あまり幸せとは言えない幼少期を過ごされた、檀ふみ(だん ふみ)さんですが、高校生の時にはスカウトされ、半ばお父さんの命令で、女優の道に進むことになります。今回は、檀さんの、女優になるまでの経緯、出演作品について調べてみました。

「檀ふみの生い立ちは?父親は作家の檀一雄!母親は?兄は?」からの続き

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スカウトされて女優へ

身勝手なお父さんと気の強いお母さんに、さんざ揉まれて育った檀さんですが、高校生の時には、当時、東映京都撮影所の所長を務めていた叔父さん(お父さんの弟)の高岩淡さん(後に東映会長)のところへ遊びに行った際、偶然、叔父さんの部屋を訪れていた東映のプロデューサー俊藤浩滋さん(富司純子(当時・藤純子)さんの父親)に、

女優になってみないか

と、スカウトされます。

ただ、檀さんはというと、この時、慶応大学を目指す受験生で、女優になる気は微塵もなかったのですが、あれよあれよと女優デビューの話が進んでいき、週刊誌には、

ポスト藤純子

との記事が掲載されるまでに。

すると、例のごとく、夜中にお父さんに呼び出され、気持ちを聞かれたそうで、

私はやりません。背も高いし、顔もまずいし、演技の“え”の字も知らないし。ちゃんと勉強して大学に行きます。

と、檀さんは返答されるのですが、

お父さんは、フランスの名優ジャン・ギャバンや、イギリスの喜劇王チャーリー・チャップリンを例に挙げて、

あの人たちは背が高いか?顔がいいか?みんな努力です。

と、女優になることを諭され、

さらには、

女優になればいろんな経験ができる。30歳くらいでいいものが書けるかもしれない。

私が死んだら私のことを書きなさい。才能があれば認めてくれるかもしれない。

と、女優として人生経験を積んだ後は、物書きになることまで勧められたそうで、

檀さんは、当時、絶対だったお父さんに従い、泣きながら、女優になることを了承したのだそうです。

「昭和残侠伝破れ傘」で女優デビュー

こうして、檀さんは、1972年、気が乗らないまま、高倉健さん主演の映画「昭和残侠伝破れ傘」での女優デビューが決定するのですが、


「昭和残侠伝破れ傘」出演時の檀さん(18歳)。

衣装合わせに行った撮影所で、とてもかっこいい人が檀さんの方に歩いてきて、挨拶をして去っていったそうで、(その後ろ姿もとてもかっこよかったそうです)

泣きながら、女優をやらない、とは言ったものの、

あの人に会えるなら

との思いから、自分の意志でも、女優になることを決められたのでした。

高倉健とは兄妹のような関係

そして、そのかっこいい人とは高倉健さんのことで、当時、檀さんは芸能人に疎く、知人から教えてもらって初めて高倉さんを知ったそうですが、


「昭和残侠伝破れ傘」出演時の檀さんと高倉健さん。

その後も、檀さんは、1976年に起こった「第一次天安門事件」の影響で、行くことをためらっていた中国の「日中映画祭」にも、高倉さんが参加することを知ると、

私も行く

と、ころっと態度を変えるほど、高倉さんを兄のように慕い、

クリント・イーストウッド監督・主演の映画「マディソン郡の橋」を日本でやった場合の配役を高倉さんと語り合っていた際、檀さんが、

日本でやるなら高倉健さんと吉永小百合さんね

と言うと、

高倉さんも、

何でそんな遠慮をすることがあるんだ。檀ふみでいいじゃないか

と、ぶっきらぼうに答えてくれるなど、檀さんを気遣い、妹のようにかわいがってくれたそうで、

檀さんは、高倉さんを心の支えに、この後も、数多くの映画やテレビドラマに出演されたのでした。

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出演作品(テレビドラマ、映画)

それでは、ここで、檀さんの主な出演作品をご紹介しましょう。

テレビドラマでは、

1974年「木下恵介・人間の歌シリーズ 三人姉妹」
1975年「俺たちの旅」
1976年「泣かせるあいつ」
1977年 横溝正史シリーズ「悪魔が来りて笛を吹く」
1978年「兄とその妹」


「俺たちの旅」より。檀さんと中村雅俊さん。

1979年「修羅の旅して」
1980年「天皇の料理番」
1981年「おやじの台所」
1982年「続・夢千代日記」
1983年「海にかける虹〜山本五十六と日本海軍」


「天皇の料理番」より。堺正章さんと檀さん。

1984年「日本の面影」
1985年 NHK大河ドラマ「春の波涛」
1986年「松本清張サスペンス 隠花の飾り/再春」
1987年「女たちの森 女たちよ、もっとしたたかに生きて!しなやかに愛して!! 痛快OLグルメ隊」
1988年「花の生涯 井伊大老と桜田門」


「日本の面影」より。ジョージ・チャキリスさんと檀さん。


「春の波涛」より。檀さんと風間杜夫さん。

1991年「次男次女ひとりっ子物語」
1995年 金曜時代劇「藏」
1997年「司馬遼太郎の功名が辻」
2001年「光の帝国」
2003年「盲導犬クイールの一生」


「藏」より。

2012年 BS時代劇「薄桜記」
2014年 NHK正月時代劇「桜ほうさら」
2016年 NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」
2017年「陸王」
2019年「初めて恋をした日に読む話」


「陸王」より。(左から)役所広司さん、上白石萌音さん、檀さん。

映画では、

1972年「昭和残侠伝 破れ傘」
1974年「青春の蹉跌」
1975年「想い出のかたすみに」
1976年「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」
1977年「青年の樹」


「青春の蹉跌」より。(左から)檀さん、桃井かおりさん、萩原健一さん。


「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」より。渥美清さんと檀さん。

1979年「金田一耕助の冒険」
1981年「ねらわれた学園」
1982年「ウィーン物語 ジェミニ・YとS」
1985年「夜叉」
1986年「火宅の人」

1989年「男はつらいよ ぼくの伯父さん」
1993年「わが愛の譜 滝廉太郎物語」
2000年「雨あがる」
2003年「かまち」
2008年「山桜」
2014年「春を背負って」


「山桜」より。田中麗奈さんと檀さん。

ほか、数多くの作品に出演されており、

若い頃は清純派女優として、ベテランとなってからは、映画「わが愛の譜・滝廉太郎物語」「第17回日本アカデミー賞助演女優賞」を受賞されるなど、演技派女優として活躍されています。

ちなみに、檀さんご本人が最も気に入られている役は、テレビドラマ「日本の面影」での小泉セツ役だそうです。(檀さんの代表作でもあります)

「檀ふみの現在は?阿川佐和子の結婚に対し?檀れいとの関係は?」に続く

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