1976年、マーティン・スコセッシ監督とタッグを組んだ「タクシードライバー」のトラビス役において、徹底した役作りで、トラビスの、怒り、孤独、虚しさ、狂気を見事に表現し、「第49回アカデミー賞主演男優賞」にノミネートされるも、受賞を逃した、ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)さんですが、1980年、ついに、オスカーを手にします。
「ロバート・デ・ニーロは1ヶ月1日15時間「タクシードライバー」をしていた!」からの続き
「レイジング・ブル」で「アカデミー賞主演男優賞」を受賞
1976年には、マーティン・スコセッシ監督作品「タクシードライバー」での演技で、「第49回アカデミー賞主演男優賞」にノミネートされるも、残念ながら受賞を逃したデ・ニーロさんですが、
1980年、映画「レイジング・ブル」で、再び、マーティン・スコセッシ監督とタッグを組むと、ミドル級のボクサーのチャンピオン、ジェイク・ラモッタ役の演技で、ついに、念願の「第53回アカデミー賞主演男優賞」を受賞します。
(そのほかにも、「ゴールデングローブ賞主演男優賞」 (ドラマ部門) を受賞)
「レイジング・ブル」より。
「レイジング・ブル」では役作りのため30キロも体重を増やしていた
ちなみに、デ・ニーロさんは、ボクサーの役を演じるにあたり、トレーナーをつけて、技術を磨き、本物のボクサーも驚くほど鍛え上げたそうですが、
さらには、引退後の太った様子を演じるため、イタリア、フランスに赴き、朝、昼、晩と、現地のあらゆるレストランで食べて食べて食べ続ける毎日を送り、体重を30キロも増やしたそうで、
「レイジング・ブル」より。30キロ増量したデ・ニーロさん。
その様子を見た、スコセッシ監督は、
ボビー(デ・ニーロ)はあまりに太りすぎて、ちょっと動くだけでも喘息の発作みたいに肺や気管支からゼーゼーと音が漏れていた
と、デ・ニーロさんの過酷な役作りを証言しています。
(スコセッシ監督は喘息経験者)
今回の「アカデミー賞主演男優賞」受賞は、そんなデ・ニーロさんの執念ともいえる徹底した役作りの賜物なのですが、デ・ニーロさんの、このような、役によって外見を変える、徹底した役作りは、いつしか「デニーロ・アプローチ」と呼ばれるようになり、デ・ニーロさんを表す代名詞となっています。
マーティン・スコセッシ監督と「映画史に残る監督と俳優のコラボレーション50組」第1位を獲得
その後も、デ・ニーロさんは、
1983年「キング・オブ・コメディ」
1990年「グッドフェローズ」
1991年「ケープ・フィア」
1995年「カジノ」
2019年「アイリッシュマン」
と、長きにわたり、マーティン・スコセッシ監督とタッグを組んでヒットを連発し、2012年には、イギリスの「Total Film」誌の発表した「映画史に残る監督と俳優のコラボレーション50組」の第1位を獲得しています。
「アンタッチャブル」のアル・カポネ役でも圧倒的な存在感
また、デ・ニーロさんは、1987年には、17年ぶりに、ブライアン・デ・パルマ監督とタッグを組んだ映画「アンタッチャブル」で、ギャング、アル・カポネ役を演じているのですが、
デ・ニーロさんは、ここでも、デ・パルマ監督に、長期の役作り期間を要求すると、体重を増やし、髪の生え際の毛まで抜くほか、カポネが贔屓(ひいき)にしていた仕立て屋を探し出して、カポネが身に着けていたシルクの下着を身につけるなど、完全にアル・カポネになりきっており、
登場シーンは少ないながらも、圧倒的な存在感で、狂気に満ちた演技を披露しています。
「ロバート・デ・ニーロのデビューからの出演監督映画を画像で!」に続く
「アンタッチャブル」より。アル・カポネに扮するデ・ニーロさん。