1984年、大学の映画制作グループで8ミリ映画を制作するようになった、園子温(その しおん)さんは、早くも、1986年には「俺は園子温だ!」が「ぴあフィルムフェスティバル」に入選、1987年には「男の花道」がグランプリと頭角を現し、1988年に一般公開された16ミリ映画「自転車吐息」は「ベルリン映画祭」で上演されるなど、海外でも高い評価を得ます。また、その後も、「自殺サークル」「愛のむきだし」など、問題作を世に出し続けられています。
「園子温の本名は?昔は詩人?家出で偽装夫婦生活!宗教団体にも入ってた?」からの続き
自主制作映画で頭角を現す
こうして、宗教団体からなんとか脱出した園さんは、1984年に法政大学に入学して映画制作グループに入ると、8ミリ映画を手がけられるようになるのですが、
1986年には、早くも、自作自演の「俺は園子温だ!」が、「ぴあフィルムフェスティバル」に入選、
「俺は園子温だ!」より。23歳の園さん。
1987年には、「男の花道」が、同フェスティバルでグランプリを受賞と、頭角を現し、
「男の花道」より。
1988年には、ついに、ぴあの支援(PFFスカラシップ)を得て制作された16ミリ映画「自転車吐息」が一般公開。
ちなみに、この「自転車吐息」は、園さんの自叙伝「非道に生きる」によると、園さんがこれまで自主配給していた作品で、様々なゲリラ的な宣伝をされたそうで、
映画に箔をつけたいと思って、チラシの上に「ペルリン国際映画祭招待作品」と重ね刷りしました。
写真に紛れる感じで、よーく見れば、「ベ」じゃなくて「ペ」であることが分かる。「ペルリン国際映画祭」というのは僕の自宅でやっている映画祭なので、嘘をついているわけではありませんよ(笑)。
と明かされていました♪
(そして、この作品は、後に本当に「ベルリン映画祭正式招待」 をはじめ、多数の海外映画祭で上演されたのでした!)
「自殺サークル」で脚光
その後も、園さんは、
1993年「部屋 THE ROOM」
1995年「BAD FILM」(※当時未完、2012年完成)
1997年「桂子ですけど」
1998年「男痕 -THE MAN-」
「部屋 THE ROOM」より。麿赤兒さんと洞口依子さん。
1999年「0cm4(パリ・コレバージョン)」
1999年「うつしみ」
2001年「風」
「自殺サークル」
など、一貫して自我を投影する、自主制作的な作品を次々と発表されると、2001年に発表された、集団自殺事件とカルト集団を扱った「自殺サークル」が、その衝撃的なストーリーで物議を醸し、
新宿武蔵野館において、過去最高の観客動員数を記録するヒット。
「自殺サークル」より。
(左から)麿赤兒さん、石橋凌さん、永瀬正敏さん。
その人気は日本だけにとどまらず、「カナダファンタ映画祭(ファンタジア2003)」でも、観客投票第1位を獲得して「観客賞」を受賞するなど、海外の映画祭でも高い評価を得たのでした。
「愛のむきだし」
以降、園さんの自我を追求する姿勢は商業作品に投影されることとなり、
2004年「大人になったら」
2005年「夢の中へ」
「奇妙なサーカス」
2006年「紀子の食卓」
「HAZARD」
「気球クラブ、その後」
2007年「エクステ」
と、立て続けに作品を発表されると、
2009年には、カルト教団、盗撮、暴力、変態行為などを扱った、「愛のむきだし」が「第59回ベルリン映画祭」で「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を受賞、
国内でも、「第64回毎日映画コンクール監督賞」ほか、映画雑誌「映画芸術」の批評家による、「2009年度ベストテン」で第1位を獲得するなど、国内外問わず、高い評価を受けます。
「愛のむきだし」より。西島隆弘さんと満島ひかりさん。
ちなみに、この作品は、盗撮界のカリスマとして崇められていた園さんの友人が、新興宗教にはまってしまった妹を教団から力ずくで奪い返す、という実話をベースに制作されたものなのですが、上映時間は、なんと、237分(約4時間)という超大作で、
園さんは、これほど長くなった理由について、
最初はその友達の変態ぶりだけを描くつもりだった。それでも面白いんだけど、もう少し間口を広げたいなと。
実際にそいつが宗教団体から妹を奪還する時に、「こっちの世界に戻って来い!」と説得したんだけど、
そのセリフがこの話の一番おもしろい所で、友達の変態性はそのきっかけにすぎない。
だから、主人公の設定はかなり違うものにしたし、盗撮以外にも、聖と俗、SEXと禁欲、キリストと新興宗教など、
いろいろな要素を付け加えていったら、結局あれだけ長いものになってしまった。
と、おっしゃっていました。
満島ひかり
また、この作品では、アイドルから女優に転身し、まだ無名だった満島ひかりさんが、ヒロイン、ヨーコ役を演じられているのですが、
撮影中、園さんは、
お前役者だろ?人を感動させろよ馬鹿。
などと、何度も満島さんを罵倒したそうで、現場はとても険悪な雰囲気だったとか。
それに対し、園さんは、和気あいあいとした現場で、いい作品が生まれるとは思わないと、
監督は役者から嫌われても構わない。逆にそれは役者に対する愛だと考えています。
現場がただの楽しいピクニックで終わるか、険悪で最悪な現場でも、それで役者が賞をもらってステップアップしてくれた方が、監督としてはいいじゃないですか。
と、語っておられるのですが、
実際、満島さんは、「第83回キネマ旬報ベスト・テン」で助演女優賞、「スポニチグランプリ」で新人賞を受賞されており、
(主人公を演じられた西島隆弘さんも、「第83回キネマ旬報ベスト・テン」で新人男優賞、「スポニチグランプリ」で新人賞を受賞されています。)
園さんの厳しい演技指導は、満島さんの魅力を最大限に開花させたのでした。
こうして、ますます、映画監督としての評価を高めた園さんは、
その後も、
2009年「ちゃんと伝える」
2011年「冷たい熱帯魚」
2011年「恋の罪」
2012年「ヒミズ」
「希望の国」
2013年「地獄でなぜ悪い」
2014年「TOKYO TRIBE」
2015年「新宿スワン」
「ラブ&ピース」
「リアル鬼ごっこ」
「映画 みんな! エスパーだよ!」
「地獄でなぜ悪い」より。星野源さんと二階堂ふみさん。
2016年「MADLY」
「ひそひそ星」
2017年「新宿スワンII」
「アンチポルノ」
2018年「クソ野郎と美しき世界『ピアニストを撃つな!』」
「クソ野郎と美しき世界『ピアニストを撃つな!』」の囲み取材会より。(左から)園監督、浅野忠信さん、稲垣吾郎さん、満島真之介さん、馬場ふみかさん。
と、現在に至るまで、問題作・衝撃作を制作し続けておられます。
さて、いかがでしたでしょうか?
実は、自身の作った映画を、
「こんなの映画じゃない!」
と批判されることが、逆に、最大のエネルギーだと語る園さん。
園さんは、とにかく、「映画的」なものや「映画文法的なもの」をぶっ壊してしまえとおっしゃっており、既成の概念にとらわれない自由な発想が、人々を虜にし衝撃を与え続けるのでしょうね。
今後も、園さんの創り出す、唯一無二の映画に注目です!!
「園子温の本名は?昔は詩人?家出で偽装夫婦生活!宗教団体にも入ってた?」