借金返済のため、地方公演を再開するほか、1991年には5年ぶりに新曲「おやじ先生」を発売するなど、本格的に歌手活動を再開し、経営危機を乗り越えようとした、千昌夫(せん まさお)さんですが、不動産がまったく売れず、ついに破綻状態となってしまいます。
「千昌夫は経営危機のため「おやじ先生」で歌手活動を再開していた!」からの続き
借金返済のため毎月15~16ヶ所の地方公演を強行していた
物件が売れず、銀行からも追加融資が受けられない状況の中、ひたすら歌い続けるしかなかった千さんは、毎月、全国15~16ヶ所の地方公演を強行したそうですが、
(現地に1泊することなく、日帰りで東京に戻ってくるというハードスケジュールだったそうです)
毎月の収入は1億円前後だったそうで、1日5000万円もの利息の2日分にしかならなかったそうです。
(地方公演以外にも、吉幾三さんや阿部美登里さんのプロデュース、1994年には、千さんのモノマネで人気者になっていたコロッケさんとともに全国各地でコンサートを行うほか、同じく、コロッケさんと組んでテレビにレギュラー出演するなど、精力的に芸能活動を展開したそうです)
明るく前向きに語るも・・・
そんな中、千さんは、1991年、「週刊ポスト」(11月29日号)のインタビューで、
今、われわれが置かれている状況っていうのは、自分たちがどう改善しようとダメな状況なんで、ただ、嵐が吹き去るのを待つしかないんです。倒産なんていうことは考えていません。何とかこの事態を越えなくちゃ。
とにかくがんばるしかないって、自分に言い聞かせてます。『星影のワルツ』 の印税からはじめて、丸23年かけて築いてきたもんですから。今じゃ『バブルのワルツ』だなんて。
こんなことじゃ、へこたれませんよ。今は荒波のなかで立てないまでも、横になってでも乗り切るしかないですね。 社員にも〝もうちょっとがんばれ。後は下り坂だ から〟と言っています
他のマスコミの取材に対しても、
日本の事業家さんは今みんな大変だし、何も死ぬわけじゃないから。それに、ちゃんとした銀行からの融資ですから、心配ありません
と、明るく語るほか、
1994年の初め、ハワイで行われた記者会見でも、
借金は半額にあたる1250億円を、この3年間で返済した
ボクなりのリストラをやり、なんとか切り抜けてきた。すべてひたむきに生きてきた結果だから悔いはありません
と、常に前向きに語っていたのですが・・・
1032億円の負債を抱えて破綻状態に
所有する不動産は売れず、地道な本業(歌手業)では、どうあがいても巨額の借金を返済することは現実的に不可能となり、2000年、千さんの経営する「アベインターナショナル」は、1032億円の負債を抱え、事実上、破綻状態に。
千さんは、会社を整理(裁判所を介して法律に沿って会社を整理)するため、東京地裁に、「特別清算」を申請すると、2002年には、6年間で約1億5000万円を返済すればよい、ということになったのでした。
(その後、千さんが約1億5000万円を返済したという情報はありませんが、歌手活動を続けていることから、おそらく、完済したものと思われます)
債務者に誠意を持って対応していた
ちなみに、千さんが、「特別清算」を申請した理由について、
会社整理に詳しい弁護士が、「千昌夫の教訓」で、
もう、会社を清算するしか方法が残されていないときには、破産か特別清算の道を選択するしかないわけですが、 破産では、その手続きが極めて機械的に行われて、債権者の意向が反映される部分がほとんどないのに対して、特別清算の場合、債権者それぞれとの話し合いの場がもたれ、多数決とはいえ、債権者の意向が反映されることになります。
ある意味では、それだけ誠意のある対処の方法だといえるでしょうね。また、この特別清算が可能となるのは、旧経営陣に法律に反するような行為がなかった場合に限ります。
たとえば、旧経営陣が身勝手に財産を隠していたり、違法なことをしていた場合、認められません。つまり、特別清算を行えるということは、経営自体がある程度明朗だったということになるのです
と、語っているほか、
千さんの申請代理人である影山光太郎弁護士も、
現段階(2000年)では、債権者の方々と誠意をもって話し合いをしている段階ですから、詳しい内容までは話せませんが、『破産』ではなく、『特別清算』という方法を選択したのは、アベインターナショナルの誠意の表われととっていただいていいと思いますよ
と、語っており、
実際、千さんは、芸能活動に専念し、千さんの実兄・洋一さんが返済の窓口担当を務めて、返済に強い意志を見せており、東京地裁に「特別清算」を申請した際にも、各債務者に対して、逃げも隠れもせず、誠心誠意対応していたという証言もあるそうで、
世間では、千さんが逃げ回っている、と噂されたこともありましたが、決してそのようなことはなく、千さんに融資をした銀行側からも千さんを悪く言う声は、ほとんど聞こえてこなかったそうです。
「千昌夫の最初の妻はアメリカ人歌手のジョーン・シェパード!」に続く