「柳生一族の陰謀」の制作では、主人公・柳生十兵衛三厳にまつわる書籍を読まれたのはもちろんのこと、柳生家の歴史を調べたり、柳生十兵衛三厳の著書「月之抄」まで読まれ、それらから推察される、柳生十兵衛三厳の性格をも加味した、企画書「裏柳生」を深作欣二監督に提出し、作品中では、柳生十兵衛三厳本人になりきっておられた、千葉真一(ちば しんいち)さんですが、そんな千葉さんの役者魂はハリウッドの名だたる人物達をも虜(とりこ)にしていたようです。

「千葉真一の柳生十兵衛への惚れ込みようが凄い!」からの続き

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ハリウッド映画キル・ビルの服部半蔵役で出演

千葉さんは、2003年、殺し屋稼業から足を洗った主人公のザ・ブライドが、かつて所属していた組織のボスであるビルに絶望の淵に叩き落されたことをきっかけに、ビルとその配下に日本刀で復讐する姿を描いた、ハリウッド映画「キル・ビル」に、服部半蔵役で出演されているのですが、

実は、何年も前、監督のクエンティン・タランティーノさんが深作欣二監督の撮影現場を訪ねてきたことがあり、その際、千葉さんに一度会ってみたいと言われたことから、深作監督が千葉さんの連絡先を教えられたそうで、

(その時、千葉さんは、ロサンゼルスに住んでいたため)

千葉さんは、深作監督から、

彼に君の連絡先を教えたよ

と、言われたそうですが、

その後、本当にタランティーノさんから電話がかかってきたというのです。

そして、お二人は、千葉さんが指定した寿司屋で初対面されているのですが、その時、

一度一緒に仕事をしたいね

と、話していたそうで、

今回の千葉さんの「キル・ビル」への出演はそれが実現したものだったのでした。


「キル・ビル」より。左が千葉さん。

(千葉さんによると、この頃、タランティーノさんは、監督としてデビューしたばかりの時だったそうなので、いろいろ夢があったのでは、とおっしゃっていました)

ユマ・サーマンとルーシー・リューに侍アクション指導も

また、千葉さんは、この「キル・ビル」では、主人公のザ・ブライド役を演じられているユマ・サーマンさんや敵役のルーシー・リューさんらに、侍のアクションも指導されています。


「キル・ビル」より。千葉さんとユマ・サーマンさん。

その際には、日本で生まれ育ち、当たり前にテレビや文化で時代劇に触れながら育ってきた人に教える方法ではなく、「刀とは何か」から始め、最初の1週間は刀を触らせなかったそうですが、

それでも、彼女たちは、本当によく稽古されたそうで、あまりにも熱心だったため、思わず、千葉さんが、

どうしてそんなにがんばるのか

と、聞くと、

お二人は、

これは私たちの財産になるんです。それも、誰も盗むことができない財産です

と、おっしゃったそうで、

実際、彼女達の心意気は、劇中の演技で証明されていると、千葉さんはおっしゃていました。


「キル・ビル」より。日本刀で戦うユマ・サーマンさん。

キル・ビルは深作欣二監督に捧げられた映画だった

ちなみに、こうして制作された「キル・ビル」の日本版のオープニングには、

「この映画を偉大なる監督、深作欣二に捧ぐ」

と、英語のテロップが流れているのですが、

千葉さんは、深作監督とタランティーノさんの共通点について、

深作監督は、ものすごく自分のこだわりをもっているのに、僕ら俳優には「ちょっと動いてみてくれませんか」というような、漠然とした言い方をして、自由にやらせてみることがよくあった。

一度、僕は聞いたんですよ。「監督は、自分のやりたいことを知っているのに、どうしてそうやって僕らに自由にやらせるんですか」と。そうしたら深作さんは「僕じゃ考えつかないようなことを俳優が考えてくることがある。僕はそれを盗みたいだけなんだ」と言った。

クエンティンにも、そんなところがあるね。とくに、クエンティンは自分が俳優もやる人だから、なおさらそうなのかもしれないけど。

と、おっしゃっていました。

サミュエル・L・ジャクソンも「柳生十兵衛」の大ファン

ところで、ハリウッド俳優のサミュエル・L・ジャクソンさんも、千葉さんが演じる柳生十兵衛の大ファンだそうです。

千葉さんは、サミュエルさんに会った時、

サインをくれ!

と、言われ、

冗談だろ?

と、返したことがあったそうですが、

サミュエルさんは、映画「アベンジャーズ」で演じられたフューリー役に、千葉さんの十兵衛を反映するほどの大ファンだったそうで、

それを聞いた千葉さんは、

まさか

と、思いつつも、

本当にありがたいことですね

と、おっしゃっていました♪


「アベンジャーズ」でフューリーに扮するサミュエル・L・ジャクソンさん。


柳生十兵衛に扮する千葉さん。

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俳優も発言力があるハリウッドのすすめ

さて、こうして、ハリウッドの名だたる人物たちからもリスペクトされている千葉さんは、

日本の若い俳優には、

日本だけに満足するな、世界を見ろ

と、おっしゃっているそうです。

ただ、それは、なにもミーハーな話ではなく、日本では、現場のことを誰よりも考えていても、俳優の地位がそれほど高くないことから、強く発言することができないそうですが、

ハリウッドでは、俳優によっては、監督やプロデューサーよりも強い発言ができ、例えば、ブルース・ウィリスは、撮影の時に、演技プランに支障が出るからと、台本とセットの違いを指摘してセットを作り直させ、「台本に忠実に生きてきた結果だ」と現場から賞賛されているそうで、

千葉さん自身も、滝を渡るシーンで殺陣をしなければならなくなった時にアイディアを出すと、クレーンなどの大掛かりなセットを4時間もかけて作ってくれたうえ、

千葉、ありがとう

と、その撮影後には、プロデューサーから、

脚本家が作ったものではない、あなたのアイデアだから

と、日本円にして5万円ほどだったものの、いわゆるアイディア料を渡されたそうで、

これがアメリカか!

と、とても驚かれたことがあったというのです。

実際、日本で同じことを言うと、「時間と金がかかる」と嫌がられるそうで、これが、日本の映画が衰退していった一因であると千葉さんは考えておられるのでした。

「千葉真一のデビューからの出演TVドラマ映画を画像で!」に続く

キアヌ・リーブスも千葉さんの大ファン。

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