綴った「いねむり先生 (集英社文庫)」

そして、夏目さんが生前、伊集院さんの小説を、
映画監督の篠田正浩さんや演出家の久世光彦さんに読んでもらい、

「あの人は小説家になるべきだと思うんです」

と言っていたことも知ると、やがて、生きる希望を取り戻し、
本格的に小説を書き始めるようになられたのでした。

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現在の妻は篠ひろ子

そんな伊集院さんは、1992年には、
女優の篠ひろ子さんと、3度目の結婚をされているのですが、

篠さんとは、夏目さんを偲ぶ会で、夏目さんのお兄さんの妻で、
「キャンディーズ」の田中好子さんから紹介され、知り合われたそうで、

夏目さんの7回忌が済んだことと、「直木賞」受賞を一つの区切りとして、
再婚を決意されたそうです。(1992年「受け月」「第107回直木賞」を受賞)


受け月 (講談社文庫)

そして、結婚する時には、篠さんの両親に、
夏目さんのことは書かないと約束したそうですが、

2011年に「東日本大震災」が起こると、

大きな別れを経験した人に、あなただけが悲しいわけではないと伝えたい。
そこで経験したものが力になり、その人の中で亡くなった人が生きていると伝えたい。

と思うようになり、これまで封印してきた夏目さんの思いを開放。
2017年には「さよならの力 大人の流儀7」を出版されています。

実は、篠さんはもちろん、篠さんのご両親、
そして、夏目さんのご両親の後押しもあったようで、

伊集院さんは、

あふれるほどの悲しみを抱え込んだ人の痛みを和らげたかった。
自分が雅子さんを亡くした時にどうだったかを語っておくことは、
作家として必要なことなのかもしれないと思った。

と、大切な人を亡くした人々を癒やしながらも、
自身の魂を癒やす作業でもあったようですね。


さよならの力 大人の流儀7

さて、いかがでしたでしょうか。

篠さんと結婚後は、しばらく、篠さんが住む都内のマンションで一緒に暮らすも、
その後、篠さんの故郷、宮城県仙台市に引っ越し、現在はそこで、
愛犬とともにゆっくりと暮らされている伊集院さんですが、

それにしても、大学時代には、自身の身代わりに、
家業を継がされることになった弟さんが事故死するも、家業を継がず、
冒険家を夢見ていた弟さんの意志を継ぐといって、やりたいことをし、

不倫の末、妻子を捨てて、結ばれた夏目さんが亡くなると、
悲しい、辛い、と公然と言い、挙句の果てに本まで出版できる、
図太い神経は驚愕ものです。

ただ、その本がきっかけで、小説家として成功されているのですから、
やはり、こういう風に図太く自分の幸せだけを追求する人が、
人にない発想が浮かび、成功を勝ち取ることができるのかもしれませんね。

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