宇野重吉さんの厳しい演技指導のもと、劇団「民藝」でメキメキと女優としての才能を開花された、奈良岡朋子(ならおか ともこ)さんは、その後、テレビドラマや映画など、様々な作品に出演されるのですが、昭和の大スターとも交流を深めるようになります。そこで、今回は、奈良岡さんと親交のあった、石原裕次郎さんと高倉健さんにまつまわるエピソードをご紹介します。
「奈良岡朋子の若い頃は民藝の看板女優として活躍していた!」からの続き
「太陽にほえろ!PART2」ではボス役
大学生の時、宇野重吉さんと滝沢修さんの演技に感動したことがきっかけで、劇団「民藝」に入団された奈良岡さんですが、
劇団「民藝」での稽古では、宇野さんに徹底的に鍛えられ、やがて、その味わい深い演技や存在感が評判となり、テレビドラマや映画など、様々な仕事のオファーが来るようになります。
そして、1982年には、テレビドラマ「太陽にほえろ!」の続編、「太陽にほえろ!PART2」(日本テレビ)に、係長・篁朝子(たかむら あさこ)役として出演されているのですが、
実は、石原裕次郎さんたっての依頼で出演されていたそうです。
「太陽にほえろ!PART2」で係長・篁朝子に扮する奈良岡さん。
石原裕次郎たっての願いでの出演だった
というのも、「太陽にほえろ!」は、ボス役の石原裕次郎さんが、病気のため、継続しての出演が無理となって、急遽、打ち切りが決定した経緯があり、
日本テレビとしては、石原さん以外のレギュラーキャスト陣の出演契約がまだ1クール(3カ月)分残っていたことから、新しいボスを迎えて番組を継続したかったそうですが、
「石原プロモーション」が終了を強く望んだことから、「太陽にほえろ」は終了したそうです。
そこで、新しいドラマを制作することとなるも、その準備やキャストの契約などに時間が必要で、すぐにという訳にはいかなかったことから、新番組のつなぎとして「太陽にほえろ!PART2」が作られたそうですが、
石原さんが奈良岡さんをとても尊敬されていたことから、石原さんたっての願いで、奈良岡さんが、「太陽にほえろ!PART2」のボス役に起用されたというのです。
奈良岡さんは、前作「太陽にほえろ!」にもゲスト出演されていました。
石原裕次郎の第一印象は最悪だった?
実は、奈良岡さんは、1959年、映画「世界を賭ける恋」で、石原さんと初共演されているのですが、初共演の当日、準備万端で撮影に臨まれた奈良岡さんに対し、なんと、石原さんは、寝坊して遅刻してきたそうで、奈良岡さんの石原さんに対する第一印象は最悪なものだったそうです。
ただ、遅れてきた石原さんは、深々とお辞儀をして謝罪されたそうで、その誠意ある対応が良かったのか、以降、お二人は仲良くなったそうで、石原さんが奈良岡さんを「芸能界の姉」として慕うなど、何でも話せるほど信頼し合う関係になったのだそうです。
初共演で高倉健が号泣していた
そんな奈良岡さんは、1985年には、同じくスター俳優の高倉健さんと、映画「夜叉」で初共演されているのですが、
実は、かねてから、高倉さんは、奈良岡さんの大ファンで、初顔合わせの時、高倉さんは感極まり号泣されたほどだったそうで、こんな大スターの二人から慕われる奈良岡さんの凄さが分かります。
「夜叉」で塙松子に扮する奈良岡さん。確かにかっこいいです。
ちなみに、お二人は、1999年、映画「鉄道員」でも、再び共演されているのですが、この時、奈良岡さんが、高倉さんオススメのお店に行くと、高倉さんがとても手厚くもてなしてくれたとのことでした♪
「奈良岡朋子は美空ひばりの親友で吉永小百合の母親代わりだった!」に続く
「鉄道員」より。(左から)大竹しのぶさん、高倉健さん、奈良岡さん。