前年、長嶋茂雄さんが巨人の監督に就任したことで、巨人では完全に自分の出番がないと吹っ切れたという、王貞治(おう さだはる)さんは、福岡ダイエーホークスの根本陸夫さんの使者である瀬戸山隆三球団代表に熱心に口説かれるうちに、もう一度、勝負の世界に身を置きたいと思うようになり、ホークスの監督を引き受けるのですが・・・

「王貞治は巨人への思いを断ち切る為ホークス監督を引き受けていた!」からの続き

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1年目の1995年は大型補強も5位に終わっていた

王さんが福岡ダイエーホークスの監督を引き受けると、「補強はいくらでもする」と言っていた根本陸夫さんは、その言葉通り、早速、王さんの就任に合わせ、西武から工藤公康投手と石毛宏典選手、メジャーで本塁打王を獲ったことのあるケビン・ミッチェル選手を獲得するなど、大型補強をしてくれたそうで、戦力は整いつつあったそうですが、

監督就任1年目の1995年は、5位(54勝72敗4分)に終わってしまいます。

(前年には、西武から秋山幸二選手、阪神から松永浩美選手も加入していたそうです)

ホークスの選手たちは負け慣れして優勝するという意思が欠如していた

実は、この年、王さんは、春のオーストラリアキャンプの初めに、大物揃いの選手たちのプライドを尊重しつつ、肩の力を抜いてもらおうと、プロゴルファーのジャンボ尾崎さんの話を引き合いに出して、

ジャンボは技術のある人だが、ミスをすると道具のせいにする。みんなもミスをしたら、道具のせいにしていいんだよ

と、言っていたそうですが、

それは、とんでもなく甘い見通しで、前年まで17年連続Bクラスだったホークスの選手たちには、”負け慣れ”していて、優勝するという意思が欠如していたのだそうです。

(南海時代には一時代を築いたホークスも、ダイエーに買収される頃には弱体化していたのだそうです)

練習しようとする選手を遊びに行く選手が引き止めていた

というのも、当時のホークスには、練習しようとする選手を、遊びに行く選手が引き止める雰囲気があったのだそうです。

そこで、王さんは、負けると、ミーティングを開いて、

君たちはそれで悔しくないのか。悔しくないとすれば、準備の段階で全てを尽くしていないからだ。万全の準備をし、そのうえ戦いの場で負けたら悔しくないはずがない。体に悔しさがにじんでくるはずなんだ

と、テーブルを拳で叩きながら訴えたそうですが・・・

王さんの言葉は虚しく響くだけだったのだそうです。

(テーブルを叩きすぎて、拳に血が滲んでいたそうです)

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ケヴィン・ミッチェルは無断帰国を繰り返し解雇されていた

ちなみに、メジャーでホームラン王を獲ったこともある期待のケヴィン・ミッチェル選手はというと、開幕の西武戦で、初回、初打席で、満塁ホームランを放ったものの、その後は、故障がちのうえ、素行が悪く、

5月と8月に2度も無断帰国しており、8月の無断帰国の際には、球団がそのまま解雇しています。

(37試合出場で8本塁打)

「王貞治はダイエー監督2年目バスに生卵を投げつけられていた!」に続く

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