洋楽のエッセンスを取り入れた洗練されたメロディーでヒット曲を連発し、1970年代と1980年代の歌謡曲黄金時代を支えた、筒美京平(つつみ きょうへい)さんですが、
実は、大学卒業後のサラリーマン時代に、高校時代の先輩で、作詞家の橋本淳さんに勧められて作曲家の道を歩み始めたといいます。
今回は、そんな筒美京平さん橋本淳さんの出会い、2人の共作のエピソードなどについて、橋本淳さんの視点を交えつつ、ご紹介します。
「【画像】筒美京平の若い頃(ヒットメーカー時代)の代表曲や経歴を時系列まとめ!」からの続き
筒美京平と橋本淳の出会いは?
筒美京平さんは、青山学院高等部時代、一学年上に転校してきた橋本淳さんと知り合ったそうで、具体的にどのような出会いだったかは不明ですが、
橋本淳さんによると、筒美京平さんに、
ちょっと今日このあと茅ヶ崎へ行くよ
と、誘われて一緒に行くと、
ガソリンスタンドの裏に小洒落たバーがあり、筒美京平さんがこのバーでピアノを弾くアルバイトをしていることを知り、とても驚いたといいます。
ちなみに、橋本淳さんは、筒美京平さんとの出会いを、
その時が音楽家・筒美京平との初めての出会いだったような気がします。
と、語っています。
また、筒美京平さんと橋本淳さんは、学校から近い渋谷の百軒店にあったジャズ喫茶「デュエット」「オスカー」「小粒のじゃがいも」などにも足繁く通ったそうです。
筒美京平と橋本淳は同じ青山学院大学の軽音楽部に所属していた
そんな筒美京平さんと橋本淳さんは、大学も同じ青山学院大学に進学すると、同じ軽音楽部に所属したそうで、ここでも、ますます、交流を深めたそうです。
筒美京平は橋本淳に作曲家になることを勧められていた
その後、筒美京平さんは、大学卒業後、「日本グラモフォン」に入社し、洋楽担当のディレクターとして、海外の曲の買付などをしていたそうですが、
橋本淳さんに作曲やアレンジをすることを勧められ、橋本淳さんがアシスタントを務めていた作曲家のすぎやまこういちさんを紹介してもらうと、その後、すぎやまこういちさんに師事し、作曲家になったのだそうです。
(一方、アシスタントをしていた橋本淳さんは、すぎやまこういちさんに勧められ、作詞家に転身したそうです)
筒美京平は橋本淳との共作で「ブルー・ライト・ヨコハマ」を大ヒットさせていた
その後、筒美京平さんと橋本淳さんは、1966年、藤浩一さんの「黄色いレモン」で初めてタッグを組み、
(作曲・筒美京平さん、作詞・橋本淳さん)
以降、22曲に渡って共作すると、1968年には、いしだあゆみさんに提供した「ブルー・ライト・ヨコハマ」(1968年12月リリース)が大ヒットとなっています。
(筒美京平さんと橋本淳さんのコンビで最大のヒット)
いしだあゆみさんの「ブルー・ライト・ヨコハマ」
筒美京平と橋本淳の共作は550曲以上
そんな筒美京平さんと橋本淳さんの共作は、最終的には550曲を超えており、橋本淳さんは、筒美京平さんがタッグを組んだ最も多い作詞家となっています。
(2番目が松本隆さんで380曲)
ちなみに、長い間、一緒に仕事をしていた筒美京平さんと橋本淳さんですが、1970年代後半に、橋本淳さんが少し疲れて、ほとんど作曲をしなくなり、その後は、何曲か手掛ける程度となったそうです。
(とはいえ、2人の交流は続いていたといいます)
橋本淳は筒美京平の死去4年後に共作「アーティスト/ホットな地球よ」をリリースしていた
その後、筒美京平さんは、2020年10月7日に他界されているのですが、橋本淳さんは、2024年2月14日、筒美京平さんに託されたという曲に歌詞を書き、久々に2人の共作として、「アーティスト/ホットな地球よ」(平山みきさん&野宮真貴さんのデュエット)をリリースしています。
というのも、橋本淳さんは、
お身体の具合があまりおもわしくなくなってからもたまに会っていて、亡くなる3日前にも京平さんの家に行っていたんです。それから3日後に奥さまから残念な報せが届いてしまった。
それで京平さんが亡くなった後に、以前「これやってよ」と言われていた曲が6、7曲はあったなと思い出して。作家でも作曲家でもなくなって時間が経つと、引き潮のように人はどんどん忘れていくじゃないですか。
僕の気持ちとしては、それが嫌で、なんとか京平さんの作曲で僕が持ってるものを少しずつ出しながらでも忘れられていくのを一日でも遅くなるようにしたいななんて思っていたんです。
と、語っており、
筒美京平さんの遺した曲を形にすることで、15歳~80歳まで長く続いた交流の恩返しになればと思っているとのことでした。
「筒美京平のサザエさんほかアニメソング作曲作品を時系列まとめ!」に続く
1970年代、1980年代、1990年代、2000年代と、長年に渡って歌謡界をリードし続け、常に時代の最先端の要素を取り入れて作曲を手掛けてきた、筒美京平(つつみ きょうへい)さん。 そんな筒美京平さんは、歌謡曲だけでは …