1973年、フォーク・ロックバンド「神無月」のドラマーとしてレコードデビューすると、解散後の1975年には、新たなバンド「ハート・オブ・サタデイ・ナイト」を結成した、今井茂淑(いまい しげとし)さんですが、
「ハート・オブ・サタデイ・ナイト」も1977年に解散すると、30歳の時には、家具職人に転身していたといいます。
今回は、今井茂淑さんの若い頃から現在までの経歴についてご紹介します。
今井茂淑は「キャロル」のドラマー今井英雄とは別人
今井茂淑さんは、
東京都港区浜松町の出身なのですが、
生年月日などプロフィールは一切公開されていないため、年齢や学歴など詳細は不明です。
ちなみに、今井茂淑さんは、ネット上で、しばしば、矢沢永吉さんが率いていたロックバンド「キャロル」のドラマーだったとされていますが、
これは間違いで、「キャロル」のドラマーは今井英雄さんです。
(今井茂淑さんが「キャロル」に在籍していたことはありません)
今井茂淑は高校卒業後は「神無月」でレコードデビューするも2年ほどで解散していた
今井茂淑さんは、サラリーマンのお父さんのもとに誕生すると、中学生の時にドラムを始め、高校卒業後はバンドコンテストで優勝したことがきっかけで、音楽の道に進むと、
1972年には、清水誠さん、加藤健二さん、湯川一竜(湯川トーベン)さん、岩崎はじめさんと共に、フォーク・ロックバンド「神無月」を結成し、翌1973年にデビューを果たしたそうですが、
わずか2年後の1975年には解散しています。
「神無月」
今井茂淑はポップスバンド「ハート・オブ・サタデイ・ナイト」を結成するも約2年で解散していた
その後、今井茂淑さんは、新たに、清水誠さん、湯川一竜(湯川トーベン)さん、鈴木勝彦さんと共に、シティ・ポップバンド「ハート・オブ・サタデイ・ナイト」を結成すると、荻窪、下北沢LOFTなど、都内のライブハウスを中心に精力的に音楽活動を展開していたそうで、
コアな音楽ファンの間では、そのポップセンスあふれるサウンドが高く評価されていたそうですが、レコード(アルバム)制作に至らないまま、こちらも、約2年後の1977年に解散しています。
今井茂淑は30歳の時に木工(家具)職人に転身していた
そんな今井茂淑さんは、その後、商業的音楽への疑問から音楽活動をやめたそうで、実家が代々、大工の家系だったこともあり、30歳の時には、木工(家具)職人の道を歩むことを決意したそうです。
(お父さんは、サラリーマンながら何でも自分で作っていたそうで、家には木工の道具がたくさんあり、その影響で、今井茂淑さんも幼い頃から木工の道具が好きになったそうです)
今井茂淑は40歳の時に家具職人として独立していた
そして、職業訓練校に通い、職業訓練校卒業後は、家具工房で修業を積み、骨董和家具修理から建具まで幅広く技術を学ぶと、40歳の時に独立したのだそうです。
また、家具修理の材料の仕入れをしているうちに、古材が集まるようになったことから、古材の特性を組み合わせて家具を制作するようになったそうですが、
その際、古材の特徴や物語を感じながらゼロからイメージを湧き起こして制作しているそうで、
今井茂淑さんは、
古材と向かい合っていると、以前この木はなんだったんだろうかと、物語に思いを馳せるんです。1つ1つが全くの別物でゼロから制作が始まるのですが、木工の仕事も音楽も人と人の触れ合いも同じですよね。
曲が始まると途中で止めることはできないところも演奏と似ているなぁと思います。作り手と使い手が自由な発想のもとに家具を作り上げていく。これがfree style furniture DEW(今井茂淑さんのショールーム)のコンセプトです。
バンドって全員が同じ個性だとうまくいかないんだよね。全然違ったタイプのメンバーが集まって、ボーカル、ギター、ベース、ドラムとそれぞれの役割で適材適所な個性を発揮することで魅力的になるんだ。
古材もそれと同じで、似たものを組合せても面白くなくてさ、もともと何の繋がりもない、全然違ったものをいくつか組み合わせると面白くなるし、単体で見ると個性がないように思えた素材も別の材料と組合せた途端、これしかないじゃんってくらいぴったりはまって魅力的になったりするから不思議なんだよね。
などと、語っています。
今井茂淑の現在は?
そんな今井茂淑さんは、1998年には、東京世田谷でショールーム「Space DEW」をオープンすると、以降、美術展、個展、グループ展などを開催し、東京を中心に活動していたそうですが、
やがて、自然と共生しながら制作したいと思うようになったそうで、2005年には、奥さんと共に南房総へ移住し、現在は、そこでの暮らしを満喫されているのだそうです。
(3年間、移住する土地を探して毎週末のように湘南から南房総を周り続け、ようやく巡り会えた理想の土地なのだそうです)
また、音楽活動も続けているそうで、現在も当時のメンバーとともに年に数回ライブを開催しているそうです。
今井茂淑のCD一覧
今井茂淑さんは、「神無月」「ハート・オブ・サタデイ・ナイト」で活動していた頃は、アルバムを出していないのですが、近年、未発表曲をまとめたCDをリリースしているので、ご紹介しましょう。
まず、2011年には、「神無月」の1972年~1975年までの未発表音源(デモ)とライブ演奏を収録したCDが発売されています。
すると、すぐに完売し、ディスクユニオン「日本のロック」週間チャートで1位を獲得するなど、現在もコアなファンの間で根強い人気を誇っています。
また、2019年には、「ハート・オブ・サタデイ・ナイト」の未発表音源(デモ+ライヴ音源)が「ハート・オブ・サタデイ・ナイト アンリリースド・ジェムズ 1975-1977」として発売されています。
そして、2020年には、「神無月」が1973年のデビュー直前に出演した「ロック・ソサエティ・ウラワ (1973 第2回RSU音楽祭)」のライブ音源を収録したCDが発売されています。