ドン・ブレイザー監督が「いくら力のあるルーキーでもメジャーでは最初から試合に起用することは無い」との考えから、オープン戦で活躍するも、かたくなにスタメン起用されなかった、岡田彰布（おかだ あきのぶ）さんですが、岡田さんを起用しないことに、阪神ファンの不満が爆発し、球団に脅迫とも言える抗議の電話が殺到したことから、この事態を重く見た小津正次郎球団社長がブレイザー監督を説得し、ついに、４月２２日、８番・三塁手としてスタメン起用されます。
「岡田彰布は阪神入団当初ブレイザー監督の方針でスタメン起用されなかった！」からの続き
ドン・ブレイザー監督とデーブ・ヒルトン選手への阪神ファンからの嫌がらせが激しくなっていった
ブレイザー監督は、春季キャンプ中にヤクルトスワローズから獲得したデーブ・ヒルトン選手を、シーズン開幕直後からスタメンで使い続けていたのですが、深刻な打撃不振に陥っていたことから、岡田さんの起用を望むファンやマスコミから「なぜ岡田を出さない」と不満が盛り上がり、総攻撃を受けます。
また、ヒルトン選手も、打席に立つたびに、一部の阪神ファンから岡田コールやヤジを浴びせられたそうで、ここで打てば少しは収まったかもしれないものの、絶不調だったこともあり、ファンからの「岡田コール」はどんどんエスカレートしたのだそうです。
（球場を出て家路に向かうヒルトン選手と妊娠中の妻を乗せたタクシーをファンが取り囲み、罵声を浴びせ、揺さぶり、車を蹴るといった嫌がらせなども受けるようになったそうです）
ドン・ブレイザー監督は阪神ファンからの嫌がらせに苛立ち意地でも岡田彰布をスタメン起用しなかった？
そんな状況に、ブレイザー監督は、「やりにくくてしょうがない。われわれは岡田のために野球をしているわけではないんだ」と、日増しにイライラを募らせたそうで、
サードのレギュラーだった掛布雅之選手が故障離脱した４月１９日と２０日も、（もともとサードのレギュラーだった）センターの佐野仙好選手をサードに回し、岡田さんを使いませんでした。
（岡田さんが肩の張りを訴えていたという話も）
阪神ファンの嫌がらせがエスカレートし阪神の小津正次郎球団社長が岡田を起用するようブレイザー監督を説得していた
すると、阪神球団には、１日５０本以上もの脅迫とも言える抗議の電話が殺到したそうで、たまらず、阪神の小津正次郎球団社長が、１９８０年４月２２日、大洋戦前に、ブレイザー監督と２時間の会談を設け、説得したそうで、
ついに、岡田さんは、同日、８番・サードとして（プロ初の）スタメン起用されたのでした。
ドン・ブレイザー監督は5月15日に辞任
その後、ブレイザー監督にファーストのレギュラーで起用され続けていたヒルトン選手は、１８試合出場、打率１割９分７厘、本塁打０本の不振から抜けられずに、５月１０日に解雇。
ブレイザー監督もまた、阪神球団が、自身に黙って新たにブルース・ボウクレア外野手を獲得したことに納得できず、球団との関係が極度に悪化し、５月１５日に辞任しています。
（ブレイザー監督は、阪神ファンから、自宅に無言電話、脅迫電話、カミソリが仕込まれた封筒、ゴキブリの入った手紙、ネズミの死骸の入った小包が送られてくるなど、度を超えた嫌がらせを受けていたそうで、これに対し、奥さんが家族の身に危険を感じ、ブレイザー監督に帰国を迫ったのが実情だったといいます）
ちなみに、ブレイザー監督の後任は、新人の岡田さんを入団時からマンツーマンで指導していた中西太コーチが監督に昇格しています。
