1958年、「ロカビリー三人男」として、日本にロカビリーブームを巻き起こした、ミュージシャンで俳優のミッキー・カーチスさん。実は、ミッキーさんは、音楽プロデューサーとしても活躍されており、あの矢沢永吉さんをプロデュースされているのです。

「ミッキーカーチス&サムライが昔ヨーロッパで人気?岡本喜八監督の常連俳優も!」からの続き

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矢沢永吉との出会い

ミッキーさんは、1960年代、ロカビリー歌手・ジャズ歌手として活躍されましたが、プロデュース業でもその才能を発揮されており、ロック歌手の矢沢永吉さんを見出し、世に送り出されています。

1972年10月1日、ミッキーさんが、自宅で、音楽番組「リブ・ヤング」を見ていると、当時、まだ無名の新人バンド「キャロル」が登場。

ミッキーさんは、彼らの演奏に衝撃を受けると同時に、「これだ!」と直感したそうで、生放送中にも関わらず、番組プロデューサーに、

レコーディングしたいから、彼らを(先約がかかる前に)押さえておいて欲しい。

と伝えたのだそうです。

そして、「キャロル」のリーダーだった、矢沢さんと電話で話し、契約を成立させたのでした。

内田裕也もオファーを出していた

実は、このとき、番組に出演していた内田裕也さんも、ミッキーさんより一足早く、番組本番後にオファーをしていたそうで、

矢沢さんは、ミッキーさんか内田さんかで迷われたそうですが、デビューまでの話が具体的な、ミッキーさんを選ばれたのだそうです。

ミッキーさんは、当時を振り返り、

すぐにテレビ局に電話して、矢沢と話し、翌日会った。矢沢の魅力は何といっても色気。これに尽きる。矢沢は「金持ちになりたい」っていった。このギラギラした目と、醸し出される色気にゾクゾクしたよね。

と、おっしゃっていました。

ちなみに、「キャロル」にとっては、初めての音楽番組の出演だったのですが、音楽界の大御所お二人から同時にオファーを受けるなんて、よっぽど、矢沢さんの魅力は抜きん出ていたのでしょうね。

「キャロル」をプロデュース

そして、番組出演後、わずか10日後に、「日本フォノグラム」(現在のユニバーサルミュージック)と専属契約を結んだ「キャロル」は、ミッキーさんプロデュースのもと、12月25日にデビューすると、人気爆発!社会現象になるほどのブームを巻き起こしたのでした。

ちなみに、ミッキーさんは、当時、

昔、オレ達がやってた時は、楽器ひけるヤツも少なかったし、英語はメチャクチャ、かっこばかりのロックン・ローラーだったけど、キャロルは違うんだ。

曲は全部自分達で書くし、楽器はやるし、何といってもリズムのノリが違うよ。日本もここまできたのかと正直、驚いているんだ。

と、おっしゃっています。

矢沢永吉の不満が爆発

しかし、皮肉なことに、売れれば売れるほど、矢沢さんの不満は大きくなっていきます。

というのも、この契約で「キャロル」は、通常より不利な契約を結んでいて、売れれば売れるほど、ミッキーさんと「日本フォノグラム」への印税が増える仕組みだったからです。


「キャロル」のメンバー。(左から)故・ジョニー大倉さん、矢沢さん、内海利勝さん、ユウ岡崎さん。

しかも、4年契約を結んでいたにもかかわらず、「キャロル」は2年半で解散してしまったので、解散後も、この契約は残り、矢沢さんは、「日本フォノグラム」から、千数百万という莫大な違約金を請求されることになったそうで、

矢沢さんは、ソロデビューにあたり、移籍先の「CBSソニー」から借金をして、キャッシュで違約金を支払ったと言われています。

矢沢さんは、

日本フォノグラムは、アーティストとして、オレの気持ちを無視してきた。

オリジナルアルバムは三枚しかないのに、キャロルの承諾もなしに、曲順を変えて、タイトルを変えて、ジャケットを変えて、さもニューアルバムのように見せかけて、新しいアルバムを作ってきた。そんなイカサマ商売をしてきた。

何度も「イメージが悪くなるからやめてくれ」と言っても、「おまえらに言われる筋合いはない」と無視してきた。オレは日本フォノグラムは絶対に許さない。

と、相当、憤慨されており、その後は、自ず、ミッキーさんと矢沢さんも、疎遠になってしまったのでした。

ミッキーが矢沢を騙した?

この話を聞くと、ミッキーさんまでが、ひどい人のように感じますが、

ミッキーさんが、特に、矢沢さんを騙したというわけではなく、当時は、このような不当な契約が、普通だったようで、誰も文句を言わずのんでいたところ、矢沢さんだけが対抗されたようです。

今では当たり前となっている「アーティストの権利」も、矢沢さんが、先駆者だったのかもしれませんね。

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矢沢永吉の娘のレコーディングに参加

それから、40年の歳月を経た、2016年1月、

なんと、ミッキーさんが、矢沢さんの娘さんである、矢沢洋子さんのバンド「PIGGY BANKS」のレコーディングに参加されています。


ミッキーさんと矢沢洋子さん。

洋子さんは、ツイッターで、

本日ピギーバンクスrec大詰め。ミックス前最終日でした。なんとゲストにミッキーカーチスさん!。

そうです、父のキャロル時代のプロデューサーでもあったミッキーさんに、40年以上たってから、娘もお世話になるというまさかのミラクル!

と、その喜びをツイート。

一方で、ミッキーさんも、

今日は矢沢洋子ちゃんと一緒だった!明るくて可愛い子だったよ!お父さんがよろしくと言ってたと!

と、矢沢さんからお礼があったことを明かされていましたので、時を経て、ミッキーさんと矢沢さんは、良好な関係を築かれたようですね。

さて、いかがでしたでしょうか。

お金だけの関係ではなく、アーティストとしての矢沢さんをリスペクトされていたミッキーさん。

再び、ご本人の矢沢さんと一緒に仕事・・・というのは難しいかもしれませんが、ちょっと期待してしまいますね♪

「ミッキーカーチスの元嫁は芳村真理!雪村いづみとも?息子は?孫は?」に続く

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