1956年、映画「火の鳥」で本格的に俳優デビューすると、1957年には、映画「黒い河」で早くも存在感のある演技を披露し、以降、60年以上も第一線で活躍している、仲代達矢(なかだい たつや)さん。

今回は、そんな仲代達矢さんの若い頃から現在までの活躍や経歴をデビューから時系列でまとめてみました。

仲代達矢

「仲代達矢の生い立ちは?小中高時代は極貧!高卒後は生活のため俳優を目指していた!」からの続き

Sponsored Link

仲代達矢は20代の時に「火の鳥」で本格的に映画デビューすると「人間の條件6部作」の主演に抜擢されていた

23歳の時に映画「火の鳥」で主演の月丘夢路の相手役として本格的な映画デビュー

仲代達矢さんは、1956年、23歳の時、映画「火の鳥」で、主演の月丘夢路さんの相手役に抜擢され、本格的な映画デビューを果たしているのですが、

実は、ラジオドラマで雑踏の話し声を出すアルバイトをしていた際、そのラジオドラマに出演していた月丘夢路さんに見初められ、月丘夢路さんの主演映画「火の鳥」で月丘夢路さんの相手役を探していた、月丘夢路さんの夫で映画監督の井上梅次さんを紹介されたのだそうです。

(仲代達矢さんは、前年の1955年、「俳優座」養成所から、正式に「俳優座」に入座すると、その後、ラジオドラマで雑踏の話し声を出すアルバイトをしていたそうです)

「火の鳥」
「火の鳥」より。仲代達矢さんと月丘夢路さん。

24歳の時には小林正樹監督作品「黒い河」で冷酷なやくざ「人斬りジョー」役

すると、仲代達矢さんの演技は高い評価を受け、以降、順調に仕事が来るようになったそうで、翌年の1957年、24歳の時には、小林正樹監督作品「黒い河」で、冷酷なやくざ「人斬りジョー」役を演じ、強烈な存在感を示します。

「黒い河」
「黒い河」より。仲代達矢さんと有馬稲子さん。

そんな仲代達矢さんは、映画会社大手5社から専属契約のオファーを受けたそうですが、舞台も続けたかったことから、どこの映画会社とも専属契約を結ばず、フリーで活動を続けたそうです。

26歳の時には小林正樹監督作品「人間の條件 6部作」で、主人公・梶役に抜擢されていた

そして、1959年、26歳の時には、戦争の中で自らの正義を貫き続ける主人公・梶の姿を描いた、五味川純平さんの同名小説を原作とする、小林正樹監督作品「人間の條件 6部作」で、主人公・梶役に抜擢されると、

小林正樹監督も感服する演技を見せ、この作品以降、様々な名監督たちと組んで活動することになったのでした。

「人間の條件」
「人間の條件」より。

28歳の時に黒澤明監督からの映画「用心棒」のオファーを断っていた

そんな仲代達矢さんは、1961年、28歳の時には、「人間の條件」などの演技を見た黒澤明監督から、映画「用心棒」で、主人公・三十郎(三船敏郎さん)の敵役・卯之助役を打診されるのですが・・・

仲代達矢さんは、1954年、21歳の時、「七人の侍」でのエキストラで、黒澤明監督に散々歩き方をダメ出しされて、悔しい思いをしており、いずれ自身が立派な俳優になって黒澤明監督からオファーがあった時は断ってやろうと思っていたことから、待ってましたと、このオファーを断ったのだそうです。

すると、その後、黒澤明監督本人から直々に呼び出されてオファーを受けたそうで、仲代達矢さんが、オファーを断った理由として、「七人の侍」でのことを伝えると、黒澤明監督は、「七人の侍」で仲代達矢さんに散々ダメ出ししたことをすっかり忘れていたそうで、仲代達矢さんは、最終的にはこのオファーを引き受けたのだそうです。

「用心棒」
「用心棒」より。三船敏郎さん(左)と仲代達矢さん(右)。

29歳の時に小林正樹監督作品「切腹」に出演

また、仲代達矢さんは、1962年、29歳の時には、武士道の矛盾と個人対組織の問題を正面から描いた、小林正樹監督作品「切腹」で、井伊家の家老(三國連太郎さん)に語り聞かせる浪人役と作品の語り部を務めています。

「切腹」
「切腹」より。仲代達矢さんと岩下志麻さん。

仲代達矢が30代の時は「四谷怪談」「殺人狂時代」ほか

仲代達矢さんは、その後も、

  • 1963年(30歳)「憂愁平野」
  • 1964年(31歳)「怪談」
  • 1965年(32歳)「四谷怪談」
  • 1966年(33歳)「大菩薩峠」
  • 1967年(34歳)「上意討ち拝領妻始末」
  • 1967年(34歳)「殺人狂時代」

など、時代劇から現代劇まで幅広く出演しています。

「殺人狂時代」
「殺人狂時代」より。

仲代達矢が40代の時は「華麗なる一族」「不毛地帯」が大ヒットするほか黒澤明監督作品「影武者」で「カンヌ国際映画祭グランプリ」を受賞

41歳の時に山本薩夫監督作品「華麗なる一族」が大ヒット

そんな仲代達矢さんは、1974年、41歳の時には、山崎豊子さんの同名小説を原作とする山本薩夫監督作品「華麗なる一族」で、準主役である万俵敬介と万俵鉄平の一人二役を演じると、

映画は配給収入4億2000万円を記録し、1974年度の邦画配給収入ランキング第4位となる大ヒットを記録しています。

「華麗なる一族」
「華麗なる一族」より。仲代達矢さん(左)と佐分利信さん(右)。

43歳の時に山本薩夫監督作品「不毛地帯」が大ヒット

そして、1976年、43歳の時には、同じく山崎豊子さんの同名小説を原作とする山本薩夫監督作品「不毛地帯」で主人公・壱岐正役を演じると、配給収入5億7700万円の大ヒットを記録し、仲代達矢さんの演技も高く評価されたのでした。

「不毛地帯」
「不毛地帯」より。仲代達矢さん(左)と丹波哲郎さん(右)。

44歳の時に「無名塾」を設立

そんな仲代達矢さんは、1975年、44歳の時には、妻の宮崎恭子さんとともに、俳優養成所「無名塾」を設立しているのですが、この塾は、塾生から授業料を受け取らず、国や企業からの援助も一切受けず、すべてを仲代達矢さんが担っているといいます。

47歳の時に黒澤明監督作品「影武者」で「カンヌ国際映画祭グランプリ」を受賞

さておき、その後も、仲代達矢さんの俳優としての快進撃は留まることを知らず、1980年、47歳の時には、黒澤明監督作品「影武者」で、武田信玄とその影武者である泥棒の2役を演じ、見事、「カンヌ国際映画祭グランプリ」を受賞しているのですが、実は、この役は勝新太郎さんの代役だったといいます。

「影武者」
「影武者」より。

48歳の時に黒澤明監督の大作「乱」で秀虎役を熱演

そんな仲代達矢さんは、1985年、48歳の時には、黒澤明監督の大作「乱」で、子供たちに裏切られ、狂気に取りつかれる秀虎役を熱演しているのですが、

撮影は燃えさかる城の長い階段を(正気を失った役だったため)足元を見ずに降りるなど、かなりのリスクを伴うものだったといいます。

「乱」
「乱」より。

仲代達矢の50代~70代の頃

仲代達矢さんは、その後も、

  • 1986年(53歳)「ハチ公物語」
  • 1992年(60歳)「豪姫」
  • 2002年(70歳)「白い犬とワルツを」

ほか、数多くの映画に出演しています。

仲代達矢
「白い犬とワルツを」より。

仲代達矢は87歳で映画「帰郷」に出演

また、仲代達矢さんは、2020年には、87歳にして、渡世人として生きることを選んだ男の懺悔と贖罪、そして希望を描いた、藤沢周平氏の同名小説を原作とする映画「帰郷」で、30年を経て故郷・木曾福島に帰る主人公・宇之吉役を演じています。

「帰郷」
「帰郷」より。

Sponsored Link

仲代達矢の現在(90代)は?

そして、2024年、91歳となった現在も、仲代達矢さんは、現役で役者を続けているのですが、インタビューでその思いを、

2022年の12月で90歳になりました。足立区も2022年に区制90周年を迎えたそうなので、私と同い年ですね(笑)。自分が90歳まで生きるとは思っていなかったし、ましてや現役で役者を続けていられるなんて思ってもいませんでしたよ。

自分でも不思議でしょうがないんですが。考えてみると、私は意気地がなくて、心配性だから、しょっちゅう医者に行くんです。そのおかげで、大きな病気もせずにこの歳までやってこられたのかな。

役者としても心配性でね。いまだに「今度の舞台、大丈夫かな」なんて思うと眠れなくなる(笑)。セリフは大丈夫か、声はちゃんと出るか。常に心配だから、その分、事前の準備は徹底的にします。その繰り返しで、70年以上、現役の役者としてなんとかやってこられたんじゃないかと思います。

子どものころから人前で何かをするのが苦手な引っ込み思案だったけど、「役を演じる」ことで、そんな自分を打破してきた人生だったのかもしれません。

と、語っています。

また、

もっと(お芝居が)うまくなりたいと思うことが、役者を続けてこれた原動力になっているのでは

とも語っており、仲代達矢さんの挑戦はまだまだ続きそうです。

仲代達矢の現在

お読みいただきありがとうございました

Sponsored Link