20代にして、「あした輝く」「アリエスの乙女たち」などがヒットし、人気漫画家の地位を確立すると、
1983年、35歳の時には、持統天皇の生涯を描いた「天上の虹」の連載を開始し、掲載誌の休刊という逆境を乗り越えて、30年もの歳月をかけて完結させ、漫画文化の地位向上に大きく貢献した、里中満智子(さとなか まちこ)さん。
今回は、そんな里中満智子さんの、若い頃から現在までの経歴を、漫画作品を交えて時系列でご紹介します。また、最後には、これまでの漫画作品と著書の一覧、受賞歴もご紹介します。

「里中満智子の若い頃は?高校生で漫画家デビュー!中退して単身上京していた!」からの続き
里中満智子は24歳の時に「あした輝く」が大ヒット
里中満智子さんは、1972年、24歳の時、満州引き揚げや戦後の混乱期を舞台に、過酷な運命に翻弄されながらも、ひとつの愛を貫いた女性の半生を描いた「あした輝く」を「少女フレンド」で連載開始すると、
当初、担当の編集者は、
そんな地味な漫画が受けますかね
と、懐疑的だったそうですが、
少女漫画の枠を超えた壮大な人間ドラマとして、大ヒットとなり、1974年には、浅田美代子さんと志垣太郎さん主演で、映画化もされました。
里中満智子は25歳の時に「アリエスの乙女たち」が大ヒットし人気漫画家の地位を確立していた
また、里中満智子さんは、1973年、25歳の時には、「週刊少女フレンド」で、同じアリエス(おひつじ座)のもとに生まれながら、対照的な愛を貫ぬく異母姉妹の葛藤を描いた「アリエスの乙女たち」の連載を開始すると、
「愛とは何か」を真正面から問うた情熱的なラブストーリーは、読者の熱狂的な支持を集めて、大ヒットとなり、
1987年には、南野陽子さん、松村雄基さん主演で、テレビドラマ化されると、こちらも高視聴率を記録。
こうして、里中満智子さんは、1970年代、20代にして、「アリエスの乙女たち」のほかにも連載を8本抱え、月700ページを描く人気漫画家となると、主に、運命に立ち向かう強い女性像を描いた作品で、スター作家としての地位を確立したのでした。
ちなみに、この「アリエスの乙女たち」は、当時としては大胆な愛の描写があり、親世代から、
ふしだらな行為を勧めるな
との猛烈な抗議が来たそうで、それほど、社会的インパクトを与えたのですが、
もちろん、里中満智子さんの意図は、その逆で、20代半ばで、そろそろ、本気の恋愛物を描きたいと思ったことから、この「アリエスの乙女たち」の連載を始めたそうで、
里中満智子さんは、
この頃は反体制運動やウーマン・リブが盛り上がった時代で、女性も、恋愛を自由に謳歌しようという風潮が社会に広まっていました。けれどその末に、心身ともに傷ついてしまう女性もいるように感じていたのです。
だから、私のマンガの読者である思春期の少女に、きちんと考えた上で恋をしてもらいたかった。大人になる前に、愛とは何かを真剣に考えてほしかったのです。
と、語っています。
すると、そんな中、女子学生だけではなく、(姉、妹、女友達が読んでいて知ったのか)男子学生からも反響があったそうで、とても嬉しかったといいます。
また、里中満智子さんは、
愛は思いやりなのか、それとも、ぶつかり合いなのか。そんな議論をはじめ、同性愛や、既婚者との恋、複数の人を同時に愛することなど、さまざまな愛のあり方について、10代が悩み、傷つき、語り合うマンガです。
とも、語っています。
里中満智子は30歳の時に「あすなろ坂」が高く評価されていた
その後も、里中満智子さんの快進撃は続き、1978年、30歳の時には、「月刊ミミ」で、「あすなろ坂」の連載を開始すると、
明治から昭和の激動の時代を舞台に、一人の女性の波乱万丈な人生を描いたこの作品は、時代に左右されない人間模様を描いた作品として高く評価されました。

「あすなろ坂」
里中満智子は30歳の時に「海のオーロラ」が大ヒット
また、里中満智子さんは、同年(1978年)、「週刊少女フレンド」で、「海のオーロラ」の連載を開始しているのですが、
愛し合いながらも悲劇的な別れを繰り返す男女が時代を超えて何度も巡り合う姿を描いたこの作品は、少女漫画の枠を大きく超えた壮大なスケールが、読者に鮮烈な印象を与え、大ヒットとなっています。

「海のオーロラ」
里中満智子は35歳の時に持統天皇の生涯を描いた「天上の虹」が大ヒット
そんな里中満智子さんは、1983年、35歳の時には、雑誌「mimi DX」(12月号)で、飛鳥時代を舞台に第41代・持統天皇の生涯を描いた「天上の虹」の連載を開始すると、
一人の女性としての苦悩や、真の国づくりに情熱を注ぐ姿を丁寧に描いたこの作品は、日本の歴史ロマン漫画の金字塔とも言える大ヒットとなっています。

「天上の虹」
ちなみに、この「天上の虹」は、里中満智子さんのライフワークとなっており、実に30年もの歳月をかけて2015年3月に完結しているのですが、
(単行本にして全23巻、全67章)
里中満智子さんは、完結まで30年越しとなったことについて、
最初は10年ぐらいのつもりだったんですよ。ところが掲載誌がなくなり、引っ越した雑誌もなくなって。15巻からは書き下ろしで続けましたが、締め切りがないのでつい時間をかけてしまって。
25年目ぐらいからは読者の方からも「生きているうちに結末が読みたい」と言われ(笑)申し訳なく思っていたので、無事、完結してホッとしています。
と、語っています。
また、連載のきっかけについては、
連載のきっかけは万葉集が大好きだったから。読み始めたのはちょうど初恋の頃で、ステキな歌を探して、学校の図書館で読んで驚きました。
昔は、身分の高い男性は身分が下の女性を好きなようにできると思い込んでいたんですよ。時代劇の悪いお代官様みたいに。ところが万葉集を読むと、やんごとなき御方が「思いを寄せる彼女がなぜ振り向いてくれないのか」と悩んでいる。
男女の差も身分の差もなく、恋に悩む感情を素直に歌にしていたんですね。この活き活きした歌を詠んだ人たちは、どういう人たちだったのだろう…。
調べていくと、この時代は女性の権利が後の武家社会と違っていました。女性も仕事を持ち、政治に関わり、私有財産もあって、決して“女三界に家なし”ではなかったのです。
女帝の持統天皇を主人公にしたのは、律令制を整え、政治手腕も発揮したのに悪い印象ばかり伝えられていたから。そうしたイメージは後の時代に勝手につけられたと思います。
私は万葉集で持統天皇の作品を読み、冷静な方だと判断しました。現代の私たちと同じで、一生懸命生きていた。ですので、歌から入って気持ちに寄り添い、その人の立場に立って描きたいと思ったのです。
と、語っています。
里中満智子の現在は?
その後も、里中満智子さんは、漫画を描き続け、
現在は、
- デジタルマンガ協会 副会長
- 文化庁文化審議会委員
- 公益社団法人日本漫画家協会理事長
- 大阪芸術大学キャラクター造形学科の教授・学科長
などを務めるほか、
後進の育成やマンガ文化の振興に尽力しています。
また、2026年2月現在も、公式ブログなどで、作品(「天上の虹」など)の配信情報を発信するなど、精力的に活動を続けています。
里中満智子の漫画作品一覧
それでは、最後に、里中満智子さんの漫画作品の一覧をご紹介しましょう。
- 「一番星みつけた」(1967年、講談社)
- 「ナナとリリ」(1968年)
- 「絵里子」(1969年、朝日ソノラマ)
- 「恋人たちの物語」(1969年、朝日ソノラマ)
- 「愛のコンチェルト」(1970年、朝日ソノラマ)
- 「銀河はるかに」(1971年、朝日ソノラマ)
- 「わが愛の記録」(1971年、朝日ソノラマ)
- 「海鳴りがやむとき」(1973年、朝日ソノラマ)
- 「ララ・ハート」(1973年、朝日ソノラマ)
- 「アリエスの乙女たち」(1973年連載)
- 「あした輝く」(1974年、講談社)
- 「しあわせですか?」(1974年、講談社)
- 「恋人はあなただけ」(1975年、講談社)
- 「6月4日月曜日」(1975年、講談社)
- 「レモンの季節」(1976年、講談社)
- 「Pinkyピンク」(1976年、講談社)
- 「クレオパトラ」(1976年、講談社)
- 「さすらい麦子」(1976年、講談社)
- 「アップルマーチ」(1976年、講談社)
- 「プラスマイナス大爆発」(1977年、講談社)
- 「愛の時代」(1977年、講談社)
- 「風のゆくえ」(1978年、講談社)
- 「あかね雲」(1978年、講談社)
- 「悪女志願」(1979年、講談社)
- 「天上の虹」(1983年、講談社)
- 「パンドラ」(1984年、小学館)
- 「風の構図」(1984年、講談社)
- 「浅葱色の風―沖田総司」(1984年、講談社)
- 「北回帰線」(1984年、講談社)
- 「わが愛の記録」(1984年、ほるぷ出版)
- 「愛人たち」(1986年、講談社)
- 「愛生子」(1988年、講談社)
- 「さよならの理由(わけ)」(1988年、講談社)
- 「積乱雲」(1989年、講談社)
- 「あすな路坂」(1990年、講談社)
- 「海のオーロラ」(1991年、中央公論社)
- 「長屋王残照記」(1991年、徳間書店)
- 「女帝の手記―孝謙・称徳天皇物語」(1992年、読売新聞社)
- 「アトンの娘」(1994年、小学館)
- 「夢色果実」(1994年、講談社)
- 「まちこの千夜一夜 ショートショート劇場」(1995年、翔泳社)
- 「4階のミズ桜子」(1995年、翔泳社)
- 「心中天網島」(1996年、中央公論社)
- 「ラファエロ―その愛」(1996年、美術出版社)
- 「鶴亀ワルツ」(1997年、小学館)
- 「マンガ ギリシア神話」(1999年、中央公論新社)
- 「戦国美濃の群像」(2001年、岐阜県企画)
- 「マンガ 名作オペラ」(2003年、中央公論新社)
- 「ブッダをめぐる人びと」(2006年、佼成出版社)
- 「花影 千葉佐那の愛」(2010年、講談社)
- 「マンガ旧約聖書」(2011年、中央公論新社)
- 「若き日のブッダ ゴータマ・シッダールタ」(2013年、中央公論新社)
- 「古事記」(2013年、小学館)
- 「かたづの!」(2019年、集英社)
ほか、多数、出版しています。
里中満智子の著書(漫画以外)
また、里中満智子さんは、漫画作品以外にも、
- 「愛し始めたあなたに」(1975年、講談社)
- 「マンガ愛してます」(1977年、大和書房)
- 「満智子の人生相談 自分を発見したい女へ」(1986年、講談社)
- 「恋歌・万葉集」(1987年、光文社)
- 「里中満智子のマンガ入門 人よりちょっとうまく描くテクニック」(1987年、光文社)
- 「万葉集」(1990年、学習研究社)
- 「純白」(1993年、スコラ)
- 「シンデレラストーリーにだまされないで 里中満智子漫画家生活30周年記念エッセイ集」(1994年、NTT出版)
- 「タマタマ女」(1996年、実業之日本社)
- 「人生の贈り物 人の出会いとぬくもりを求めて」(1997年、講談社)
- 「グルーヴ地獄V」(1998年、ソニー・ミュージックエンタテインメント)※イラスト
- 「円空―魂の形を求めつづけた旅人」(1999年、メディアファクトリー)
- 「シェイクスピア・ジュニア文学館」(2001年、汐文社)※挿絵
- 「里中満智子の健康法の女王」(2003年、マキノ出版)
- 「里中満智子のコミック実技講座 DVD」(2005年、小池書院)
- 「古代史から読み解く『日本』のかたち」(2018年、祥伝社)※倉本一宏との共著
- 「漫画を描く―凛としたヒロインは美しい」(2024年、中央公論新社)
など、数多くの著書を出版しています。
里中満智子の受賞暦
そんな里中満智子さんは、
- 1964年「ピアの肖像」で「第1回講談社新人漫画賞」
- 1972年「あした輝く」「姫が行く!」で「講談社出版文化賞」
- 1982年「狩人の星座」で「第6回講談社漫画賞」
- 2006年 全作品及び文化活動に対して「日本漫画家協会賞文部科学大臣賞」
などを受賞するほか、
2023年には、文化功労者にも選出されています。
「里中満智子は病気(卵巣嚢腫・子宮頸ガン・子宮筋腫)で度々手術していた!」に続く
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