1970年代には、「東映」のアウトロー映画に数多く出演し、「マッドドッグ(狂犬)」と呼ばれるなど、そのギラギラとした存在感で数々の伝説を残してこられた、渡瀬恒彦(わたせ つねひこ)さんですが、今回は、そんな渡瀬さんの「ケンカ最強伝説」についてご紹介しましょう。
「渡瀬恒彦の若い頃はスタント無しでジープの下敷き!大ケガしていた!」からの続き
安岡力也を半殺しに
まずは、身長187センチで元キックボクサーの安岡力也さんが唯一恐れたのが、渡瀬さんだったそうで、
安岡さんは、イケイケの売出し中だった頃、渡瀬さんに東映会館の駐車場に呼び出され、半殺しの目にあったというのです。
イケイケの売出し中だった頃の安岡力也さん。
1990年から約2年半、渡瀬さんの付き人を務めた俳優の永井なおきさんによると、
僕が付き人になったのは渡瀬さんが46歳の時でしたから、周りの人たちは“丸くなった”っておっしゃっていました。
でも、安岡力也さんには、『お前、恒さんを怒らせちゃダメだぞ。俺がどれだけ怖い思いをしたか知ってるか?』と脅されました。あのおっかない力也さんを震え上がらせていたなんて……
と、明かされています。
岩城滉一と舘ひろしをボコボコにして川に放り込む
また、渡瀬さんは、不良を売りとして芸能界に乗り込んできた、岩城滉一さんや舘ひろしさんら、ロックバンド「クールス」のメンバーにも、
礼儀を知らず、調子に乗っているという理由から、ボコボコにして川に放り込んだとか。
「クールス」時代の岩城滉一さん(左)と舘ひろしさん(右)。
先輩・菅原文太を一喝
そして、11歳年上で、早稲田大学の先輩でもあり、俳優としても、「東映」の先輩でもある、菅原文太さんにも、酒癖が悪かったことから、
お前、帰れ!
と、怒って一喝。(菅原さんは酒癖が悪くて有名だったそうです)
ただ、
先輩なんだから金は置いてけよ
と、お財布は出させていたそうです(笑)
東映時代の菅原文太さん。
芸能界のドン・若山富三郎も何も言えなかった
さらに、「芸能界のドン」と言われた若山富三郎さんにまで、
その大先生とやらは何処にいるんですかい?
と、言っていたそうですが、
天下の若山さんも、渡瀬さんの睨(にら)みには恐れをなし、何も言えなかったそうです。
元ボクシング世界王者・ガッツ石松も一目置いていた
そして、当時、芸能界最強の一人と言われた、歌手で俳優のジョー山中さんも、渡瀬さんの目つきを見ただけで縮み上がって、
あの人、怖いけど誰ですか?
と、内田裕也さんに泣きつき、
元ボクシング世界王者のガッツ石松さんまで、
恒さんに比べたら大したことない
と、負けを認めていたと言われており、
そのほかにも、渡瀬さんには、
- 屈強な黒人の米兵3人を相手に大暴れした
- 反社会的組織にさらわれた国士舘の知人学生たちを助けるべく、一人で事務所へ突入した
- 血気盛んだった松田優作さんも一瞬で倒した
- 4人のヤクザを5分でKOした
など、現実離れしたマンガ並みのエピソードが数多く残っています。
ケンカを目撃した梅宮辰夫の証言
そんな渡瀬さんのケンカを、映画「不良番長」で共演された梅宮辰夫さんは、(一対一ではないものの)目撃したことがあるそうで、
梅宮さんによると、「不良番長」の撮影期間中、梅宮さんは、渡瀬さん、安岡力也さん、鈴木ヤスシさん、大原麗子さんの5人で六本木にある焼き鳥屋で飲み、その後、店を出て、いい気持ちで道を歩いていたそうですが、
向こうから、サラリーマン風の男たちが5~6人、千鳥足でやってきたそうで(酔った勢いのせいか、妙に威勢が良かったそうです)、こちらも道幅いっぱいに広がって歩いていたため、このまま歩いていけば、ぶつかるのは間違いないと思った梅宮さんは、
おい、気をつけろよ。ぶつかるんじゃないぞ
と、みんなに、軽く注意したそうです。
しかし、渡瀬さんと安岡さんはまるで聞いておらず、案の定、肩と肩がふれあい、一触即発の雰囲気に。
梅宮さんも、「男が酔っぱらってケンカするくらいのことはしょうがない」と思っていたそうですが、こちらは全員芸能人のため、できれば警察沙汰は避けたいと、
一応、
おい、やめとけよ
と、再び注意されたそうですが・・・
渡瀬さんと安岡さんは、サラリーマンたちと睨み合った途端に手が出たそうで、それからは取っ組み合いのケンカに発展。
ただ、相手のサラリーマンたちも、すぐに渡瀬さんと安岡さんの実力が分かったようで、大した騒ぎにはならず、このケンカは終わったのだそうです。
ちなみに、大原麗子さんは、酔っ払っていたせいか、このケンカを見て大はしゃぎ。また、鈴木さんはというと、当時、NHKの仕事を始めたばかりだったため、青い顔をしながら、遠巻きにケンカを止めようとしていたそうです(笑)
「ピラニア軍団」志賀勝と友人・江藤潤も証言
そのほか、映画やアクション映画での共演から、渡瀬さんと親交があり、「ピラニア軍団」の一員だった志賀勝さんは、
あるときね、街で一人のチンピラが我々に寄って来たことがあってね、仲間の誰かがボコボコにされて、私ら、ひるんでしまって、弱ってたんだな。
そしたら恒さんが、そいつの前に出ていって“いい加減に許してやれ”って、一発で相手をのばしちゃったんだよ。恒さんは腹が据わっているんだ。何も怖いことがないよと。私よりも年は2つくらい下だったけど、本当にかっこいい男だったな。
と、明かされており、
ドラマ「まひる野」で渡瀬さんと共演して以来、映画「戦国自衛隊」など、数々の作品で渡瀬さんと共演し、家族ぐるみの交流があった親友・江藤潤さんも、
仲間で飲んでいる時に、『テレビに出てるからって気取りやがって』とガラの悪い連中がからんできたんです。
売り言葉に買い言葉でケンカが始まりそうになると、恒さんが『お客さんの飲んでるところで、迷惑かけますから。そちらの方、ちょっと、表に出ていただけますか?』と連中に優しく語りかけて、そして僕たちには『お前ら、ここで待ってろ』と。
しばらくすると、恒さんはちょっと着崩れた感じで戻ってきて、『もう終わったから大丈夫』というんです。まあ、相手の雰囲気から“お話”で済む感じではなかったですから、パンパーンってやったんでしょうね(笑)
と、映画やドラマ以上にかっこいい、リアルな渡瀬さんの姿を明かされていました♪
若かりし日のガッツ石松さん(左)と渡瀬さん(右)。