俳優座養成所卒業後は、単発のテレビドラマ出演を経て、1968年、「二人の恋人」で映画デビューすると、以降、「タンポポ」「マルサの女」をはじめとする伊丹十三監督作品の常連俳優として多数の映画に出演するほか、テレビドラマ、舞台、朗読劇など幅広く活動している、高橋長英(たかはし ちょうえい)さん。
今回は、そんな高橋長英さんの若い頃(デビュー)から現在までの出演作品(テレビドラマ、映画)や経歴を時系列でご紹介します。
「高橋長英の生い立ちは?父・祖父が弁護士も法学部中退で俳優座養成所に専念していた!」からの続き
高橋長英は26歳の時に「二人の恋人」で映画デビュー
高橋長英さんは、1966年、24歳の時、俳優座養成所を卒業すると、その後は、劇団には所属せず、事務所に入って映像の世界に進んだそうで、
- 1966年「若者たち」
- 1967年「三匹の侍」
など、テレビドラマのゲスト出演を経て、1968年、26歳の時には、「二人の恋人」で映画デビューを果たしています。
高橋長英は30歳頃に文学座の演出家・木村光一に出会ったことがきっかけで俳優を一生やっていく決意をしていた
そんな高橋長英さんは、その後は、テレビドラマや映画を中心に活動しているのですが、
30歳頃、文学座の演出家・木村光一さんと知り合ったことがきっかけで舞台にも出演するようになり、この時、俳優を一生やっていこうと決意したそうで、
高橋長英さんは、その時のことを、
その舞台に北村和夫さんだとか加藤治子さんだとか、文学座の俳優さんがいっぱい出てらっしゃったので、その人たちと出会ったということがすごく大きいですね。
それをきっかけにして、井上ひさしさんとも出会えたし・・・木村さんとの出会いはすごく大きかったような気がします。だから、木村さんと出会ってなかったら、どうなっていたかなと思うとゾッとしますね
と、語っています。
高橋長英は40代~50代の時には伊丹十三監督作品「タンポポ」「マルサの女」「スーパーの女」などに出演
以降、高橋長英さんは、テレビドラマ、映画、舞台で、善人から悪人まで、幅広い役柄を演じ、
1985年には、「タンポポ」、1987年には、「マルサの女」、1996年には、「スーパーの女」をはじめ、伊丹十三監督作品の常連俳優として多数の伊丹作品に出演するなど、名バイプレーヤーとしての地位を確立したのでした。
「タンポポ」より。(左から)加藤賢崇さん、橋爪功さん、高橋長英さん。
高橋長英は43歳の時に朗読劇「詩とギターの夕べ」に出演し全国各地で公演していた
また、高橋長英さんは、1985年には、俳優活動のかたわら、ギタリストの斉藤敏雄さん、女優の中村たつさん、リコーダーの小俣達郎さんとともに、朗読劇「詩とギターの夕べ」に参加して、数年かけて全国各地130ヵ所以上で公演していたそうですが、
高橋長英さんがこの朗読劇に出演したのは、横浜市の関東学院中学・高校の同級生で、横浜のモーターサイクルクラブ「ケンタウロス」のリーダーだった飯田繁男さんに、
ギター演奏と詩を朗読するイベントをするので出演してほしい
と頼まれたことがきっかけだったそうで、
(「ケンタウロス」は、バイクだけではなく、能の公演など文化的な活動も熱心にやっていたそうです)
高橋長英さんは、当時を振り返り、
ケンタウロスのイベントの一回目は1985年ですが、のちに「詩とギターの夕べ」と題して全国各地を数年かけて回りました。
演奏はギターの斉藤(「ケンタウロス」のメンバー)、それからリコーダーの小俣達郎くんが加わることもあった。朗読は僕と、俳優座の中村たつさん。けれども僕と斉藤だけで公演することも多く、それで彼と親しくなっていったのです。
斉藤の演奏は、とても良いときと、そうでないときの落差がありました。調子の良いときは本当に涙が出てしまうような素晴らしい音色だった。公演の前には互楽荘で一緒に稽古したので、僕はよく行きましたよ。
と、懐かしそうに語っています。
(斉藤敏雄さんは、2007年に他界されたそうです)
ちなみに、演目は、翻訳詩は使わず、音楽は中世欧州の古い旋律を用い、フェルナンド・ソル作曲「月光」と中原中也の「月夜の浜辺」、作曲家フランシスコ・タレガの曲と金子光晴の「洗面器」を組み合わせるなど、かなり独創的だったそうです。
高橋長英は68歳の時に朗読劇を再開していた
そんな高橋長英さんは、「詩とギターの夕べ」で朗読の楽しさに魅せられたのか、2010年には、地元・横浜市の「岩間市民プラザ」で朗読劇を開催すると、その後も、しばしば、藤沢周平さん等の作品を朗読しているそうですが、
この朗読に訪れたアナウンサーで朗読者の小林大輔さんのブログに、
小林大輔さんが高橋長英さんに、
あなたのステージでの朗読のねらいは、どこに置いていらっしゃいますか。よろしければ聞かせてください・・・
と、手紙を書き送ると、
すぐに高橋長英さんから、
私は聞く人に、特に感動を押し付けたり、過剰なサービスをしようとは思いません。藤沢周平の作品を朗読するのも、比較的、平坦な物語の中に、下級武士や市井の人々の生活にある、小さな感動を見い出すところが好きなんです。
との返事があったことが綴られていました。
テレビドラマや映画で見せる落ち着いた静かな演技、そのままの高橋長英さんの人柄が伺えますね。
高橋長英は73歳の時に舞台「Sweet Home スィートホーム」で「紀伊國屋演劇賞」を受賞
また、高橋長英さんは、2015年、73歳の時には、実際にあった事件「目黒・中学生両親祖母殺害事件」に着想を得た、舞台「Sweet Home スィートホーム」に出演し、「紀伊國屋演劇賞」を受賞しているのですが、
高橋長英さんは、
欲はないんです。自分の好きな世界で食べていければいいので。
こういう社会と向き合うようなこと(社会派の舞台に出演されていること)を公私ともに続けたいだけ。
社会と関わることは人間と関わること、それをしながら生きていこうと思っているだけです
と、相変わらず、飄々(ひょうひょう)と語っています。
高橋長英の出演作品(テレビドラマ)
それでは最後に、高橋長英さんの主な出演作品をご紹介しましょう。
テレビドラマでは、
- 1966年「特別機動捜査隊」第266話
- 1967年「七人の刑事」第266話
- 1968年「太陽野郎」第17話
- 1969年「若きいのちの日記」
- 1970年「大坂城の女」
- 1971年「柳生十兵衛」第26話
- 1972年「家族会議」
- 1973~1977年「伝七捕物帳」
- 1975年「俺たちの勲章」第11話
- 1976年「痛快! 河内山宗俊」第17話
- 1977年「新・木枯し紋次郎」第13話
- 1978~1979年「白い巨塔」
「白い巨塔」より。田宮二郎さんと高橋長英さん。 - 1979年「七瀬ふたたび」
「七瀬ふたたび」より。(左から)村地弘美さん、高橋長英さん、多岐川裕美さん。 - 1980年「ガン回廊の朝」
- 1981年「御宿かわせみ」
- 1982年「素浪人罷り通る 血煙りの宿」
- 1983年「横溝正史の鬼火 仮面の男と湖底の女」
「横溝正史の鬼火 仮面の男と湖底の女」より。風吹ジュンさんと高橋長英さん。 - 1984~1986年「私鉄沿線97分署」
- 1987年「銭形平次」第22話
- 1988年「女性作家サスペンス」
- 1989年「火曜サスペンス劇場『大奥殺人事件』」
- 1990年「火曜サスペンス劇場『隠し絵の女』」
- 1991年「松本清張作家活動40年記念・砂の器」
- 1992年「鬼平犯科帳 第3シリーズ」第5話
- 1993年「鬼平犯科帳 第4シリーズ」第5話
- 1994年「銭形平次 第4シリーズ」第12話
- 1995年「おばさんデカ 桜乙女の事件帖3」
「おばさんデカ 桜乙女の事件帖3」より。(左から)高橋長英さん、市原悦子さん、布川敏和さん。 - 1999年「隠密奉行朝比奈 第2シリーズ」第10話
- 2001年「旗本退屈男」第4話
- 2002年「税務調査官・窓際太郎の事件簿9」
- 2003年「元カレ」第3話
- 2004年「忠臣蔵」
- 2005年「赤い運命」
- 2006年「相棒 Season 5」第3話
- 2007年「こどもの事情」
- 2008年「世直し公務員 ザ・公証人7」
- 2010年「ねこタクシー」
- 2011年「警部補・佐々木丈太郎4」
- 2013年「太陽の罠」
- 2014年「剣客商売シリーズ」
- 2015年「限界集落株式会社」
- 2016年「この街の命に」
- 2019年「ドクター彦次郎4」
- 2020年「半沢直樹」
高橋長英の出演作品(映画)
映画では、
- 1968年「新宿育ち」
- 1969年「二人の恋人」
- 1970年「豹は走った」
- 1971年「呪いの館 血を吸う眼」
「呪いの館 血を吸う眼」より。藤田みどりさんと高橋長英さん。 - 1972年「音楽」
- 1973年「エロスは甘き香り」
- 1974年「必殺仕掛人 春雪仕掛針」
- 1978年「お吟さま」
- 1981年「漂流」
- 1982年「ひめゆりの塔」
- 1985年「タンポポ」
「タンポポ」より。(左から)加藤賢崇さん、橋爪功さん、高橋長英さん、田中明夫さん。 - 1986年「人間の約束」
- 1987年「マルサの女」
- 1988年「マルサの女2」
- 1989年「帝都大戦」
- 1992年「復活の朝」
- 1993年「大病人」
- 1994年「さくら」
- 1996年「スーパーの女」
「スーパーの女」より。(左から)宮本信子さん、松本明子さん、高橋長英さん。 - 1997年「マルタイの女」
- 1999年「英二」
- 2000年「郡上一揆」
- 2001年「風花」
- 2003年「T.R.Y.」
- 2005年「帰郷」
- 2007年「それでもボクはやってない」
- 2008年「山桜」
- 2009年「鶴彬-こころの軌跡-」
- 2010年「てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~」
- 2011年「奇跡」
- 2012年「この空の花 長岡花火物語」
- 2013年「友だちと歩こう」
「友だちと歩こう」より。高橋長英さんと上田耕一さん。 - 2014年「舞妓はレディ」
- 2018年「審判」
「審判」より。高橋長英さんとにわつとむさん。 - 2019年「高津川」
- 2021年「誰かの花」
ほか、数多くの作品に出演しており、
特に、テレビドラマでは2時間ドラマのサスペンス、映画では伊丹十三監督作品に数多く出演しています。
「高橋長英の妻は?子供は息子?病気だった?河西健司と兄弟?」に続く
数多くの舞台、映画、ドラマに出演し、名バイプレイヤーの地位を確立すると、2010年からは、地元・横浜市で朗読劇も開催している、高橋長英(たかはし ちょうえい)さん。 そんな高橋長英さんのプライベートはどのようなものだった …