1971年「ザ・スパイダース」解散後、「PYG」を経て「井上堯之バンド」で活躍された、大野克夫(おおの かつお)さん。1970年代には、「太陽にほえろ!」や「傷だらけの天使」などのテーマ曲を作曲され、1996年以降は、人気アニメ「名探偵コナン」の音楽を作曲し、演奏もされるなど、音楽において幅広い分野で活躍されています。
「幼少期から音楽の才能を発揮~ザ・スパイダースに加入~」の続き
「ザ・スパイダース」では裏演奏も
大野さんは「ザ・スパイダース」に加入すると、
グループ改変にともない、オルガンとスチールギターを担当し、
音楽における縁の下の力持ち的な存在となられるのですが、
その一方で、当時、ヴォーカルからリードギターに、
転身したばかりの井上堯之さんが、
まだ、うまく演奏できなかったことから、
井上さんの裏演奏などもされていたことがあったそうで、
大野さんはその時のことを振り返り、
もとスリー・ジェット(ホリプロ所属のヴォーカルグループ)の、
ヴォーカルだった井上堯之は、スパイダースへ入ってから、
ギターに転向したので、エレキ(ギター)のテクニックが、
今ひとつだったんです。でも当時はベンチャ―ズもやらなきゃならない…
スパイダースはベンチャーズが大嫌いでしたが、
そうも言っていられない。そこで、あの♪テケテケテケを演奏する時、
彼がさり気なくアンプの方へ回って、
チューニングする様なふりををする…その時、僕が代わりに、
♪テケテケテケテケーとスチールギターでやる訳。
まぁ、良きも悪しきもそうゆう時代でしたからね。(笑)
と、おっしゃっていました。
「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」のテーマ曲を作曲
そんな「ザ・スパイダース」も、
1971年に解散すると、
大野さんは、井上堯之さん、萩原健一さん、沢田研二さん、
岸部一徳さん、原田裕臣さんとともに「PYG」を結成。
1972年には、早々に、リード・ヴォーカルの、
萩原健一さんと沢田研二さんが脱退し、
「井上堯之バンド」となるのですが、
大野さんは、テレビドラマ「太陽にほえろ」の、
主題曲を作曲し、「井上堯之バンド」が演奏すると、
ドラマとともに主題歌は大ヒット。
(この頃はまだ「PYG」と名乗っていたようで、
アーティスト名は「PYG」名義となっているそうです)
その2年後の1974年には、
萩原健一さん主演のテレビドラマ、
「傷だらけの天使」のテーマ曲も作曲。
また、沢田研二さんのバックバンドとしても活動し、
1977年には、大野さんが沢田さんに提供した楽曲、
「勝手にしやがれ」が「第19回日本レコード大賞」、
翌年の1978年には、「LOVE (抱きしめたい)」で、
同じく「第20回日本レコード大賞」ほか、
様々な賞を受賞されています。
大野克夫バンドで「名探偵コナン」のメインテーマも!
そして、「井上堯之バンド」も、
1980年に解散すると、
大野さんは、個人バンド「フリーウェイズ」、
の活動を本格化させ、「大野克夫バンド」と改名。
「井上堯之バンド」が担当していた、
ドラマなどの楽曲を多く引き継ぎ、
「太陽にほえろ!」の音楽や、
1996年以降は、アニメ「名探偵コナン」、
の音楽を担当されています。
大野さんは、コナンに対する思いを、
子供向けの番組だというのと、アニメだというのと、
コナンがかわいいというのとで、何か自由に作れるという感じですね。最初この話を頂いた時、頭の中は、
“シンセサイザー”の音でもう出来上がっていました。でも、シンセだけじゃダメだから…
やっぱり将来の子供たちに向かって、『生音ってこういうもの』
『生ギターってこういうもの』
『手で弾く音楽はこういうものだ』と伝えてあげたくて、思わず… “ハモンド”って声を出したら、
『行きましょう。それで!』とスタッフの言葉が返ってきました。
と、語っておられました。
さて、いかがでしたでしょうか?
大ブレイクした「ザ・スパイダース」時代も、
浮つくことなく、着実にキャリアを積み上げ、
多くの人々に親しまれる名曲を数多く作曲されてきた大野さんですが、
2003年には、かねてより、仕事以外の、
ぼ~っとした時に作曲した音楽を集めた、
CDを発売したい、とおっしゃっていたデモテープ、
「幻のメロディー」を発売されるなど、
大野さんの創作意欲は尽きることがありません。
(「幻のメロディー」Vol.2とVol.3を2004年、
Vol.4を2005年、Vol.5を2008年に発売されています。)
この機会に、是非、
大野さんの音楽を視聴されてはいかがでしょう♪
https://www.youtube.com/watch?v=-T0g2fUpWMI