昭和の名優として、弟の勝新太郎さんとともに一時代を築いた、若山富三郎(わかやま とみさぶろう)さんですが、現代では考えられないほど、破天荒な人物だったそうです。今回は、そんな若山さんの仰天エピソードをご紹介します。

「若山富三郎と弟・勝新太郎の兄弟仲は良かった?」からの続き

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面倒見が良くきっぷの良い性格

若山さんは、親分肌で面倒見が良かったことから、多くの後輩俳優やスタッフに慕われていたそうで、取り巻きたちからは、いつしか「若山組」と呼ばれるようになったそうですが、

そんな若山さんは、取り巻きたちを引き連れて飲みに行くと、映画のギャラでとことん大盤振る舞いされたそうで、そのため、一晩でギャラが全額消えてしまうほか、

自身が主役の撮影では、ほかの役者からスタッフの分まで全員の弁当などを買って面倒をみたり、(借金があったにもかかわらず)人からお金の相談をされると、お金を渡してしまうほど、きっぷが良かったそうです。

(「若山組」には、大木実さん、山城新伍さん、安岡力也さん、高岡健二さん、潮健児さん、関山耕司さん、丹古母鬼馬二さんらがいたそうで、その中でも、特に、若山さんより6歳年上の大木さんとは、お互い「兄弟」と呼び合うほど、親しい間柄だったそうです)

ちなみに、「若山組」へ加入するには、任侠の世界と同じように、「固めの杯」というものを行っていたそうですが、若山さんはお酒が飲めず、大の甘党だったことから、「固めの杯」は、「羊羹(ようかん)を煮溶かし、食パンの上に塗ったものを食べる」というものだったそうです。

また、後輩を壁際に立たせて、若山さんお得意の手裏剣を投げつけるという、「入組試験」なるものもあったそうです(笑)

誰彼なしに殴りつけ恐れられていた

そんな面倒見の良い若山さんでしたが、反面、非礼な態度はもちろんのこと、付き人がミスをすると、ほんの些細なことでも、罵声を浴びせたり、暴力をふるっていたそうです。

それは、大部屋俳優など弱い立場の人に対してだけでなく、撮影スタッフ、監督、さらには、「大映」時代は会社幹部にまで及び、

特に、機嫌が悪い時には、取り巻きなど誰彼なしにすぐに殴ったことから、誰も近づきたがらなかったそうです。

(ただ、子役には優しかったそうです)

丹波哲郎の証言

ちなみに、1989年には、「新東宝」時代からの友人・丹波哲郎さんが若山さんに、映画「丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる」の出演をオファーすると、若山さんはこの時、すでに「心臓病」を患い、体調に不安を抱えつつも、このオファーを受けたそうですが、

丹波さんは、若山さんの体調を気遣いながら撮影を進めるも、

おまえはすぐ人を殴る。体調が悪くなったのはそのバチが当たったんだ

と、おっしゃっていたそうで、若山さんが誰彼なしに殴っていたのは事実のようです。

また、映画本「映画極道 スクリーンマフィア物語」には、

(若山さんは)付き人を十人ぐらい従えて撮影所の中を練り歩いていました。その十人の付き人ってのが、なかなか一筋縄じゃいかないんです。まず、椅子持ち。椅子ったって、それが撮影所で見るような普通の折りたたみ式のやつなんかじゃない。

若山サンの椅子って、ソファーなんです。それも体が半分めりこんじゃうような、本皮の。だからとても重いんですけど、椅子持ちクン、どこへでも喜んで持っていきました。

そして、ちょっと指をVの字にしてタバコを吸いたいなァーって感じにすると、数名の付き人が一斉にライターに火をつけるんです。それも全部種類が違っていて、若富サン、その日の気分で「今日はカルチェ・・・・・・」なんて具合。

そんなこんなで、灰皿持ちやら台本持ちやら茶わん持ちからハシ持ちまでいる。とうてい並の監督じゃ歯が立たない。満足に口さえきけないありまさまです

と記されており、当時、若山さんが、いかに映画界で絶大な権力を持っていたかが分かります。


映画極道(スクリーンマフィア)物語―映画の舞台裏(しかけ)お見せします

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ヤクザの組長からの借金も踏み倒していた?

そんな若山さんは、借金も得意(?)だったそうで、息子の若山騎一郎さんが、

家に着くと、浅草ロック座の齋藤智恵子さんが拡声器で、「若山富三郎、カネ返せ!」とやっていて、父は運転手さんに「Uターン、Uターン!」って

と、明かされているほか、

山城新伍さんに至っては、自身の著書「おこりんぼさびしんぼ」の中で、

ずいぶんかわいがっていただいた日本一の大親分・田岡(一雄)組長が、ぼくに真剣な顔をして聞いたことがあった。「新伍や。若山はいいやつなのか?悪いやつなのか?」

(中略)ぼくは迷わず言った。「いい人ですよ」三代目(田岡組長のこと)は普段と変わらぬ顔でカラカラ笑って言った。「いい人か?おい、いい人がオレから金もっていって、返さねえのか」

と、若山さんがヤクザの組長からの借金も踏み倒していたことを明かされており、

若山さんが「芸能界のドン」と呼ばれるわけですね。

「若山富三郎の元妻はタカラジェンヌ!離婚原因は大楠道代との不倫!」に続く

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