セリフの一言一句に強いこだわりを持ち、徹底したリアリティを追求してきた、脚本家の倉本聰(くらもと そう)さんですが、その創作意欲は、80歳を過ぎても衰えを知らず、果敢に新しい分野に挑戦されています。

「倉本聰が二宮和也を絶賛し寺尾聰を使わなくなった理由とは?」からの続き

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シニア向けに特化したドラマ「やすらぎの郷」を執筆

倉本さんは、2017年、テレビ全盛時代を支えた、俳優、作家、ミュージシャンなどが入居できる老人ホームを舞台に、入居者である往年のスターたちが直面する問題をユーモラスに描いた、お昼のドラマ「やすらぎの郷」の脚本を書かれているのですが、

実は、この作品、

夜のゴールデンタイムに若者向けのドラマが数多く放送され、大人の観るドラマが少ない

という倉本さんの提案により、「テレビ朝日」がお昼の時間に「大人のための帯ドラマ」枠を新たに創設したものだったそうです。


「やすらぎの郷」より。(左から)石坂浩二さん、加賀まりこさん、浅丘ルリ子さん、八千草薫さん(病気で途中降板後、2019年に他界)

「やすらぎの郷」の続編「やすらぎの刻~道」が放送

こうして、「帯ドラマ劇場」の第1作として、「やすらぎの郷」が、毎週月曜日~金曜日12時30分~12時50分、4月3日から9月29日までの約半年間放送されると、

2019年4月8日からは、「やすらぎの郷」の続編、「やすらぎの刻~道」が放送を開始しているのですが、

「テレビ朝日」の定例社長会見で、早河洋会長は、

昼の12時半という時間帯に独特の映像空間が形成されている。シニア層に興味をもってもらえるのではと思いました。

壮大な実験というか、挑戦になっているので、ぜひ頑張ってほしい。失敗はないと思いますが、あの時間帯で少なくとも1年間は定着に努力していきたい

と、1年間、放送時間の変更はせず、「大人のための帯ドラマ」枠を維持していくことを明かされたのでした。


「やすらぎの刻~道」より。石坂浩二さんと綾瀬はるかさん。

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「やすらぎの刻~道」の脚本は撮影前に全て書き上げていた

ところで、この「やすらぎの刻~道」、2019年4月8日から2020年3月27日まで、全248話放送された大作で、通常、これほど長期間に渡るドラマの場合、脚本は、放送に合わせて少しずつ書き進めていくそうですが、

なんと、倉本さんは、

80代の自分に、いつ何があっても不思議ではない。“生きてるうちに書かなきゃ”という思いをモチベーションに、ゴール目指してがむしゃらに書き続けた

と、総原稿枚数5500枚(放送時間にして約67時間分)を撮影前に完成させていたそうで、倉本さんの並々ならぬ意欲が感じられる作品となっています。

(前作「やすらぎの郷」も撮影前に全ての脚本を完成させていたそうです。)

また、倉本さんは、この「やすらぎの刻~道」を”遺言”と発言されていたことから、”引退宣言”かと噂されたのですが、連続ドラマとしては、この作品が最後となるものの、単発のドラマは書き続けられるとのことで、倉本さんの創作意欲はまだまだ尽きることがないようです。

「倉本聰の姪っ子の娘(姉の孫)は「三鷹ストーカー殺人事件」の被害者だった!」に続く

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