1936年、「新協劇団」の舞台「天佑丸」の水夫役で初舞台を踏み、以降、舞台を中心に活動すると、1941年にフリーとなった後は、テレビドラマや映画で、地味ながらも名脇役として活動する中、1974年には、映画「男はつらいよ」シリーズのおいちゃん役を演じ、たちまち有名になった、下條正巳(しもじょう まさみ)さん。
今回は、そんな下條正巳さんの若い頃からの出演作品や経歴を生い立ちから時系列でまとめてみました。
下條正巳のプロフィール
下條正巳さんは、1915年8月26日生まれ、
韓国・釜山の出身、
長崎県壱岐郡勝本町(現・壱岐市)生まれ、
身長168センチ、
体重55キロ、
学歴は、釜山第一商業学校卒業、
趣味は、篆刻(てんこく)、
ちなみに、「下條正巳」は本名ですが、「下条正巳」名義を用いていたこともあったそうです。
下條正巳は幼少期・少年時代は韓国・釜山で育っていた
下條正巳さんは、長崎県壱岐郡勝本町(現・壱岐市)で誕生したそうですが、両親の仕事の関係でか、韓国の釜山に移り住んだようで、20歳まで釜山で育ち、その後、日本に帰国したようです。
下條正巳は21歳の時に「新協劇団」に入団し「天佑丸」で初舞台
下條正巳さんは、1935年、20歳の時、映画監督に憧れて上京したそうですが、村山知義さんら「新協劇団」の舞台「マンハイム教授」を見て感激し、1936年、21歳の時に「新協劇団」に入団すると、
同年には、俳優として「天佑丸」の水夫役で初舞台を踏んだそうです。
下條正巳は25歳の時に「新協劇団」が解散すると、以降、「井上演劇道場」⇒「瑞穂劇団」と転々としていた
そして、1940年、25歳の時には、「多甚古村」で映画デビューするのですが、同年、政府の弾圧により、「新協劇団」が解散させられると、1942年には、「井上演劇道場」、1944年には、「瑞穂劇団」に参加するなど、劇団を転々としたそうです。
下條正巳は36歳の時に「劇団民藝」に入団
そんな下條正巳さんは、戦後は、「新協劇団」(第2次)の再建に参加したそうですが、1951年、36歳の時に、「劇団民藝」の「五稜郭血書」への特別出演をきっかけに「劇団民藝」に移籍すると、以降、数多くの舞台に出演しています。
下條正巳は56歳の時に「劇団民藝」を退団してフリーとなっていた
しかし、1941年、56歳の時に、「劇団民藝」で内部分裂が起こると、これをきっかけに「劇団民藝」を退団して、その後フリーとなり、テレビドラマや映画にも出演するようになると、地味ながらも名脇役として活躍します。
下條正巳は59歳の時に映画「男はつらいよ」シリーズの「おいちゃん」役で一躍有名になっていた
そんな中、1974年、59歳の時、映画「男はつらいよ」シリーズ第14作「寅次郎小守唄」で、主人公の車寅次郎(渥美清さん)のおじさんで、東京・葛飾区柴又で団子屋を営む「おいちゃん」役を好演すると、ひょうひょうとした演技で、一躍、有名に。
以降、渥美清さんが他界されたことにより、シリーズ最終作となった第48作「男はつらいよ 寅次郎紅の花」(1995年)まで、欠かさず出演しています。
「男はつらいよ」で「おいちゃん」に扮する下條正巳さん。
ちなみに、下條正巳さんは、59歳の時に、「男はつらいよ」の「おいちゃん」役のオファーを受けたそうですが、
下條正巳さんは、誰もが知る人気シリーズのオファーに、当初は、
こんなに大きな仕事を引き受けていいものだろうか
と、迷っていたといいます。
すると、息子の下條アトムさんに、
こんな素敵な話はそうそうないし、山田洋次監督の指名を断る理由もない。僕だったらやると思う
と、背中を押されたそうで、出演を決意したのだそうです。
下條正巳が62歳の時には映画「八つ墓村」で工藤校長役
また、下條正巳さんは、1977年、62歳の時には、映画「八つ墓村」に工藤校長役で出演しています。
「八つ墓村」より。
下條正巳が78歳の時には「教祖誕生」で初代教祖役
そして、78歳の時には、ビートたけしさんの同名小説を原作とする映画「教祖誕生」で初代教祖役を演じ、ビートたけしさんとも共演しています。
「教祖誕生」より。ビートたけしさん(左)と下條正巳さん(右)。
下條正巳は81歳の時に北野武監督作品「キッズ・リターン」でヤクザの親分役
そんな下條正巳さんは、1996年、81歳の時には、北野武監督作品「キッズ・リターン」でヤクザの親分役を演じているのですが、
息子の下條アトムさんによると、
アトム、今度な、ビートさんとやるんだよ
と、下條正巳さんが、嬉しそうに話していたことが今でも忘れられないそうで、
下條正巳さんは、毎日、楽しそうに現場での様子を話していたそうです。
下條正巳は84歳の時にテレビドラマ「旅立つ人と」に出演
また、下條正巳さんは、1999年、84歳の時には、山田太一さん脚本のNHKドラマ「旅立つ人と」に出演しています。
「旅立つ人と」より。下條正巳さん(左)と井川比佐志さん(右)。
下條正巳は88歳の時に膵臓ガンにより死去
そんな下條正巳さんですが、2003年10月、体調不良を訴えると、検査の結果、ガンが判明したそうで、すでに手の施しようがない状態にまでなっていたそうです。
そのため、都内の自宅に戻り、在宅療養を行っていたそうですが、2004年、7月25日、膵臓(すいぞう)ガンにより、88歳で他界されています。
(1999年に出演した「旅立つ人と」が遺作となっています)
「下條正巳の死因は膵臓ガン!発覚した時は手の施しようがない状態だった!」に続く
「男はつらいよ」シリーズの「おいちゃん」役を20年に渡って演じ続け、そのひょうひょうとした演技で親しまれた、下條正巳(しもじょう まさみ)さんですが、 2004年には、膵臓(すいぞう)ガンが判明すると、すでに手の施しよう …