長らく、誰もが、名前は知らなくとも一度はどこかで見たことがあるような役者だった、笹野高史(ささの たかし)さんですが、2006年、ついに、その名前が世間に広く知られることとなります。今回は、そんな笹野さんの、出世作、秀吉、歌舞伎について調べてみました。

「笹野高史の若い頃は?船乗りから俳優?渥美清の言葉でワンシーン役者に!」からの続き

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映画「武士の一分」で「日本アカデミー賞最優秀助演男優賞」を受賞

こうして、渥美清さんの言葉を胸に、「ワンシーン役者」としてのプライドを持って、数多くの映画やテレビドラマに出演された笹野さんは、

2006年、58歳の時には、映画「武士の一分」で、「第30回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞」ほか、数々の映画賞を総なめ。ついに、その名前を世の中に知らしめます。


「武士の一分」より。檀れいさんと笹野さん。

そして、授賞式では、名前が呼ばれた笹野さんは、緊張していた顔が「えーっ」という驚きの声とともにほころびますが、3人の息子さんが花束を持ってステージに上がると、ほころんでいた顔が泣き顔になり、

表舞台、晴れがましいところが苦手で、私には似合わない。この受賞を1番喜んでいるのが亡くなった母、2番が妻、3番が子供たちで、最後が私。喜びというより申し訳ないという気持ちでいっぱいです

と、涙で声をつまらせながら挨拶されたのでした。


「第30回日本アカデミー賞」授賞式より。

NHK大河ドラマ「天地人」で豊臣秀吉役を好演

以降、笹野さんの勢いは止まらず、

2008年「母べえ」
     「犬と私の10の約束」
     「カンフー・パンダ」
     「おくりびと」


「おくりびと」より。本木雅弘さんと笹野さん。

2009年「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」
     「幼獣マメシバ」


「幼獣マメシバ」より。

など、次々に話題の映画に出演されると、

2009年、61歳の時には、NHK大河ドラマ「天地人」で、豊臣秀吉役に抜擢。


「天地人」より。豊臣秀吉に扮する笹野さん。(左奥は石田三成に扮する小栗旬さん)

すると、笹野さんは、豊臣秀吉が若い頃に「猿」と呼ばれていたことから、演技に猿の要素を取り入れ、椅子に腰掛けるなど、ちょっとした動きにも猿のように見える演技を披露されると、視聴者から絶賛されたのでした。(大河ドラマ「天地人」自体の評価がそれほど高くなかったにもかかわらず)

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歌舞伎にも出演

また、笹野さんは、映画やテレビドラマのほかにも、古典芸能である「歌舞伎」の演目に新しい演出を加えた、「コクーン」「平成中村座」という歌舞伎の舞台にも出演されています。


「夏祭浪花鑑」より。(三河屋義平次 役)


「法界坊」より。(山崎屋勘十郎 役)


「御所五郎蔵」より。(花形屋吾助 役)

これらは、いずれも、歌舞伎役者18世中村勘三郎(初演時は五代目中村勘九郎)さんと串田和美さんが中心となって活動されている歌舞伎なのですが、

歌舞伎出身でもない笹野さんが参加されているのは、串田さんが、笹野さんがかつて所属していた劇団「自由劇場」の主宰者であり、一度は俳優を辞めた笹野さんが俳優として復帰するのを手助けしてくれた人であることが大きいようです。

そして、笹野さんは、「平成中村座」における、中村勘九郎さんの襲名披露口上の席にも、歌舞伎俳優に混じって、ただ一人、現代劇の俳優として参加されていますので、中村家と笹野さんの関係の深さも分かりますね。

ちなみに、笹野さんは、このほか、「桜姫」「盟三五大切」「東海道四谷怪談 南番」「東海道四谷怪談 北番」「三人吉三」「佐倉義民傅」にも出演されていますが、古典演目としての歌舞伎舞台には出演されていません。

「笹野高史がcmでマッチョな筋肉を披露?ニンニンジャーほかドラマ映画は?」に続く

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