1985年、黒澤明監督映画「乱」で映画デビューされると、2000年には、映画「陰陽師」でブレイクされるなど、狂言師としてだけでなく、俳優としても活躍されている、野村萬斎(のむら まんさい)さん。今回は、そんな野村さんの出演作品を画像を交えてご紹介します。
「野村萬斎は陰陽師の振付けを羽生結弦にアドバイスしていた!」からの続き
「シン・ゴジラ」でゴジラ役
野村さんは、2016年、現代の日本に出現したゴジラが、戦車などの攻撃をものともせずに暴れる姿を描いた映画「シン・ゴジラ」で、なんと、「シン・ゴジラ」役を演じられています。
というのも、今回のゴジラの動きは、野村さんの動きそのもので、野村さんの動きを、現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録するモーションキャプチャーという技術を使って、フルCGで作成したゴジラに反映されているというのです。
ゴジラの動きをする野村さん
野村さんは、2016年6月29日、都内で行われた同作の初日舞台挨拶に、ビデオメッセージを寄せられているのですが、
その中で、樋口真嗣監督から電話でこのオファーを受けたことを明かし、
日本の映画界が誇るゴジラという生物のDNAを私が継承しております。650年以上の狂言のDNAが入ったということを大変うれしく思っております
今回わざわざ私に白羽の矢を立てていただいたのは、狂言や能の様式美というものを意識されたと思う。無機的な、人間臭いというより神、幽霊、怪物のような侵しがたい存在感を期待されたと思うので、チョロチョロ動くよりどっしり動いた
実際にはゴジラの面もつけまして、顎を動かす面の使い方を意識した
と、語っておられます。
また、野村さんは、2018年6月、「あさイチ」に出演された際には、
僕らは普段、“構え”を舞台上でするせいか必ず姿勢が良かったりとか、ちょっと人っぽくない動きもあるかもしれませんね
シン・ゴジラのシンの意味が“神様”というか冒しがたい存在っていう、ただ恐怖なだけではなく、おそれを思わせるようなそういう揺るぎない感じ。
爬虫類のバケモノっていうよりも、どっちかっていうと仏像や神がそのまま移動してきているような、威厳みたいなものを求められたんだと思います
(狂言の動きと通ずる部分は)上下運動しない。どっちかっていうと平行移動していく
と、こだわりの動きについても明かされていました。
「七つの会議」で初の冴えない役
そんな野村さんは、2019年には、池井戸潤さんの小説を原作とする映画「七つの会議」で、主人公である、中堅メーカーの万年係長・八角民夫役を演じられているのですが、
「七つの会議」より。野村さんと香川照之さん
今回は、これまでの、「陰陽師」「のぼうの城」「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」等での人間離れした役柄と違い、初の冴えないサラリーマン役ということで、
単純にうれしかったですね。これまで演じたことのなかったサラリーマンを演じることで、役の幅が広がるなという喜びがありました。
池井戸先生の原作も読ませていただいたところ、僕が演じる八角(やすみ)は会議中にいびきをかいて居眠りしているぐうたら社員。やっぱり浮いている人間です。まぁ、それが僕に求められている役なのかなと(笑)
と、喜びを語っておられました。
ちなみに、原作者の池井戸さんが、
実は映画の八角は、原作のイメージとかけ離れたものだったので、きっと萬斎さんは小説を読んでないと勝手に決めつけておりました。
でも、対談をさせていただき、原作をしっかり読み込んで臨まれたと聞いて驚きました。天賦の才以外のなにものでもありません。演者としての間口の広さ、奥深さに感銘を受けました。
と、野村さんの演技を絶賛されると、
これを聞いた野村さんは、
身に余るお褒めのお言葉をちょうだいし、恐悦至極でございます
と、恐縮されていました。
出演作品(テレビドラマ)
それでは、ここで、野村さんの主な出演作品をご紹介しましょう。
テレビドラマでは、
1994年 NHK大河ドラマ「花の乱」
1997年 NHK連続テレビ小説「あぐり」
2000年「蒼天の夢」
2008年「鞍馬天狗」
「あの戦争は何だったのか 日米開戦と東条英機」
2012年「負けて、勝つ 〜戦後を創った男・吉田茂〜」
2015年「オリエント急行殺人事件」
2018年「黒井戸殺し」
「あの戦争は何だったのか 日米開戦と東条英機」より。
出演作品(映画)
映画では、
1985年「乱」※本名・野村武司名義
2001年「陰陽師」
2003年「陰陽師II」
2012年「のぼうの城」
2013年「風立ちぬ」※声の出演
「のぼうの城」より。
2015年「GAMBA ガンバと仲間たち」
2016年「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」
「シン・ゴジラ」
2017年「花戦さ」
2019年「七つの会議」
「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」より。(左から)野村さん、宮迫博之さん、杉咲花さん。
など、数多くの話題作に出演されています。
また、そのほか、シェイクスピア原作の舞台「まちがいの狂言」「国盗人」「マクベス」など、古典の技法を駆使した舞台作品の演出も手がけられるなど、幅広く活動されています。