「想い出にかわるまで」、朝ドラ「ひらり」など、脚本を担当したテレビドラマが次々とヒットを記録し、たちまち人気脚本家の地位を確立された、内館牧子(うちだて まきこ)さん。今回は、そんな内館さんの脚本作品をご本人のコメントや画像を交えてご紹介します。

「内館牧子の昔は松下由樹で人気脚本家に!朝ドラひらりも!」からの続き

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「終わった人」

内館さんは、2015年、仕事一筋だった一流企業のサラリーマンの定年後の悲哀を描いた著書「終わった人」を発表すると、累計35万部を売上げるベストセラーとなり、2018年6月には、映画化もされています。


「終わった人」より。舘ひろしさんと黒木瞳さん

ちなみに、この作品、仕事一筋で一流企業のサラリーマンだった田代壮介(舘ひろしさん)が、出世コースから外れて子会社に飛ばされ、やがて、その子会社で定年を迎えるのですが、

壮介が、一日中、何もすることがなく、時間を持て余す毎日を送る一方で、妻の千草(黒木瞳さん)はというと、40代の時に美容学校に通いはじめると、今も現役の美容師として生き生きと働いており、

壮介は、そんな妻や、すでに結婚している娘から、「恋でもしたら?」とからかわれる毎日に、「このままではマズイ」と思い始め・・・というストーリーで、


終わった人

内館さんは、

あの舘さんがダサめの普通のおじさんを演じるのか、と最初は思ったんです。でも完成した映画を観て、舘さんでよかったと思いました。ご自分でもおっしゃっていたけれど、安い服を着ても似合っていて、チラッとかっこいいところが出ちゃうの(笑)。

でもそのチラッがあるからこそ、若い頃は仕事をバリバリして女を泣かせるようなこともしていたんだろうな、と思わせるんですね。今のしょぼくれた状況とのギャップが生まれて、とてもよかったと思います。

この先、どうしようかと悩んでいる人が多い世代ですよね。千草の場合は専業主婦としてやってきたけれど、人望はあっても運がなくてエリート街道を進めなかった夫の会社でのポジションも見えてきた。

そこでもしも何かあったら私が食べさせるわって、簡単な道ではないことは理解しつつも行動を起こした婦人を描きたかったんです

と、語っておられます。

「すぐ死ぬんだから」

また、内館さんは、2018年8月には、すでに78歳となった主人公・ハナが「すぐ死ぬんだから」と頑なにまで自分に言い聞かせながら、長いのか短いのかも分からない「老い先」を生きていく姿を描いた著書「すぐ死ぬんだから」を発表すると、こちらもたちまちベストセラーを記録。


すぐ死ぬんだから

内館さんは、

『終わった人』の後が『すぐ死ぬんだから』というのは強烈だとずいぶん言われましたよ(笑い)。

この言葉は、実際に私が後期高齢者の方と話して何度も耳にしたものです。娘や嫁から“もうちょっと綺麗な格好をしたら”と言われても、反射的に“いやいや楽が一番。すぐ死ぬんだから”と返す。

まるで、手を抜くための免罪符のように使われている。私には、この一言が今の老人を老人たらしめているように思えたんです。

確かに、どんなに若くいようとしても、78歳のハナには忍び寄るものがある。気を緩めるとふと出てきてしまいそうな“すぐ死ぬんだから”という言葉に、それでも抗うハナの姿を見せたかった。

と、この刺激的なタイトルに込めた思いを語っておられます。

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脚本作品(映画、テレビドラマ)

それでは、ここで、内館さんが脚本を担当した主な作品をご紹介しましょう。

映画では、

1988年「BU・SU」
1993年「REX 恐竜物語」


「BU・SU」より。富田靖子さん

テレビドラマでは、

1981、1982年「特捜最前線」(※原案・岸牧子名義)
1987年「妻たちの課外授業II」(※後半部のみ2本。畑嶺明さんと共同執筆。)
1988年「東芝日曜劇場『バックレディに春が来た!』」(※直前に放送中止となり、現在も未放送。)
1988年「風少女」
     「水曜グランドロマン『バラ』」
1989年「オイシーのが好き!」
     「Winkの初体験!ドラマ コンプレックス 可愛いコになれない」
     「東芝日曜劇場『私の青空 -My Blue Heaven-』」
     「水曜グランドロマン『リトルボーイ・リトルガール』」
     「うらぎり」

1990年「想い出にかわるまで」
     「東芝日曜劇場『切ないOLのために』」
     「水曜グランドロマン『男と女のエアポート』」
     「クリスマスイブ」


「クリスマスイブ」より。仙道敦子さんと吉田栄作さん。

1991年「東芝日曜劇場『まま・あい・らぶ・ゆー』」
     「千代の富士物語」
     「水曜グランドロマン『嫁と姑フリフリ’91』」
     「東芝日曜劇場『切ないOLの反乱』」
     「もう一度別れのブルースを 淡谷のり子物語」
     「あしたがあるから」


「千代の富士物語」より。宮下直紀さん


「あしたがあるから」より。中嶋朋子さんと今井美樹さん

1992年「…ひとりでいいの」
     「オバサンなんて呼ばないで!」
     「連続テレビ小説『ひらり』」
1993年「都合のいい女」
1994年「坊っちゃん -人生損ばかりのあなたに捧ぐ-」
     「出逢った頃の君でいて」
     「てやんでえッ!!」

1995年「転職ロックンロール」
     「寝たふりしてる男たち」
     「妻の恋」
1996年「義務と演技」
1997年「大河ドラマ『毛利元就』」
1998年「愛しすぎなくてよかった」
     「必要のない人」


「毛利元就」より。富田靖子さんと中村橋之助さん。

1999年「週末婚」
2000年「NHK朝の連続テレビ小説『私の青空』」
2001年「昔の男」
2002年「NHK朝の連続テレビ小説『私の青空2002』」
2003年「年下の男」
     「金曜時代劇『転がしお銀 父娘あだ討ち江戸日記』」


「私の青空200」より。田畑智子さん

2005年「汚れた舌」
2007年「白虎隊」
2010年「塀の中の中学校」
2015年「エイジハラスメント」
2016年「ハートロス 〜虹にふれたい女たち〜」


「エイジハラスメント」より。稲森いずみさん、小泉孝太郎さん、武井咲さん

など、数多く執筆されています。

「内館牧子は朝青龍を嫌ってなかった?横綱の品格が欠けていただけ?」に続く

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