1980年には、「野獣死すべし」松田優作さんの相棒役、翌年の1981年には、金田一耕助シリーズ「悪霊島」で主人公・金田一耕助役と、映画でも順調にキャリアを積まれた、鹿賀丈史(かが たけし)さんは、その後も快進撃を続けます。

「鹿賀丈史の若い頃は金田一耕助がハマり役だった!」からの続き

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和田誠監督作品「麻雀放浪記」で雀士・ドサ健役

1981年「悪霊島」の金田一耕助役では、原作者の横溝正史もうならせるを演技を披露するなど、波に乗っていた鹿賀さんは、1984年には、和田誠監督作品「麻雀放浪記」で、カモから金を巻き上げる雀士・ドサ健役を演じ、

まず脚本がよくできていましたね。戦後間もない時期の雨漏りしそうな小屋で麻雀に足を突っ込んでいった人間たちの姿が描かれていました。それに和田監督も俳優に優しくて。

毎日、絵コンテを描いてきてセットの前に張って、これから撮るシーンがアップのサイズまで書いてある。おかげで、ドサ健の役作りがしやすかったです。

ドサ健は女を麻雀のカタにするような男ですが、決して悪い人間ではなくて、時代が生んだ男なんだと捉えました。

と、役作りについて明かされているのですが、

なにより、

あの時期は大きな作品ばかり次々と来ました。映画に出ているうちに刑事ドラマにも出たりして。ですから、三十半ばまで、あれよあれよ。恵まれているという想いが相当強かったです。

と、幸運をかみしめていたことを明かされています。


「麻雀放浪記」より。(左から)鹿賀さん、大竹しのぶさん、真田広之さん。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」で滝田栄とダブル主演

こうして、「劇団四季」退団後は、映画界で順調にキャリアを積んでいった鹿賀さんですが、1986年、35歳の時には、舞台「トーチソング・トリロジー」で、「劇団四季」退団以来、初めて舞台に復帰。

翌年の1987年、36歳の時には、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の日本初演から、主人公のジャン・バルジャン役と、ジャン・バルジャンを執拗に追跡する刑事ジャベール役を、滝田栄さんとのダブルキャストで交互に演じられると、以降、「レ・ミゼラブル」は、2001年まで14年間も出演し、舞台役者としての地位を確立。

鹿賀さんは、このことについて、

これは舞台に戻ってこいと、両方の作品(「トーチソング・トリロジー」と「レ・ミゼラブル」)が言っているように思えたんですね

と、映画やテレビドラマでも十分に経験を積んだことから、満を持して舞台に取り組むことができたと、明かされています。


「レ・ミゼラブル」より。

物足りなさを感じる日々

ただ、やがて、

でも、26歳のときに「カッコーの巣をこえて」で出会ったお芝居のおもしろさとか、30歳のときに「野獣死すべし」で出会った映画のおもしろさとか、36歳で「レ・ミゼラブル」で出会ったさらなる舞台のすごさみたいな、新しいものが全然出てこなかった時代で…

と、「レ・ミゼラブル」で舞台役者としての地位を不動のものにし、かつ、テレビドラマや映画にも引き続き順調に出演するなど、安定した活躍をみせるも、何か物足りなさを感じるようになっていったそうで、

いまにして思えば鬱だったのかもしれないですね。自分から何も発想しないし、行動力もなくなってきて、“このままダメになっちゃうのかな”って思いながら。原因は僕にもわからなかった…

とウツ状態になってしまったそうです。

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「翔ぶが如く」で大久保利通役

すると、そんな時(1990年)、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」のダブル主人公の一人・大久保利通役のオファーが舞い込んだそうで、

大河ドラマで西郷隆盛、大久保利通の2人が並んで描かれる。その作品に大久保役で呼んでいただけたのは、非常にうれしかったですね。同時に責任感といいますか、「ちゃんとやっていかなくては」という思いが強かったと思います。

また、盟友の西郷を西田敏行さんが演じられると聞き、先輩の西田さんとコミュニケーションを取りながらやっていこうと思ったことを覚えています。

西田さんにはロケの合間によく食事に連れて行っていただきました。よく食べて、よく飲む人という印象です。がっしりとした体格をされていて、2人で走るシーンでは、すごく足が速くて驚かされました。また、薩摩弁に関しても2人で一緒に苦労した思い出があります。

と、西田さんから、多くのことを学び、またしても新境地を開拓されたのでした。


「翔ぶが如く」より。

ちなみに、鹿賀さんは、

1年という長い時間、ずっと大久保を演じ続けたので、どこか大久保のことが頭から離れない状態でした。今でも青山墓地の近くを通ると、大久保さんのお墓に手を合わせることがあるんですよ。

と、いかに大久保役にのめり込んだかということも明かされていました。

「鹿賀丈史は昔は料理の鉄人でパプリカをかじり話題になっていた!」に続く

「翔ぶが如く」出演時の鹿賀さん(左)と西田敏行さん(右)。

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