ザ・タイガース」が大人気となり、沢田研二さんと人気を二分した、加橋かつみ(かはし かつみ)さんですが、そんな絶頂期の1969年5月、突然、失踪し、「ザ・タイガース」を脱退しています。

今回は、加橋かつみさんの、失踪事件の真相と「ザ・タイガース」を脱退するに至った経緯や理由などをご紹介します。

加橋かつみ

「【画像】加橋かつみの若い頃(タイガース時代)のヒット曲ほか経歴は?」からの続き

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加橋かつみは19歳の時、アイドルとしての自身や「ザ・タイガース」の存在意義に疑問を感じるようになっていた

加橋かつみさんは、当時流行していたグループ・サウンズの頂点を極めた「ザ・タイガース」の中でも、沢田研二さんと人気を二分する存在だったのですが、

それだけでなく、高校生の頃、グラフィックデザイナーを目指していたこともあり、メンバーの衣装のデザインもするなど、「ザ・タイガース」に欠かせない存在として活躍していたそうですが、

加橋かつみさんが、「ビートルズ」などのロックを原点とする音楽志向を持つも、所属事務所「渡辺プロダクション」の力が強く、意見がまったく聞き入れられなかったそうで、

やがては、

ローリング・ストーンズやジミー・ヘンドリックスを聴いていたのになんでだ?

と、事務所主導のアイドルとしての活動に疑問を感じるようになり、

ひいては、アイドルとしての自分自身や「ザ・タイガース」の存在意義にも疑問を感じ始めるようになったといいます。

加橋かつみは19歳の時、「ザ・タイガース」内で浮いた存在になっていた

また、個人の権利が尊重されず、ろくに寝る時間も取れない過密スケジュールに、「遊びに行けない」「友人に会えない」と、事務所の利益のためにのみ働かされていることに不満が募るほか、

もともとは、純粋な遊び仲間であり、”日本一のバンド”を目指して出発したはずのメンバー間でも、目指している方向に少しずつズレが生じ、利害関係も出てくるようになったそうで、

四六時中一緒にいることに疲れ、合宿所では、イライラからメンバー同士で言い争うことが増えていったそうです。

特に、加橋かつみさんは、事務所の意向に忠実で、時計の針のごとく規律を重んじて仕事をする沢田研二さんとは折り合いが悪く、しばしば、激しい衝突を繰り返すようになっていったそうですが、

理想とする芸術や文化の世界をメンバーに理解してもらえない孤独感もあり、次第にグループ内で浮いた存在になっていったそうです。

沢田研二と加橋かつみ
加橋かつみさん(左)と沢田研二さん(右)。

加橋かつみは20歳の時に失踪し「ザ・タイガース」を脱退していた

そんな加橋かつみさんは、1968年4月頃には、「ザ・タイガース」を脱退したい意向を関係者に明かしていたそうですが、

事務所(渡辺プロダクション)は、人気絶頂期を迎えていた「ザ・タイガース」で沢田研二さんと人気を二分する加橋かつみさんに脱退されてはたまらないと、

加橋かつみさんの芸術観を反映した、「誕生、平和、友情、恋、祭、運命、兵士、母、死、英雄、人類の滅亡、再出発」をテーマとしたコンセプトアルバム「ヒューマン・ルネッサンス」を制作。

「ヒューマン・ルネッサンス」
「ヒューマン・ルネッサンス」

ただ、それでも、加橋かつみさんの不満は払拭されることはなかったそうで、

加橋かつみさんは、何度となく脱退したい旨を事務所に伝えたそうですが、なかなか了承されず、加橋かつみさんの気持ちはないがしろにされたそうで、

ついに、加橋かつみさんは、1969年3月5日、渋谷・斉藤楽器でのレッスン中、スタジオを離れたきり戻らず、そのまま「ザ・タイガース」を脱退したのでした。

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加橋かつみの失踪は「渡辺プロダクション」が仕組んだものだった

しかし、ほどなくして、この失踪は、「渡辺プロダクション」が仕組んだ脱退劇だったことが発覚し、「渡辺プロダクション」が謝罪する事態へと発展します。

つまり、「渡辺プロダクション」は、加橋かつみさん本人の意向とはいえ、人気絶頂期に中心メンバー(加橋かつみさん)が脱退することは、「ザ・タイガース」のイメージダウンにつながり、人気に悪影響を及ぼすのではないかと恐れ、

「加橋かつみさん本人が勝手にいなくなった」ように見せるため、加橋かつみさんと加橋かつみさんのお母さんをホテルに拘束し、外部との連絡を一切取れないようにしていたのでした。

ただ、この計画は、加橋かつみさん以外のメンバーやスタッフに、まったく知らされぬ間に実行されていたことから、他のメンバーは困惑したそうで、

特に、京都時代から友人で、苦楽をともにし、同じような思想を持っていた瞳みのるさんは大きなショックを受けたそうで、

後年、瞳みのるさんは、週刊文春(2023年5月4・11日号)のインタビューで、

彼(加橋かつみさん)の情熱が消えて行くのを見てました。デビューして一年くらいはよかったけど、映画を撮ったり、「シャボン玉ホリデー」に出たり、なんでこんなことしなくちゃいけないの?ってことがいっぱいありましたから

誰にも何も言わずにいなくなっちゃった。五人でやるつもりでずっと駆けてきたのに、歯車が一つ抜けてガタガタになったような気持ちでした

と、語っています。

(この加橋かつみさんの失踪・脱退が、2年後の「ザ・タイガース」解散につながったと言われています)

予定に続く

お読みいただきありがとうございました

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