大学時代、「あの素晴らしい愛をもう一度」「戦争を知らない子供たち」など、後世に歌い継がれる名曲の作詞を手掛けると、大学卒業後は、医師の道に進み、精神科医としてキャリアを積みつつ、その後、再び、音楽活動も再開している、北山修(きたやま おさむ)さん。
今回は、そんな北山修さんの、若い頃から現在までの作詞作品や著書ほか経歴を時系列でご紹介します。
「【画像】北山修の若い頃は「あの素晴しい愛をもう一度」が大ヒット!」からの続き
北山修は25歳の時に作詞した「戦争を知らない子供たち」が大ヒット
北山修さんは、1970年、大阪万博のイベントステージで音楽グループ「全日本アマチュア・フォーク・シンガーズ」が歌うための楽曲「戦争を知らない子供たち」の作詞をすると(作曲は杉田二郎さん)、
その模様がライブアルバム「戦争を知らない子供たち」として発売され、同年11月5日には、「全日本アマチュア・フォーク・シンガーズ」名義でシングルカットされているのですが、
翌1971年2月5日、フォークグループ「ジローズ」の歌唱によるシングルがリリースされると、オリコン最高11位、累計売上30万枚以上となる大ヒットを記録しており、北山修さんは、この年の「第13回日本レコード大賞作詞賞」を受賞しています。
(この「戦争を知らない子供たち」は、現在も、平和を願う歌として歌い継がれており、テレビやラジオ、学校教育の場でも紹介されています)
「戦争を知らない子供たち」
北山修は「戦争を知らない子供たち」の作曲を加藤和彦に断られていた
ちなみに、北山修さんは、当初、この「戦争を知らない子供たち」の作曲を加藤和彦さんに依頼したそうですが、加藤和彦さんには、鼻で吹いて突き返されたそうで、
やむなく、「ジローズ」の杉田二郎さんの元に持っていくと、杉田二郎さんは、加藤和彦さんとは逆に、北山修さんが書いた歌詞に感動し、喜んで引き受けてくれたのだそうです。
北山修は「戦争を知らない子供たち」に批判が殺到し創作意欲を失っていた
ただ、当時、この「戦争を知らない子供たち」は、賛否両論が巻き起こり、
今の若者は戦争にも行ってないくせに生意気なことを言うな!
そんなあまい歌を歌ってる場合じゃないだろう!
戦死者を屈辱するな!
などの厳しい言葉が寄せられたそうで、
北山修さんは、このブーイングの嵐に、しばらくの間、創作意欲を失ったそうですが、
胸を張って歌い続けている杉田二郎さんの姿を見て励まされたのだそうです。
北山修は24歳の時に堺正章のソロデビューシングル「さらば恋人」が大ヒット
そんな北山修さんは、1971年5月1日には、堺正章さんのソロデビューシングル「さらば恋人」の作詞を手掛けると(作曲は筒美京平さん)、
この曲は、オリコンチャート最高2位を記録する大ヒットを記録しています。
「さらば恋人」
北山修は25歳の時に医師への道に進んでいた
しかし、北山修さんは、1972年、25歳の時、京都府立医科大学を卒業すると、音楽業界から離れて医師の道へ進んだそうで、
札幌医科大学で2年間研修を受けた後、1974年から1976年までイギリスのロンドンに留学すると、そこで、精神分析と出会い、ロンドン大学精神医学研究所やモーズレイ病院で、2年間精神分析について研修を受けたのだそうです。
北山修は30歳の時にアルバム「12枚の絵」をリリース
こうして、精神科医への道に進んだ北山修さんですが、そのかたわら、音楽活動も再開すると、1976年には、ロンドン留学中に書きためた楽曲を収録したアルバム「12枚の絵」をリリースしています。
(このアルバム「12枚の絵」には、作曲・演奏・コーラスとして、加藤和彦さん、杉田二郎さん、石川鷹彦さんが参加しています)
北山修は34歳から精神科医として活動していた
また、北山修さんは、精神科医としては、1980年に「北山医院」(⇒北山研究所⇒現・南青山心理相談室)を開設すると、1991年には九州大学教育学部助教授に就任し、1994年には同大学の教授に就任。
その後、2010年3月に九州大学を定年退職すると、同年4月には南青山心理相談室顧問および白鷗大学教育学部特任教授に就任し、2013年4月には白鷗大学副学長に就任。
2017年3月には白鷗大学副学長を退任すると、同年4月には白鷗大学学長に就任しています。
北山修は現在も音楽活動を継続中
そして、2002年には、加藤和彦さんと「THE ALFEE」の坂崎幸之助さんと共に、「ザ・フォーク・クルセダーズ」(第3次)を新たに結成するなど、音楽活動も継続しており、
(2009年10月には、加藤和彦さんが他界されています)
2013年3月には、期間限定で、坂崎幸之助さんを迎えて「フォーク・クルセダーズ」(第4次)として、
2023年4月29日には、埼玉県狭山市「県営狭山稲荷山公園」内の特設会場で開催された「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル 2023」に、加藤和彦さんのトリビュートバンド「トノバンズ」の一員として出演しています。
北山修のアルバム
それでは、ここで、北山修さんのアルバム作品をご紹介しましょう。
- 1971年「ピエロのサム」
- 1976年「バースディー・コンサート」
- 1976年「ファースト・アルバム 12枚の絵」
- 1979年「自切俳人のゴールデン・アルバム」(ジキルハイド名義)
- 1981年「35才バースデー・コンサート」
- 1981年「北山修青春詞歌集」※北山修さん自身が作詞したヒット曲を自ら歌ったアルバム
- 2001年「きたやまおさむをうたう」
- 2002年「ザ・フォーク・クルセダーズ新結成記念解散音楽會」
- 2002年「戦争と平和」
- 2002年「フォークル「DAIKU」を歌う」
北山修の作詞作品(提供曲)
次に、作詞作品(提供曲)をご紹介しましょう。
- 「朝陽のまえに」(はしだのりひことシューベルツ、杉田二郎ほか)
- 「初恋の丘」(モダンチョキチョキズ、由紀さおり、白井貴子ほか)
- 「戦争を知らない子供たち」(ジローズ、青い三角定規、杉田二郎、白井貴子ほか)
- 「あの素晴しい愛をもう一度」(加藤和彦・北山修、鈴木彩子、dicot、チェリッシュ、本田路津子、茉奈佳奈、岡平健治、佐咲紗花、玉置浩二、森山良子、やなわらばー、井上陽水、川本真琴、白井貴子、由紀さおり・安田祥子、木山裕策ほか)
- 「さらば恋人」(堺正章、南沙織、Skoop On Somebody、岩崎宏美、175R、山崎まさよし、野口五郎、庄野真代、ASKA、太田裕美、城南海、ダイアモンド☆ユカイ、髙橋真梨子、白井貴子、吉岡聖恵、前田亘輝(TUBE)、上白石萌音ほか)
- 「青空は知らない」(堺正章)
- 「男どうし」(杉田二郎)
- 「花嫁」(はしだのりひことクライマックス、美空ひばり、茉奈佳奈、小柳ルミ子、坂本冬美、白井貴子ほか)
- 「白い鳥にのって」(はしだのりひことシューベルツ、杉田二郎ほか)
- 「赤い橋」(浅川マキ)
- 「人柄」(杉田二郎)
- 「花のように」(ベッツィ&クリス、原由子、白井貴子ほか)
- 「愛とあなたのために」(杉田二郎)
- 「風」(新垣勉、はしだのりひことシューベルツ、平川地一丁目、美空ひばり、小柳ルミ子、クリス・ハート、白井貴子、由紀さおり・安田祥子、菅原洋一ほか)
- 「ふたりだけの旅」(はしだのりひことクライマックス)
- 「(青春は)まるで映画のように」(杉田二郎)
- 「積木」(杉田二郎)
- 「27才」(杉田二郎)
- 「僕のおもちゃ箱」(加藤和彦)
- 「僕を呼ぶ故郷」(加藤和彦・北山修)
- 「花のかおりに」(ザ・フォーク・クルセダーズ)
- 「雨の糸」(ザ・フォーク・クルセダーズ)
- 「風の天使」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「ピンクの戦車」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「海はきらいさ」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「ア・ボーイ・ライクス・ア・ガール」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「夕陽よおやすみ」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「まわるメリーゴーランド」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「日本の旅」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「涙は明日に」(ジローズ)
- 「うしろむきの電車」(チェリッシュ)
- 「最后のうた」(チェリッシュ)
- 「白い色は恋人の色」(ベッツィ&クリス、岩崎宏美、W(ダブルユー)、O’s、本田路津子、茉奈佳奈、林寛子、蘭華、伊東ゆかり、白井貴子ほか)
- 「恋人なんかすてちまえ」(堺正章)
- 「気らくに生きよう」(堺正章)
- 「さすらい人の子守唄」(はしだのりひことシューベルツ)
- 「コブのない駱駝」(ザ・フォーク・クルセダーズ)
- 「さすらいのヨッパライ」(ザ・フォーク・クルセダーズ)
- 「何のために」(ザ・フォーク・クルセダーズ)
- 「青春のわかれ道」(ジローズ)
- 「初恋の人に似ている」(トワ・エ・モワ)
- 「おいでおいで」(トワ・エ・モワ)
- 「涙は明日に」(杉田二郎)
- 「題名のない愛の唄」(杉田二郎)
- 「夕陽よおやすみ」(杉田二郎)
- 「レッツ・ゴー・サザエさん」(宇野ゆう子、加藤みどりほか)
- 「カツオくん(星を見上げて)」(高橋和枝)
北山修の著書
最後に、北山修さんの著書をご紹介しましょう。
単著
- 「くたばれ芸能野郎」(1969年、自由国民社)
- 「戦争を知らない子供たち」(1971年、ブロンズ社のち角川文庫)
- 「さすらいびとの子守唄」(1971年、角川書店のち文庫)
- 「ピエロの唄」(1973年、角川書店のち文庫)
- 「白いクジラの泳ぐ空」(1975年、ブロンズ社)
- 「止まらない回転木馬」(1975年、中央公論社のち文庫)
- 「人形遊び――複製人形論序説」(1977年、中央公論社のち文庫)
- 「サングラスの少女」(1979年、中央公論社)
- 「ジョン・レノン――All that John Lennon1940-1980」(1981年、中央公論社)※共著
- 「悲劇の発生論――精神分析の理解のために」(1982年、金剛出版)
- 「人形は語らない――出会いの不在-不在との出会い」(1983年、朝日出版社)
- 「錯覚と脱錯覚――ウイニコットの臨床感覚」(1985年、岩崎学術出版社)
- 「うい・あー・のっと・ざ・わーるど」(1985年、彩古書房)
- 「他人のままで」(1985年、集英社)※きたやまおさむ名義
- 「ビートルズ」(1987年、講談社現代新書)※きたやまおさむ名義
- 「心の消化と排出――文字通りの体験が比喩になる過程」(1988年、創元社)
- 「見るなの禁止」北山修著作集・第1巻(1993年、岩崎学術出版社)
- 「言葉の橋渡し機能」北山修著作集・第2巻(1993年、岩崎学術出版社)
- 「自分と居場所」北山修著作集・第3巻(1993年、岩崎学術出版社)
- 「みんなの精神科」(1997年、講談社+α文庫)※きたやまおさむ名義
- 「みんなの深層心理」(1997年、講談社+α文庫)※きたやまおさむ名義
- 「心のカタチ、心の歌」(1999年、講談社)※きたやまおさむ名義
- 「幻滅論」(2001年、みすず書房)
- 「精神分析理論と臨床」(2001年、誠信書房)
- 「ふりかえったら風」1,2,3巻(2005年-2006年、みすず書房)
- 「劇的な精神分析入門」(2007年、みすず書房)
- 「北山修/きたやまおさむ 百歌撰」(2008年、ヤマハミュージックメディア)※編著
- 「覆いをとること・つくること」(2009年、岩崎学術出版社)
- 「ビートルズを知らない子どもたちへ」(2009年、アルテスパブリッシング)※きたやまおさむ名義
- 「Prohibition of Don’t Look: Living through Psychoanalysis and Culture in Japan」(2010年、岩崎学術出版社)
- 「最後の授業――心をみる人たちへ」(2010年、みすず書房)
- 「帰れないヨッパライたちへ」(2012年、NHK出版新書)※きたやまおさむ名義
- 「評価の分かれるところに――「私」の精神分析的精神療法」(2013年、誠信書房)
- 「意味としての心――「私」の精神分析用語辞典」(2014年、みすず書房)
- 「コブのない駱駝――きたやまおさむ「心」の軌跡」(2016年、岩波書店)※きたやまおさむ名義
- 「定版 見るなの禁止──日本語臨床の深層」(2017年、岩崎学術出版社)
- 「「内なる外国人」──A病院症例記録」(2017年、みすず書房)
- 「ハブられてもて生き残るための深層心理学」(2021年、岩波書店)※きたやまおさむ名義
共著
- 「こころから言葉へ」(1993年、弘文堂)※共著
- 「改訂版・精神医学辞典」(1993年、弘文堂)※編著
- 「日本語臨床1 恥」(1996年、星和書店)※編著
- 「日本語臨床2 〈自分〉と〈自分がない〉」(1997年、星和書店)※編著
- 「日本語臨床3 〈甘え〉について考える」(1999年、星和書店)※編著
- 「阿闍世コンプレックス」(2001年、創元社)※編著
- 「精神分析事典」(2002年、岩崎学術出版社)※編著
- 「語り・物語・精神療法」(2004年、日本評論社)※編著
- 「こころを癒す音楽」(2005年、講談社)※編著
- 「共視論」(2005年、講談社選書メチエ)※編著
- 「日常臨床語辞典」(2006年、誠信書房)※編著
- 「今語る あの時 あの歌 きたやまおさむ――ザ・フォーク・クルセダーズから還暦まで」(2007年、アートデイズ)※共著
- 「現代フロイト読本」1・2(2008年、みすず書房)※編著
- 「罪の日本語臨床」(2009年、創元社)※編著
- 「日本人の〈原罪〉」(2009年、講談社現代新書)※共著
- 「フロイトと日本人――往復書簡と精神分析への抵抗」(2011年、岩崎学術出版社)※編著
- 「幻滅と別れ話だけで終わらない ライフストーリーの紡ぎ方」(2012年、朝日出版社)※よしもとばななとの共著
- 「良い加減に生きる 歌いながら考える深層心理」(2019年、講談社現代新書)※共著
翻訳
- 「H・ブレイサー『ぼく自身のノオト』」(1979年、人文書院)
- 「S・ラックマン『恐怖の意味――行動療法の立場から』」(1979年、誠信書房)
- 「M・ラター/L・ハーソブ編『最新児童精神医学』」(1982年、ルーガル社)※共訳
- 「M.クライン著作集4『妄想的分裂的世界』」(1985年、誠信書房)※共訳
- 「D・W・ウィニコット『小児医学から児童分析へ――ウイニコット臨床論文集1』」(1988年、岩崎学術出版社)※監訳
- 「D・W・ウィニコット『抱えることと解釈――精神分析治療の記録』」(1989年、岩崎学術出版社)※監訳
- 「D・W・ウィニコット『児童分析から精神分析へ――ウィニコット臨床論文集2』」(1990年、岩崎学術出版社)※監訳
- 「P・マホーニィ『フロイトの書き方』」(1996年、誠信書房)※監訳
- 「D・W・ウィニコット『ウィニコット書簡集』」(2002年、岩崎学術出版社)※共監訳
- 「J・ストレイチー『フロイト全著作解説』」(2005年、人文書院)※編集・監訳
- 「S・フロイト『「ねずみ男」精神分析の記録』」(2006年、人文書院)※編集・監訳
- 「J・サンドラー他『患者と分析者――精神分析の基礎知識 第2版』」(2008年、誠信書房)※共監訳
- 「P・フォナギー『愛着理論と精神分析』」(2008年、誠信書房)※共監訳
ほか、数多くの著書を出版しています。
「北山修の加藤和彦への追悼文は?加藤和彦の変化に気付き心配していた!」に続く