打撃コーチ時代から折り合いが悪く、取っ組み合いのケンカまでしていたという江本孟紀さんのトレードを、阪神監督続投の交換条件として球団に要請していたという、中西太（なかにし ふとし）さんですが、結局、江本さんがトレードされずシーズンを迎えると、１９８１年８月２６日、ヤクルト１９回戦で、事件が起きます。
「中西太は阪神コーチ時代に江本孟紀と取っ組み合いのケンカをしていた！」からの続き
江本孟紀が限界に達しベンチにアピールするも中西太はベンチ裏に引っ込んでいた
７回まで３安打１失点と好投し、勝利投手の権利を目前にするも（阪神が４対１とリード）、８回に連打され、４対２と迫られた江本さんは、既に球数も１４３球で限界に達していたことから、しきりにマウンドを蹴って、降板させてほしいと、ベンチにサインを出していたそうですが、
監督である中西さんはというと、ベンチの奥に入って行ったそうで、案の定、その後、江本さんは、４対４と同点に追いつかれてしまったのだそうです。
江本孟紀はベンチにグラブを投げつけ「アホ」を連呼していた
そして、そこで、ようやく、投手交代となったことから、マウンドを降りた江本さんは、ベンチ（中西さん）にグラブを投げつけ、ロッカーへ引き上げたそうですが、
その通路で、記者から「１５６球。よく投げた」と言われると、
ベンチがアホやから、野球がでけへんわ！
と、捨て台詞を吐き、
アホや、アホ、アホ
と、連呼したというのです。
（結局、試合は、４対４の引き分けに終わっています）
江本孟紀は「アホ」発言が原因で引退
そんな江本さんは、翌日２７日に球団から事情聴取されると、暴言を認めたそうで、球団から１０日間の謹慎を言い渡されたそうですが、
ああ言った以上、責任を取る覚悟はできている。
ここで辞めさせてください。
と退団する意向を示したそうで、
同日、江本さんの退団が発表されたのでした。
江本孟紀の「アホ」発言に対する中西太のコメント
これを受け、中西さんは、寂しそうな顔で、
急な話だったので正直、驚いている。私の不徳のいたすところ。長たる私の責任だ
と、語っているのですが、
以降、このことについては、公の場ではほとんど語らず、１９９１年に出版した著書「人を活かす 人を育てる」で、
いくらマスコミが私の反論を期待しても、黙して語らずで押し通した。弁解や言い訳をしないのが＜私の生き方＞だった。盛りをすぎた江本は、私の背中を踏み台にしてジャンプしなければならなかったのだと解釈している
と、綴っています。
ちなみに、江本さんは、現役引退後、１９８２年に出版した著書「プロ野球を10倍楽しく見る方法」が２００万部を越えるベストセラーとなっており、解説者や評論家として活動するかたわら、ドラマ、バラエティに出演するほか、歌手デビューも果たしています。
