顔を見れば、たいていの人が悪役として見たことがあるであろう、室田日出男（むろた ひでお）さんですが、実は、デビュー当初は「東映ニューフェイス第4期」として入社するなど、スター候補生として期待されていました。
年齢は？出身は？身長は？本名は？
室田さんは、１９３７年１０月７日生まれ、
北海道小樽市奥沢町のご出身、
身長１８０センチ、
学歴は、
天神国民小学校
⇒小樽市立潮見台中学校
⇒北海道札幌東高等学校卒業
趣味は、お酒を飲むこと
ちなみに、「室田日出男」は本名で、７人兄弟の末っ子だそうです。
少年時代に父母を亡くしグレる
室田さんのお父さんは、石川県能登の庄屋の息子だったそうですが、日露戦争をきっかけに北海道・小樽に移住されると、「馬追」といわれる馬車や馬そりを使った、今で言う運送業をされていたそうで、
室田さんは、そんなお父さんのもと、近所の勝納川や、山、朝里などの海岸に仲間と出かけては、３～４日帰宅しないこともあったほど、自然の中でのびのびと育ちます。
しかし、小学校３年生の時に、お父さんが他界すると、続いて、（時期は不明ですが）お母さんも他界。
そのため、中学時代には、お姉さん夫婦に育てられることになったのですが、高校に入るとグレてしまい、その後はお酒とケンカに明け暮れたのでした。
「東映ニューフェイス」として入社するも・・・
そんな室田さんでしたが、お姉さんが勝手に「第4期東映ニューフェース」に応募されると、見事合格し、１９５７年には、「東映ニューフェイス第4期」として入社。
１９６０年には、映画「二発目は地獄行きだぜ」でスター候補生としてデビューを飾られるのですが・・・
それもつかの間、撮影に遅刻して役を降ろされ謹慎を命じられるほか、１９６１年、映画「風来坊探偵 赤い谷の惨劇」（千葉真一さん主演・深作欣二監督作品）では、クランクインの前夜に酔って暴れてホテルのガラスを叩き割り、東映から映画を降板させられたうえ３年間の出入り禁止を通告されてしまいます。
ただ、それでも、ほどなくして、東映の映画やドラマに悪役や敵役で多く起用されるようになり、主に、鶴田浩二さんや松方弘樹さんの片腕として活躍するほか、時には映画のクライマックスに、鶴田さんや安藤昇さんといったスター俳優とともに殴り込みをかけるなど、スターにひけを取らない演技で存在感を示したのですが・・・
そんな上り調子の中、またしても、ロケ先で大喧嘩を起こして自宅待機となり、東映から「専属」解除（「契約」に格下げ）を言い渡されると、先頭に立って組合活動に参加。
このことで、東映の上層部から反乱分子扱いされることになり、ついには、完全に仕事を干されてしまったのでした。
ピラニア軍団
その後の詳細は不明ですが、いつ頃か、室田さんは、東映のヤクザ映画や時代劇を中心に、キャストクレジットに名前が登場しない脇役・斬られ役として出演していた大部屋俳優、川谷拓三さん、志賀勝さん、岩尾正隆さんらが忘年会で集まった「ピラニア会」に加入すると、
当時、まだ、若手だった渡瀬恒彦さんが束ねて発起人となり、１９７５年、「東映ピラニア軍団」が結成されます。
「ピラニア軍団」
すると、当時、東映の岡田茂社長が、
東宝や松竹が青春映画と銘打って、山口百恵や桜田淳子という歌手を映画に引っ張り出しているのと同じように、ウチも何とか手を打たなければならないと考えていたら、ピラニア軍団が出てきたんです。運よくね。
と、コメントされるほど、「ピラニア軍団」はマスコミに取り上げられ、注目を集めるようになったのでした。
「前略おふくろ様」「トラック野郎・望郷一番星」でお茶の間の人気者に
そして、同年、室田さんは、萩原健一さん主演のテレビドラマ「前略おふくろ様」に川谷さんとともに出演され、
「前略おふくろ様」より。
木場を代表する鳶の一家「渡辺組」の小頭・半田妻吉（半妻）を演じると、これまで東映のヤクザ映画で活躍されていたものの、一般的にはほとんど知られていなかった室田さんですが、川谷さんとともに一躍お茶の間で注目を集め、
１９７６年、映画「トラック野郎・望郷一番星」にも、川谷さんとともに出演されると、以降、室田さんは、お茶の間の人気者となられたのでした。
ちなみに、「ピラニア軍団」は、同年「狂った野獣」、１９７７年「ピラニア軍団 ダボシャツの天」にも出演するほか、LP「ピラニア軍団」もリリースするなど、「ピラニア軍団」ブームを巻き起こしているのですが、
ブレイク前の川谷さんが、インタビューで、
室田日出男さんみたいな役者になりたいです。
と、語っておられたことがあったほど、室田さんは、「ピラニア軍団」の中でも抜きん出た存在だったようです。
