名バイプレイヤーとして、数多くのテレビドラマや映画に出演されてきた、俳優の山本學(やまもと がく)さんですが、その中でも特に、「白い巨塔」での、財前五郎(田宮二郎さん)に対する里見脩二役は、高い評価を受けられました。

「山本學の俳優デビューは舞台装置がきっかけ?当初は建築家志望だった!」からの続き

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「愛と死をみつめて」で一躍ブレイク

山本さんは、1964年、骨肉腫になった女子学生とその恋人の文通を書籍化した、同名小説を原作とするテレビドラマ「愛と死をみつめて」で、

骨肉腫という不治の病に侵されて若くして命を落とす大島みち子(大空眞弓さん)を、手紙のやりとりでを支え続ける恋人・河野実役を演じられると、ドラマは高視聴率を記録する大ヒット。

このドラマの大ヒットで、山本さんも、たちまち人気を博しました。


「愛と死をみつめて」より。山本さんと大空眞弓さん。

「白い巨塔」の里見脩二役が絶賛される

それでも、以降は、脇役を中心に、テレビドラマや映画で出演を重ねていた山本さんですが、

1978年、大阪の大学病院を舞台に、医療という枠を超えて人間の欲望・思惑・生き様を描いた、山崎豊子さんの同名小説を原作とするテレビドラマ「白い巨塔」で、第一内科助教授・里見脩二役を演じられると、

里見医師は山本さん以外考えられない

と、多くの視聴者から評され、

主人公の財前五郎を演じた田宮二郎さんの演技を凌ぐほどの名演技を見せられています。


「白い巨塔」で里見脩二に扮する山本さん。

ちなみに、山本さんは、野心家の外科医・財前五郎と対立する里見役を演じられたことについて、

医者のことは結構勉強しました。それで気づいたのは、外科と内科の違いです。内科の名医ってみんな、「どういう痛みか」を自分から患者に聞かないんですよね。

患者の話をよく聞いて、向こうから自然と言わせる。「言わせないで言わせる」んですよ。ですから、外科医は決断ですが、内科医は忍耐。果断に動くことはない。そこは意識しました。

と、明かされており、里見を演じる山本さんが絶賛されるのもうなずけます。

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田宮二郎とのエピソード

ところで、山本さんは、週刊ポスト連載「役者は言葉でできている」に、田宮さんとの思い出を語っておられます。

山本さんによると、田宮さんとの最初の撮影は、投薬をめぐって論争する場面だったそうですが、田宮さんは、この時すでに、震えながら激昂して演じられていたそうで、

最初からこんなテンションで演じていたら後で大変なことになる。最初はもうちょっと抑えていかないと

と、たまらず、山本さんが途中で撮影を止められたそうです。

(テレビ的には、そういう演技は良いとされ、使われることが多いそうですが、後で編集でつなぐと、そこだけ目立ってしまって良くないそうです。)


「白い巨塔」より。田宮二郎さん(左)と山本さん(右)。

これに、田宮さんは怒ってセットの裏に行ってしまったそうで、最終的には、山本さんが謝って、なんとか、田宮さんも機嫌を直したそうですが、

山本さんは、

彼もそれだけ怒るくらい一生懸命でした。それが面白かったんだと思います。田宮さんがああいう風に面白くなければ、ドラマ全体も面白くはなりませんから。ある意味では、僕の役はどうでもいい。

彼は最終回が放送になる直前に自死されてしまいます。最後に握手するシーンがあるのですが、リハーサルから手が痛くなるくらいに握ってきました。

彼が亡くなった時、いかに本気で演じていたかを思いました。あの痛みは今も覚えています。もっとちゃんと付き合えばよかったと思いましたが、あの時は付き合いようもありませんでした。

と、語っておられました。

(田宮さんは、この「白い巨塔」の撮影中、ひどい「躁うつ病」だったそうで、1978年、「白い巨塔」の放送残り2話を残し、自殺されています⇒「田宮二郎の白い巨塔への人生を賭けた情熱が凄すぎる!」

「山本學のデビューからの出演ドラマ映画を画像で!」に続く

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