1973年、24歳の時、「劇団四季」の舞台「イエス・キリスト=スーパースター」(後の「ジーザス・クライスト=スーパースター」)のヘロデ王役でデビューして以来、50年近く、俳優として活躍を続けている、市村正親(いちむら まさちか)さんですが、実は、俳優の鹿賀丈史さんとは、「劇団四季」の同期だったといいます。今回は、そんなお二人の関係についてご紹介します。

「市村正親が若い頃は「ミス・サイゴン」のエンジニア役が当たり役に!」からの続き

Sponsored Link

鹿賀丈史とは「劇団四季」の同期でライバル視していた

市村さんは、俳優の鹿賀丈史さんとは、「劇団四季」の同期(年齢は鹿賀さんが2歳年下)で、舞台で多数共演しているほか、お互い、「タケシ」「いっちゃん」と呼び合うほどの親友だそうですが、出会った当初、市村さんは、鹿賀さんにライバル心を燃やしていたといいます。

というのも、市村さんは、1973年、24歳の時に、オーディションに合格し、「劇団四季」に入団すると、同年、「イエス・キリスト=スーパースター」(後の「ジーザス・クライスト=スーパースター」)のヘロデ王役で初舞台を踏んでいるのですが、

この時、主人公のイエス・キリスト役を務めたのが、候補生から実績を積んだ、同期の鹿賀さんだったそうで、しかも鹿賀さんもこの作品がデビュー作だったのだそうです。


「ジーザス・クライスト=スーパースター」より。鹿賀丈史さん(左)と市村さん(右)。

浅利慶太から鹿賀丈史のクレソン扱いされていた

そして、その後も、鹿賀さんは、ずっと主役を張り続けたそうで、

市村さんは、

常に主役だよ。いつも主役だよ。羨ましいっていう、ジェラシーがありましたよね

と、鹿賀さんへのライバル心から、「劇団四季」の主宰者・浅利慶太さんに(主演をさせてほしいと)直談判に行ったことがあったそうですが、

浅利さんからは、

鹿賀がステーキなら、お前はステーキの横についているクレソンみたいなやつだからな

と、取り合ってもらえず、

鹿賀丈史がいる限り俺はクレソンなんだ

と、感じるようになったそうで、

鹿賀さんに対して、

当時は鹿賀丈史が正義だった。「ウェストサイド物語」をやれば丈史がトニーで僕がベルナルド。「ジーザス」やればヘロデ。「ベローナの恋人たち」やればシューリオ。だいたい大きい役はあっちで、周りに僕がいる

と、ますます、嫉妬するようになっていったのだそうです。

浅利慶太から主役向きの顔じゃないとダメ出しされていた

というのも、もともと、市村さんは、

前歯も欠けていて人前で笑うのが好きじゃなかった。いつも笑うときに下を向いて、暗い子だった。コンプレックスの塊ですよ

と、コンプレックスを抱えていたそうですが、

輪をかけて、「劇団四季」のオーディションの際には、主宰者の浅利さんから、

君は主役という顔じゃないな。顔も小さいし、舞台向きじゃない

と、強烈なダメ出しをされていたそうで、ますます、コンプレックスを抱くようになっていたのだそうです。

鹿賀丈史の存在を嫉妬から自身の成長の糧に昇華

ただ、浅利さんからは、

人には人の時計のサイクルがある。お前にはお前の時計がある。人の時計を見ると比較してしまう

と、腐らずに地道にやる大切さも説かれ、

クレソンはステーキになくちゃいけないもの。太陽があって月があるんだなと思った。太陽じゃなくていい、月の演技がある

と、思えるようになっていったそうで、

丈史が四季を辞めたから俺にいい役が来たわけじゃない。いなくなったときに、こっちがずっと「ああいうふうになりたい」って気持ちがあったからこそ、(主)役と出会ったんじゃないか。

と、後に主役を張るようになった時も、思えるようになったのだそうです。

Sponsored Link

近年は対等な役で鹿賀丈史と共演

ちなみに、鹿賀さんはというと、

お肉とクレソンの話じゃないけど、(市村は)普通のクレソンじゃないですから。大地にダーっと根を張ってる。肉よりも強いんじゃないかって。同じ俳優だけど、持ってる素質・資質が違う。悔しいっていうか

と、語っているのですが・・・

さておき、市村さんは、自身の主演舞台「ラ・カージュ・オ・フォール~籠の中の道化たち~」で、2008、2012、2015年と、相棒・ジョルジュ役に鹿賀さんを迎えているほか、

(いずれの公演も、初日から千秋楽まで、連日、スタンディングオベーションで、大成功を収めたそうです)


「ラ・カージュ・オ・フォール~籠の中の道化たち~」より。鹿賀丈史さん(左)と市村さん(右)。

2020年には、黒澤明監督作品をミュージカル化した舞台「生きる」で、鹿賀さんとダブル主演を務めており、今では、お二人の間に役の優劣はなくなっているようです。

「市村正親のデビューからの出演映画ドラマ舞台を画像で!」に続く

「生きる」より。市村さん(左)と鹿賀丈史さん(右)。

Sponsored Link