「カスバ・コーヒー・クラブ (Casbah Coffee Club) 」での再始動以来、次々とリヴァプールのライブで観客を熱狂させた「The Beatles」は、再び、ハンブルク(西ドイツ)に旅立ちます。
「ビートルズが一晩でビートルマニアを量産した夜とは?」からの続き
2度目のハンブルク公演
再始動後、リヴァプールで快進撃を続けた「The Beatles」は、再びハンブルク(西ドイツ)で公演することが決定。
前回は、全員が労働許可を持っていなかったうえ、ジョージ・ハリスンさんが18歳未満だったこともあり、国外退去&強制送還処分されたことから、
今回は、1961年3月15日、一足先にスチュアート・サトクリフさんが、一人でハンブルクに渡り、婚約者のアストリッド・キルヒャーさんと必要な行政手続を済ませており、
3月27日、他の「The Beatles」のメンバーは、ハンブルグへの2度目の旅に出発します。
トップ・テン・クラブで92日連続公演
そして、「The Beatles」は、4月1日から、前回の渡航で出演依頼があった「トップ・テン・クラブ (Top Ten Club)」 で演奏を開始しているのですが、公演は大盛況で、なんと、7月1日まで92日連続(丸3ヶ月無休、延べ演奏時間は503時間)で公演されると、
今度は、もちろん、逮捕もされず、国外退去もさせられず、ゆったりと7月2日~3日の旅を経て、リヴァプールに帰られたのでした。
トニー・シェリダンのバックバンドも
ちなみに、「The Beatles」は、今回のハンブルク(西ドイツ)滞在では、「カイザーケラー」で人気を博し、「The Beatles」同様、スカウトされ、11月には「トップ・テン・クラブ」に移っていた、イギリスのソロ歌手トニー・シェリダンさんのバックバンドも務めていたのですが、
6月22日には、トニー・シェリダンさんとレコーディングもしており(「The Beatles」にとって初めてのレコード会社によるレコーディング)、
「My Bonnie Lies Over The Ocean」のロックンロール・バージョンである、「マイ・ボニー (My Bonnie)」は、ジョージ・ハリスンさんがリードギターを弾き、ヴォーカルとソロパートの演奏はトニー・シェリダンさん。
ジョン・レノンさんとジョージ・ハリスンさん共作の「クライ・フォー・ア・シャドー (Cry For A Shadow)」は「The Beatles」によるインストゥルメンタル。
「聖者の行進」のアレンジである「ザ・セインツ (The saints)」とトニー・ シェリダンさん自作のバラード「ホワイ (Why)」は、「The Beatles」がバックバンドで、トニー・シェリダンさんがリード・ヴォーカルを務められています。
ビートルズはドイツ語で男の子のお○ん○ん?
ちなみに、1961年10月に「トニー・シェリダン&ザ・ビートブラザーズ (Tony Sheridan and The Beat Brothers) 」名義でリリースされた、「マイ・ボニー」のシングル盤は、ドイツのヒットチャートで5位にランクインするヒットとなっているのですが、この、「ザ・ビートブラザーズ(The Beat Brothers)」なるものが、「The Beatles」のこと。
当初の「マイ・ボニー」
実は、ドイツで「ビートルズ」と発音すると、男の子のお○ん○ん(局部)を意味する「pidels(ピーデルス)」に聞こえることがあるそうで、「ザ・ビートブラザーズ(The Beat Brothers)」と変更させられたのでした。
それでも、この当時、「ビートルズ」はまだ無名だったことから、レコードジャケットには、「ザ・ビートブラザーズ(The Beat Brothers)」の表記すらありません。
ただ、「ビートルズ」が有名になった後は、逆転。新しいレコードジャケットでは、”TONY SHERIDAN with”にも関わらず、”wiht”の方の「The Beatles」の方がデカデカと表記されています♪
「ビートルズ」が有名になった後の「マイ・ボニー」
ビートルズカット(マシュルームカット)の誕生秘話
ところで、「The Beatles」といえば、「ビートルズカット(マシュルームカット)」が思い浮かびますが、
この髪型、実は、この2度目のハンブルク公演で、「The Beatles」のメンバーとスチュアート・サトクリフさんの婚約者でカメラマンのアストリッド・キルヒャーさんが一緒にプールに行った際、アストリッドさんが、メンバーの髪が前に垂れている状態を見て気に入り、垂れた髪をそのままにするように提案したのが始まりだったそうで、
その後、ピートさん以外の4人がその垂れた髪型にするようになり、それが後に「ビートルズカット」と呼ばれるようになったのだとか。
ただ、当初は、周囲から、
男のくせに長髪にして女みたいに前髪を垂らしている
という声も多かったそうです。
「ビートルズのスチュアート脱退はポールのイジメが原因?」に続く